少年愛玩ドール

成瀬瑛理

訪問者

「確かに愛玩ドールです! 実に素晴らしいですよローゼフ様、貴方様が描いたドールはまさに美の彫刻品ともいえます!」
アーバンはそう話すと嬉しそうな顔で笑った。
「あ、でもなぜ男の子に?」
「さあな。それが私にもわからんのだ……。あの時、理想を描くのが精一杯で人形の性別までは深く考えていなかった。それに半信半疑だったしな――」
彼はそう答えるとピノを自分の膝の上に乗せた。
「そ、そうですよね……! 確かに疑われても当然です!」
ローゼフは思っていたことを不意に口にした。
「ところアーバン、お前に1つ聞きたい事がある。この人形について教えろ」
「お、教えるも何も……。以前、貴方様に教えましたでしょ?」
「そうじゃない。この人形は誰が作った?」
「さあ、私も詳しくは知りませんが……。噂によるとその人形を作った者は少し変わった人間らしく、人間は愛せなく、逆に人形しか愛せない偏愛者だったそうです。なんでもその者は愚かな愛を人形に抱き、人ではく人形に愛を求めたのです。それが愛玩ドールが誕生した秘話とも言えます。いくら人形に愛を注いでも、愛を返せなくては意味がありません。彼はその偉業を成し遂げようと、自分の人生をかけて愛玩ドール作りに一生を捧げたのです――。まぁ、これはあくまでも噂なのでどこまでが本当の真実かはわかりませんが、私はそうだと信じております」
商人から愛玩ドールの話を聞くと、ローゼフは複雑な表情で聞き入った。
「そうだったのか。愛玩ドールにはそんな話が…――」
「まあ、そうですね。私だったら自分の一生をかけて慰めの人形作りに励むくらいなら、手っ取り早く奥さんをみつけますけど」
彼はそう言って冗談混じりに話すと、テーブルの上に置いてあるクッキーのお皿に手をのばして一口食べたのだった。

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