少年愛玩ドール

成瀬瑛理

訪問者

少年が彼の屋敷に来てから間もなく1ヶ月が過ぎた頃だった。少年が来る前は屋敷は静かだったが、ピノが来たことによって屋敷には明るさが戻った。パーカスは使用人達に少年の話をしたが、ピノが「人形」であることは秘密にして伏せた。パーカスはピノについて使用人達にこう説明した。母を亡くして身寄りがないところを彼が街で引き取ったと――。はじめは使用人達はそれに疑問を抱いたが、それが主からの話だと聞くと彼らはその話に黙って従ったのだった。ローゼフはピノに好きな物を買って与えた。まるで自分の息子のように、彼は少年のことをとても大事に可愛がった。そして、少年は豪華な装飾品に囲まれた屋敷の中で元気一杯に育った。
余りにも元気にはしゃぐので、屋敷の中に飾ってある高価な壺をピノが割らないかと、たまにパーカスは目を光らせたりした。しかしピノは彼の心配なんかよそに、天真爛漫な笑顔を見せながら屋敷の中を駆け回って遊んだのだった。


――その日もピノは屋敷の中で遊んでいた。大きな屋敷の中は子供からみれば探求心をくずぐられるようなものだった。ピノは廊下の物陰に隠れるとパーカスがとおりすぎたのを見計らい、屋敷の奥へと探検しに行ったのだった。その一方、ローゼフは商人が屋敷に訪れることを部屋の中で待ちわびていた。そして、壁に飾られていた時計が11時を過ぎた頃に商人が馬車に乗って屋敷に訪れた。彼が屋敷に来たことを部屋の窓から確認すると、ローゼフは急いで執事のパーカスを呼んだ。そして、商人を部屋に招くように指示を出したのだった。

          

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