少年愛玩ドール

成瀬瑛理

訪問者

パーカスは商人を屋敷に招き入れた。彼は自分の帽子を脱いでパーカスに軽く挨拶をすると、ローゼフの部屋へ一緒に向かった。その一方で、ピノは奥の部屋に入って行った。そして、部屋の中を興味津々にぐるりと探検すると、壁に大きな女性の肖像画が飾られていたのを目にした。肖像画の女性は薔薇のように美しく、そして、アフロディアの像のような美しい顔立ちだった。 気品と優雅さと賢さに満ちた彼女の肖像画は少年の心に深く印象づけた。ピノは生まれて初めて女性をみたので、その美しさに驚くと大きな衝撃を受けたのだった。
「わあっ! 綺麗な人! まるでローゼフみたいに綺麗!」
ピノは美しい女性の肖像画の前でみとれると、暫く黙って絵を見つめたのだった。その頃ローゼフは商人と久しぶりの会話を楽しんだ。そして、商人が新しく仕入れた骨董品の話をすると彼は話を切り出した。
「――ああ、そうだ。アーバンお前から以前、あるものを買ったのだが覚えているか?」
「はて、それはいつの物ですか?」
「やはりお前も年だし覚えていないか……。あれだ、愛玩ドールだ。忘れたとは言わせないぞ?」
ローゼフがその言葉を口にすると、商人は急に額から汗をかいて言い訳をした。
「ローゼフ伯爵、あの人形はやはり只の噂です……! 人形が人間に化けるなどと迷信……!」
「本当にそうか?」
動揺する彼を前にローゼフは冷静だった。アーバンは落ち着かない様子で否定した。
「はい、そうでございますとも……! あ、買って頂いた額はローゼフ様に返金しま……」
「貴様はさっきから何を言っている?」
「え、いや……その……私は……」
ローゼフは動揺するアーバンを前に首を傾げると、何を慌てているんだと逆に質問した。
「まあ、いい――。それより聞いてくれ、お前の言った通りだった。あの人形は……」
彼が真剣な表情で商人に話を切り出すと、そこでいきなりピノがはしゃぎながら部屋に戻ってきた。
「ローゼフローゼフ! ボクね、すごく素敵な絵を見つけちゃった!」
ピノは嬉しそうに話すと、彼の膝にもたれて甘えて見せたのだった。

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