宇宙の星くず

春田 よぎり

52話目 例えば映画のスクリーンの向こう

僕の心を熱くしたとして
いったい
何が変わるというの
いつか来る
あの人とのさよならも
心にぽっかりあく
穴の予感も
僕はもう知りたくないから
知らないふりで逃げる
そもそも
間違いが起こらなければ
はじめましてすら
言えるかわからないけれど
その穴は
きっと
あの人の形をしていて
いや
もう既に準備を始めているから
思い出として
残るだろう
たまに
ふと思い出すの
イケメンだったな とか
ものを拾ってくれて
嬉しかったなとか
脳みそだけ少女のように
貞操観念なんて
ゴミに等しくていい
じゃないと
ずっと
そう ずっと
誰からも愛されないままだから
僕みたいなの
ゆるいくらいが丁度いい
愛して 愛して
と うわごとのように
とろとろ
くるくる
ふらついてたら
愛し
愛されたことのある人が
ありえない
汚らわしいと言っている
女子高生が
素敵な恋がしたいと
頬を染める
男達は
そんな人とは
道を重ねたくないと
顔をしかめて
何か
悲しいことがあったんだねと
紳士は手を差し伸べる
綺麗
綺麗ね
僕がそんな所で
傷つかないと思って
道をただそうとする
既にかっちりきっちり
はまっているのに
ギギギと
柔肌に血が滲む
正常に潔癖
まさに至純
でもね
聞いてほしい
僕だって
出来ればあの人がいいと
思っているんだよ
これでも夢みる乙女だぞ
死に際
走馬灯のように駆け巡って
ちゃんと後悔
するだろう
涙が海をつくるだろう
魂まで穢れると思うなよ
海は水面に空を映して
ひらひら
光を反射させる
僕の
自己肯定感と貞操観念
同じラインにあると
知って欲しい
海の底
地底都市より下の方
勘弁して欲しいのは
僕の方だ
タイプはって聞かれると
強気で弱気で
めちゃくちゃで
出来れば
精神年齢高めでお願い
酒豪な
ヘビースモーカーが
望ましい
僕もそれに染まるから
何も言わずに
同じところに居てよ
僕より先に死んじゃいや
僕に少しの
余裕を分けて
出来ればちょっぴり
優しさを混ぜて
寂しがり屋の
死にたがりかよと笑ってよ
高い理想の中で
あの人がそうでないことを知っても
胸が震えるのに
あの人も
僕を望まない
近くて
酷く  遠い人

「宇宙の星くず」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く