宇宙の星くず

春田 よぎり

47話目 白昼夢

何も無い
透明の中を
ひたすら
駆ける
序章のように
キラキラした
腹の底を少し
震わせるようなピアノの音が
だんだん透明に凹凸を創って
速くリズミカルになって
僕を急かす
不快感はなくて
懸命に足を動かせば
音は明るくなっていって
僕にぱらぱら降り注ぐ
綺麗で
綺麗だから
漠然と
なんだか寂しい
最後までたどり着けない
もどかしさを感じて
少し切ない
そんな夢を
ここ最近見ながら
雨の日に似ている
なんて
厨二病チックなことを思う
口が裂けても外には出さんから
誰も
知る由も無いけれど
曇りで
いつもより暗く
絵みたいな色をした景色に
不規則な
パチパチと傘に踊る
雨粒の音
悲しみを凝縮したような
雨の匂いとか
もしくは
それの残った晴れた日の朝
そこに季節の花々の匂いが混ざって
特有の匂いになる
それを吸い込む瞬間
きっと僕は
そこに溶けてしまいたいのだ
勇気さえ出せば
消えてしまえる
この世界で
怯えて
内臓を冷やしながら
それを出来ずに
僕は浅はかだから
ふっと息を吐くような
優しくて安らかな
簡単な方法にすがりたい
きっと
何十年も先になるだろうけれど
今日の晩御飯は何かな
そのくらいの感覚で
ふわりと思うの
魂を溶かすなら
雨の日か
あの夢の中がいい
きっと
甘くて深い
いい匂いがするだろう
鼻と喉のあいだに溜まって
僕とひとつになるだろう
そう
その最高の瞬間を想う

          

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