Shall we dance?─アイスティ─
Heart of glass
雪が、降り始めた。
手を差し伸べるといくつもの雪の結晶が溶けて消えた。私の手の中に溶け込んだ。
もっと冷たくしてやる。そういうかのように、
雪が降っているのに手袋をしていなかったのは盲点だった。近くのコンビニに行くだけだからと油断していた。あぁ、寒い。
お目当てのものは、コンビニのおでんである。
この時期には、おでんが最高。
私は、三角のこんにゃくが好きなぁ。
おでんを買って、家に戻ろう、コタツが尊い。
「ただいま〜」
『おかえり』
低い声と共に玄関まで、出迎えてくれた。
黒猫の“ジャスミン”と共に。
「ジャスミン、ただいま」
『みゃう』
可愛い猫だ。愛嬌があり、とても甘えん坊。
1度撫でればもう猫の虜だ。
『おでん、買ってきた?』
「もちろん」
約1年前、私の彼氏となった、カイトがこっちに手を差し伸べる。ゆっくりと荷物を持ってくれた。
『私のね、大好きな三角のこんにゃくもちゃんとある』
「俺の大根は?」
『もちろん、ご用意してありますよ』
大根があるのを聞いてホッとしたようだった。
なにせ、カイトは大根がとっても好きだから。
「さぁて?」
ソファにゆっくりと腰を掛け、
隣に来るように促され、
そっと、隣に座る。
『な、なんですか?』
「今日、嫌なことあったんだろ?」
『…………』
彼のすごくて怖い所。
心がわかる所。 
そして、私の愚痴を嫌なことを察して、優しくそれを取り除いてくれる。
上手く笑えない私にとって、そうやってしてくれるのがとても嬉しい。
「黙っているってことは、何かあったんだ」
『あった』
「何があったの?」
『それは……』
私はつい最近社会人になった。
それで悩みが耐えずある。
『先輩にね…このくらい出来るだろって、教えられてないことをやれって言ってきて…そんなの、出来なくてさそしたら、先輩が……早く仕事覚えて私にらくをさせて欲しいって』
「…そうか、そんな事があったんだな」
そして、右も左も分からない私を、先輩は叱りつけた。
何故できないの?
こんなことも出来ないの?
そして、極めつけは……
○○君なら、とっくの前に出来ていたよ。
『誰かと比べられるのが嫌』
「それは誰だって嫌だよそれでも言ってしまうものなんだ。誰かを比べて、こいつは使い物にならないって区別するために」
『私は…必要ないの?』
「あるよ、あるから採用されたんだろ?」
『そうだけど…自信失くした』
「自信ねぇ」
『………』
「皆持ってないよ」
『…え?』
「皆持ってないけど、自分にしかできない仕事なんだって思うんだよ」
『自分にしか…できない仕事……』
「大丈夫。失敗したっていい。それで責めきた人は情けない人だから」
『それでも、傷つくものは傷つくよ』
「それなら、こうやって言えばいい。いくらでも聞いてやる」
そう言いながら、頭を優しく撫でて、
「大丈夫」
と、言ってくれた。
彼の大丈夫という言葉は何故か
心を安心させる。
温かくなる。
私の心はトロリと溶けてゆく。
弱く、脆い、ガラスの心。
誰もがそうだろう。人は軽く言われた言葉に1番傷つくのだから。
『……ありがとう』
ポタリと落ちた小さな涙を
温かい彼の手で包んでくれた。
「大丈夫、君は頼りがいのあるとってもいい人なんだから」
ふと、目を下に向けると、
ジャスミンもじーっとこちらを見ていた。
『ジャスミンも心配ありがとうね』
「俺には言わないのか?」
『言ったじゃない』
「もう一回」
『ありがとう』
「どういたしまして」
そして、頬に口付けをされた。
『!?』
「ご褒美。さぁ、おでんを食べよう」
『………うん』
カイトはいつも私の心を溶かしてゆく。
こんにちは、作者デス。
短い短編集の寄せ集めです。
長編ではありません。
甘々なので、嫌な人はご退出下さい。
