少年愛玩ドール

成瀬瑛理

訪問者

商人はピノが現れると、自分の目を丸くさせて驚いていた。
「こら、ピノ! 話の途中で割り込むんじゃない!」
「だってだって~! ねえ、ローゼフ一緒に遊ぼう! ボクね、大きな絵をみつけたんだよ!? 一緒にみよう! すごく大きな絵なんだ!」
ピノはそう言って彼の袖口をぐいぐい引っ張ると人懐っこく甘えたのだった。まるで5歳くらいの男の子の素振りだった。商人は驚くと彼に尋ねた。
「こ、これは驚きました……! まさかローゼフ伯爵にこんな小さなお子様がいたとは……!」
「アーバン、貴様はなにを勘違いしているのだ? 私に子供などいない」
「そ、そうなのですか……!? では、この子はもしや……!」
商人はそこで何かを感づくと、ピノの顔をジッと見つめてきた。
「そうだこの子は愛玩ドールだ。お前の言った通りあの人形は本物だった。さあ、ピノ。アーバンにご挨拶をしなさい――」
商人はローゼフの言葉に衝撃を受けると、腰が砕けたように地面に倒れて尻餅をついた。ピノは彼に言われると、アーバンに挨拶しようと右手で握手を求めた。
「し、信じられません……! これがあの人形ですか……!?」
アーバンはピノと握手をすると、思わずローゼフに聞き返した。
「ああ、そうだとも。お前が私にそう言ったのではないか、何をそんなに驚いているのだ?」
ローゼフがそう言って尋ねると、商人は少し焦った表情でこたえた。
「確かに愛玩ドールです。私も初めてこの目でみるので驚きました…――」
「そうなのか?」
「はい」
アーバンはそう答えると、興味津々な顔でピノのことを見つめたのだった。
「なんて素晴らしい……まるで作りが人間のようだ。いや、人形とは思えないくらいの出来ばえだ」
彼はそう呟くと、いきなりピノの右腕をガシッと掴んだ。
「見た目は人間のようですが、よくみると人形のような関節がありますね。いやぁ、実に興味深いです……」
商人が体に触れてくると、ピノは嫌がって手を払いのけた。
「やだ、触らないで!」
「やめろアーバン! ピノに触るな!」
嫌がるピノを目にすると、ローゼフはアーバンに向かって怒鳴った。すると、彼ハッと我に返った。
「すみませんローゼフ伯爵、無礼をお許し下さい――」
アーバンはそう言って自分の帽子を脱ぐと、頭を下げて謝ったのだった。

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