少年愛玩ドール

成瀬瑛理

秘密

その日の朝、ローゼフは朝食をとっていた。彼はクロワッサンを手にとると、それを膝掛けようのナプキンに包んでくるんだ。パーカスはそれを見逃さなかった。
「ゴホン、ローゼフ様。貴方様のような高貴なお方が、そのようなまずしい庶民がするような真似ごとはよろしくないかと存じ上げます。亡き父上様がそのような光景をみたら嘆くに違いありません」
その言葉にローゼフは突如カッとなった。
「黙れパーカス! お前ごときが父上の事を軽々しく口に出して言うな!」
そう言って怒鳴ると、テーブルの上に置いてある食器を片手で払い除けて床に落として割った。
「気分を害したなら謝ります。しかし使用人達が妙な噂をしていたのを小耳に挟み、私も気になった次第でございます」
「妙な噂だと……?」
「はい。貴方様の部屋を偶然とおりかかった者が、部屋の中から貴方様以外の声を聞いたと言っておりました。噂によればその声は幼い少年だったとのことです。私は貴方様のことを悪く言う気はないですが、あまりそう言った趣向はよろしくないかと思います」
「何……?」
「貴方様は偉大なシュタイン家の伯爵様でおられます。スキャンダルな噂は社交界では、相応しくないと申し上げる次第でございます」
そう言ってパーカスが話すと、ローゼフは激昂した様子で言い返した。
「黙れパーカス! 私が色情に狂ったとでも言いたいのか!? 私が自分の部屋に少年を誘い込んだと言いたいのか貴様! 今度そんな生意気な口をきいたら解雇してやるからな!」
ローゼフは怒りがおさまらなくなると、急に椅子から立ち上がって自分の部屋に戻って行ったのだった。

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