おじさん→女子高生=?

キー坊

ブラックなのはコーヒーだけでいい

「本橋(もとはし)先輩本当にいいんすか!?」

「しょうがないだろうが、部長には逆らえねーよ」
そう言って会社の後輩、鶴橋(つるはし)を宥める

「なんでいつも本橋先輩は怒らないんですか!今回の企画も先輩発案なのに手柄は部長っすよ!」
こいつはいつもそうだ、俺の代わりに怒ってるくれるこいつを見てると本当に良い後輩を持ったと思うものだ

「こうなったら本橋先輩の代わりに俺が言ってきてやりますよ!」

「馬鹿なことはすんな、俺は気にしてねーんだからよ。ほらこれやるから落ち着け」
そう言って俺は先程買った無糖のコーヒーを鶴橋に放った

「っと、先輩...俺がブラック飲めないの分かってて酷いっすよ」

「良いじゃねーか、お前も取引先でコーヒー出るんだから飲めるようにしとけ」
それを聞いた鶴橋は渋々缶を開け口をつけると味の通り顔を苦々しい表情に変えた

「大人の味なんて理解できないっすよ...」
そう言いながらも頑張って飲もうとしてる後輩を笑いながら見てると今いるコンビニの近くの交差点の方へふと目を向ける
すると奥の方から法定速度を軽く超える早さで走っている軽トラックが見えた

「あんなんで走るなんて危ねーなおい」
そう言って見ていたが運転手が顔を伏せてることに気づいた時には既にこっちに車が向かってくるとこだった

「居眠り運転かよおい!鶴橋逃げろ!」
そう言ったがコーヒーと格闘していた鶴橋は気づくのが遅れ既にトラックは目前であった。
反射的に体が鶴橋の方に走り鶴橋を突き飛ばし、そこからすぐに体に衝撃が走った
しかも衝撃はそれだけで終わらず後ろのコンビニの窓を突き破り腹部に刺すような痛みがしたのを最後にようやく止まった
どうやらトラックは段差に衝突し止まったようだ

「本橋先輩!」
鶴橋がすぐに駆けつけてきた
どうやら目立った怪我はしてないようだ

「先輩!すぐ救急車呼ばせたので頑張ってください!先輩どこが痛いですか!」

「..はらぁ..かぁ..いたぁ...ぃ」

「お腹っすか!?って先輩ガラスが刺さってますよ!?もう喋らなくていいのであとすこし頑張ってください!」
ぼんやりと見える後輩の顔は涙で酷く歪んでいた

「ぉま..ぇか......ぶじでぇ...」

「こんな時まで人の心配しないでください!自分の心配してくださいよ先輩は!先輩はぁやさしくておれの憧れなんすよ!だからぁ!頑張って生きてくださいよぉ!」
鶴橋は涙を溢れさせてそう言ってくる
つくづく良い後輩を持ったと同時に全身の痛みから意識を手放した

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