少年愛玩ドール

成瀬瑛理

生誕

「だ、大丈夫かきみ……?」
彼は心配そうに少年を抱き起こした。でもなかなか返事はなかった。少年は意識を失っている様子だった。彼は少年を抱き上げると、確かに不思議な感覚を腕の中で感じたのだった。少年は人間のようにぬくもりがあり、そして温かかった。呼吸する音を近くで感じ、髪は人間のようにサラサラだった。とても人形とは思えないくらい、少年は完璧なまでに人間と同じだった。ローゼフはこれが昨日まで顔がなかったあの人形だと思うと、彼は狐に摘ままれた感覚に陥ったのだった。ローゼフは言葉を失ったまま呆然と立ち尽くして、少年をジッとみつめた。彼は心の中でつぶやいた。これはどんなまやかし物よりも勝るモノだと――。


まるで神が与えた贈り物のようだった。それ以上どんな言葉を着飾っても、その言葉しか頭には浮かばなかった。彼は不思議なまでにその少年に魅了されたのだった。少年は瞳を開けると彼を見つめた。
「マスター……」
「すまん、いきなり叩いて……私も混乱したんだ」
「ううん。やっぱりマスター驚いた? だってボク人形だから……人形が生きてたら驚くよね……?」
少年にそう聞かれると、戸惑いつつも正直に答えた。
「あぁ……」
「マスター、ボクのこと嫌いになった?」
「わからない。でも、嫌いにはならないと思う……。何故だかわからないが…――」
戸惑う様子の彼に、少年は不安げな表情で聞き返した。
「マスター本当に?」
「ああ……」
そう言って答えると、少年は自分の両手を伸ばすと嬉しそうに無邪気に抱きついてきた。彼はまだ状況がのみこめなかったが、その無垢な感情を不思議と拒めなかった。

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