少年愛玩ドール

成瀬瑛理

秘密

「じゃあ、今日のおやつはケーキにしようか?」
「ケーキ!? ねぇ、それって美味しいの?」
「ああ、もちろんだとも。とくにチョコレートケーキなんか美味しいぞ」
「ボク、チョコレートケーキ食べたい!」
ピノは聞いたこともないお菓子を食べたいと言って、両手をあげて無邪気に喜んでいた。
「わかった。じゃあ、今日はチョコレートケーキを一緒に食べようか?」
「うん! 早くおやつの時間にならないかな?」
ピノはそう言って無邪気な顔で、おやつの時間を心待ちした。ローゼフはそんな彼を不意にぎゅっと後ろから抱きしめた。
「ロ、ローゼフ……?」
「お前は私にとって一番の贈り物だ…――」
「ほ、本当に……!?」
「ああ、お前がいなかったら私はずっとこのまま一人だった…――」
「ローゼフ、ボクも会えて凄く嬉しいよ! だってマスターは優しいから、ボクも大好き!」
ピノはそう言って幸せそうな顔で振り返ると、彼の首に小さな両手を回して抱きついたのだった。


――翌日、彼は朝から用があり。大きな馬車に乗ると屋敷から街へと出掛けて行った。ピノは彼の部屋で大人しく待っていたが、空腹に襲われて我慢出来なくなった。彼に部屋から出ては駄目だと言われたが、ピノは言いつけをやぶると部屋からコッソリと抜け出した。そして、空腹に飢えながら屋敷の中をてくてくと小さな足で歩いた。ひょっとしたらどこかに食べ物があると思ったからだ。しばらく屋敷の中を探索していると広くて大きな居間に出た。そこはピノにとってみたこともないような広々とした部屋だった。いつも彼の部屋にいたので、見慣れない部屋を見ると自分の胸のワクワクが止まらなかった。居間には大きな絵画や、鎧の人形や、暖炉の上には大きな家紋が入ったレリーフが飾られていた。そして、天井には光輝くシャンデリアが照らされていた。ピノはそれらに魅せられると、大きな衝撃を受けながら居間の中を探索し続けたのだった。

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