手を差し伸べるといくつもの雪の結晶が溶けて消えた。私の手の中に溶け込んだ。
もっと冷たくしてやる。そういうかのように、
雪が降っているのに手袋をしていなかったのは盲点だった。近くのコンビニに行くだけだからと油断していた。あぁ、寒い。
お目当てのものは、コンビニのおでんである。
この時期には、おでんが最高。
私は、三角のこんにゃくが好きなぁ。
おでんを買って、家に戻ろう、コタツが尊い。
「ただいま〜」
『おかえり』
低い声と共に玄関まで、出迎えてくれた。
黒猫の“ジャスミン”と共に。
「ジャスミン、ただいま」
『みゃう』
可愛い猫だ。愛嬌があり、とても甘えん坊。
1度撫でればもう猫の虜だ。
『おでん、買ってきた?』
「もちろん」
約1年前、私の彼氏となった、カイトがこっちに手を差し伸べる。ゆっくりと荷物を持ってくれた。
『私のね、大好きな三角のこんにゃくもちゃんとある』
「俺の大根は?」
『もちろん、ご用意してありますよ』
大根があるのを聞いてホッとしたようだった。
なにせ、カイトは大根がとっても好きだから。
「さぁて?」
ソファにゆっくりと腰を掛け、
隣に来るように促され、
そっと、隣に座る。
『な、なんですか?』
「今日、嫌なことあったんだろ?」
『…………』
彼のすごくて怖い所。
心がわかる所。 
そして、私の愚痴を嫌なことを察して、優しくそれを取り除いてくれる。
上手く笑えない私にとって、そうやってしてくれるのがとても嬉しい。
「黙っているってことは、何かあったんだ」
『あった』
「何があったの?」
『それは……』
私はつい最近社会人になった。
それで悩みが耐えずある。
『先輩にね…このくらい出来るだろって、教えられてないことをやれって言ってきて…そんなの、出来なくてさそしたら、先輩が……早く仕事覚えて私にらくをさせて欲しいって』
「…そうか、そんな事があったんだな」
そして、右も左も分からない私を、先輩は叱りつけた。
何故できないの?
こんなことも出来ないの?
そして、極めつけは……
○○君なら、とっくの前に出来ていたよ。
『誰かと比べられるのが嫌』
「それは誰だって嫌だよそれでも言ってしまうものなんだ。誰かを比べて、こいつは使い物にならないって区別するために」
『私は…必要ないの?』
「あるよ、あるから採用されたんだろ?」
『そうだけど…自信失くした』
「自信ねぇ」
『………』
「皆持ってないよ」
『…え?』
「皆持ってないけど、自分にしかできない仕事なんだって思うんだよ」
『自分にしか…できない仕事……』
「大丈夫。失敗したっていい。それで責めきた人は情けない人だから」
『それでも、傷つくものは傷つくよ』
「それなら、こうやって言えばいい。いくらでも聞いてやる」
そう言いながら、頭を優しく撫でて、
「大丈夫」
と、言ってくれた。
彼の大丈夫という言葉は何故か
心を安心させる。
温かくなる。
私の心はトロリと溶けてゆく。
弱く、脆い、ガラスの心。
誰もがそうだろう。人は軽く言われた言葉に1番傷つくのだから。
『……ありがとう』
ポタリと落ちた小さな涙を
温かい彼の手で包んでくれた。
「大丈夫、君は頼りがいのあるとってもいい人なんだから」
ふと、目を下に向けると、
ジャスミンもじーっとこちらを見ていた。
『ジャスミンも心配ありがとうね』
「俺には言わないのか?」
『言ったじゃない』
「もう一回」
『ありがとう』
「どういたしまして」
そして、頬に口付けをされた。
『!?』
「ご褒美。さぁ、おでんを食べよう」
『………うん』
カイトはいつも私の心を溶かしてゆく。
こんにちは、作者デス。
短い短編集の寄せ集めです。
長編ではありません。
甘々なので、嫌な人はご退出下さい。
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