宇宙の星くず

春田 よぎり

53話目 優しさの在処

何も言わないのは
何も言えないからだ
性格もあるけれど
誰かが泣く時
怒る時
楽しそうな時
喜ぶ時
僕らは大抵
他人のことを考える
こういうのが
優しいってことなのかも
だとしたら  僕らは
優しさに慣れすぎて
とても
欲張りで傲慢に
なっているのかもしれない
幸せなんて
そこらへんに転がっている

空気が美味しい
読んだ本が
思いの外面白かった
友達と話した
趣味が同じだった
どこぞに放り捨てた
量産型の幸せ
拾い集めたら
割れたガラスのように歪で
でも
日に透かしてみれば
青と黄色と
所々緑が滲んで
とても綺麗だった
捨てたものだ
なのに
こんなにも
必要なものだった
失くしたものは
帰ってこないだろう
それでも
緩やかな死を
待つ間
あの場所に帰って
拾い集めに行こうと思う
そうやって
もう一つ優しくなる

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