少年愛玩ドール

成瀬瑛理

生誕

「お、落ち着け……! キミは本当にあの人形なのか……!? だってあの人形には顔がなかった……! そ、それに何も身に付けてなんか……!」
ローゼフは慌ててそう話すと、自分の頭の中が混乱した。目の前にいる少年はとても可愛らしく、青い瞳に金髪だった。そして、天使の様に無垢だった。彼は少年の可愛らしさについみとれてしまった。
「当然だよ。ボクはあのままだと只の顔無しの人形だよ? でもね、マスターがボクを誕生させた時。ボクを心の中で理想を描いてくれたから、ボクはこの顔になれたんだ。マスターがくれたこの顔、けっこう気に入ってるんだ♪」
少年はそう言って彼の前で無邪気に微笑んだ。
「ほ、本当にきみはあの人形なのか……?」
ローゼフは確かめる様に聞き返すと、少年は素直に頷いて答えた。
「ボクは愛玩ドール。マスターだけの為に生まれてきた生きた人形なんだ」
「私だけのドール……?」
「そうだよ、マスターを愛すことがボクの幸せ――」
「きみの……」
「ドールの幸せは2つ。マスターを愛す事、そしてマスターに愛される事がボクにとってドールとしての一番の幸せなんだ」
「愛、私がお前を……?」
「マスターはボクを愛してくれるよね?」
少年のあどけない無垢な表情に、彼は一瞬にして胸がときめいた。それは彼にとって今まで感じたことがない不思議な感覚だった。ローゼフはハッと我に返ると少年を手で払いのけた。
「なっ、何をバカなことを言っているんだ……!? 誰がお前なんかを……! このまやかし物め……!」
ローゼフはそう言って少年を突き放した。
「キャッ!」
振り払った勢いで小さな少年はベッドの下に再び転がって落ちた。床に落ちると、少年はなかなか起き上がらなかった。その光景に彼はしまったと心の中で一瞬焦った。
「だ、大丈夫か……!?」
ローゼフは咄嗟に呼び掛けると慌ててベッドから起き上がった。そして、床に落ちてしまった少年の傍に駆け寄ったのだった。

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