少年愛玩ドール

成瀬瑛理

彼の部屋

「しまった……! この時計は確か10分遅れていたんだ! ピノ、今すぐ起きろ……!」
ローゼフが慌てて顔をバシバシ叩くと、ピノは目を覚まして起きた。
「痛いよローゼフ、何するの!?」
「しっ、今すぐ黙れ! とにかくどこかに隠れろ!」
ローゼフは慌てた様子で手を引っ張ると、いきなり鞄の中にピノを押し込めようとした。
「さあ、ここに隠れるんだ!」
「痛いよローゼフ! それに鞄の中狭い!」
「ええい、こんな時に駄々をこねるんじゃない! パーカスが部屋に入ってきたら一貫の終わりだ!」
ローゼフはそう言い返すと、鞄のフタを無理矢理閉めようとした。
「なぜ閉まらない……!? 初めの頃は閉まったはずなのに……!?」
「いやぁああああああっ! 鞄の中狭いよーっ!!」
ピノはそう言って中で騒ぎ始めた。
「黙れピノ! 静かにしてなさい! パーカスに気づかれるだろ!?」
彼はピノの意思とは関係なく、鞄の中に無理矢理入れようとした。部屋の中から騒がしい声が聞こえてくると、パーカスが再びドアをノックした。
「ローゼフ様、如何なされましたか?」
彼がドア越しで声をかけると、ローゼフは焦った顔をしながらフタを一生懸命に閉めようとした。
「だめだ……! くっ、こうなったら……!」
彼のその言葉にピノはとっさに感づいた。
「や、やめてよローゼフ……!」
ピノは彼にやめてと懇願した。しか、しローゼフは何かを悟りきった表情でピノの方を見つめた。
「すまんピノ……もうこうするしか方法はないんだ」
「やめてよローゼフ、それは嫌ぁ!!」
ピノがそこでぐずると、彼は優しく微笑んで一言謝った。
「許せ……!」
そう言った瞬間、彼はおもいっきり右足でフタを真上から踏んづけて閉めたのだった。
「わぁーっ!」
中ではピノの悲鳴が聞こえた。彼は鞄のフタを無理矢理閉めると、そのまま右足で鞄を蹴っ飛ばしてベッドの下に慌てて隠した。
「このひとでなしぃ~っ!!」
ピノは鞄の中から叫んだ。ローゼフは鞄を急いで隠すと急いでベッドの中に潜った。そして、そのまま何もなかったかのように寝たフリをしたのだった。

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