魔王に連れられ異世界転移〜魔神になった俺の敵は神と元カノ〜
鍛錬と魔法
「さて、今日は私が指導致しますね。仁様」
修行二日目、担当は燈だった。白亜の時と同じように地下に降りての訓練。今二人は五メートル程間を空けて向かい合っている。
燈は真紅のチャイナドレスを身に纏い、同色のリボンで髪を後ろに束ねている。
「燈はなにを教えてくれるんだ?」
「剣術です。私達にはそれぞれ自分の得意な武器、闘法があります。ですので仁様にはその技術を学んでいただきます」
「悪魔体になった方がいいか?」
「その必要はありません。悪魔体では、まだ身体が重いでしょう?」
──あー、やっぱ昨日のことも魔神の成長についても知ってそうだな。だとすりゃ客を拉致ってる可能性ありありだな──
「そうかい。ならまぁ早速始めようか」
仁は右手に日本刀を創り出し、燈は紅い西洋剣を召喚する。
「文字通り殺す気で来てください」
「それぐらいしなきゃ燈には準備運動にもならないってか?」
「準備運動になればいいですね」
二人の間にピリついた空気が流れる。仁が一撃必殺を狙い左下に刀を構えるのに対し、燈は構えることなく脱力している。
──狙うは首……。一歩半空くほどに距離を詰めて、刀を振り抜く……!──
トン……
走る一歩目のつもりで仁が床を蹴ると一瞬で燈との距離が縮まった。
「!?」
予想よりも自分の身体能力が上がっていることに驚きながらも、即座に左切り上げで燈の首を狙う。
燈は一瞬で距離を詰められたことにも、首を狙う刃にも動じることない。剣を軽く上に放ると仁の右手を右手で掴み、左手で襟を掴むと、体を左回転させながら床に叩きつけた。
仁は背中を強打し、肺の空気を一気に吐き出す。
燈は叩きつけて直ぐ、放った剣をキャッチし仁の首の直ぐ隣に突き刺した。
「準備運動は終わりましたか?」
「まだに決まってんだろ……」
冷や汗をかき、軽く咳き込みながら立ち上がって燈と距離を取る。
「あまりがっかりさせないでくださいね、サタン様が見込んだ方ですから、私も結構期待しているんですよ?」
そう言って微笑む燈の顔は、とても冷たいものに思えた。
仁は一度深呼吸して構える。今度は刺突狙いで刃先を燈に向け、右後ろに引く。足を前後に広げ、上半身を軽く前に倒す。
「いつでもどうぞ」
前に出した左足に力を込め、思い切り蹴り駆ける。銃弾の速度で風を切りながら、燈の胸に刃を立てるべく突進する。
燈は向かいくる刃を上に弾くと、仁の懐に潜り込み柄頭を鳩尾に叩き込む。
「良い反応です」
「そりゃどうも……!」
燈が叩き込んだ柄頭を、仁は咄嗟に左手でガードした。突きが弾かれた時点で鳩尾もしくは腹部への殴打、蹴りを警戒し左手を下げていたのだ。
左手の痛みを堪えながら、一歩下がり刀を振り下ろす。それと同時に、左手に短刀を創り逆手に握る。
振り下ろされる刀を、燈は悠々と躱す。仁は隙を作るまいと距離を詰め、今度は短刀で斬りかかった。
それが躱されたら刀で、それもダメなら短刀でと二本の刃を駆使して、止むことのない斬撃を浴びせて行く。
「素人にしては悪くありません。ですが、それはただ力任せに振り回しているだけです、技とは呼べません」
まるでダンスを踊るかのように全ての斬撃を紙一重で躱し、価値を見出すように仁の動きを見定める。
「はっ! じゃあ見せてくれよ俺に、その技ってものを!」
「では失礼して、武落」
燈が剣を消して木刀を換装する。そして仁の両手首を、彼が目で追えぬ速さで叩き、武器を落とす。
「いっ、づ……!」
「翼狩」
次いで燈は、仁の二の腕両方に木刀を叩き込む。筋が切れ、骨が折れたかと思う程の激痛が両の二の腕に走り、両手が痺れるのを感じる。
「四突」
そして追い討ちをかけるように燈は両肩と両胸を突き、仁を壁まで吹き飛ばす。
「ごほっ……ひゅ……」
壁に激突し、またも背中を強打する。先の突きもあって、仁の肺からは一気に空気が失われた。
ひゅー……ひゅー……と必死に酸素を求めるも、まともに呼吸することが出来ない。
さらには両肩両手首にダメージを受けてるため、武器を握ることもままならず、文字通り立っているだけで精一杯の状態だった。
「さて、意識があるうちに教えておきます。今のが技というものです。ただの斬撃、ただの刺突との違いは相手に与えるダメージ量と戦況を自分に有利に傾けるものと思ってください。この場合ですと仁様の腕にダメージを与えることで武器を使えない状態にし、尚且つ肺へのダメージによって動くことすら困難にする、これによって私は仁様を安全に、確実に殺せるようになるのです」
ゆっくりと近づいてくる燈を、仁は止めることが出来ない。勿論、反撃のために武器を握ることも、逃げるために走ることも……。
──はっ……完全にチェックメイトかよ……──
燈は仁の目の前まで来ると、木刀の先で彼の左胸を軽く突く。立つだけで精一杯だった仁は、それだけで倒れて尻餅をついた。
「これで仁様は死にました、なので今日はここまでに致しましょう」
そう言うと燈は、仁を肩に担いで上へと運んで行く。
「いつか……追い抜いてやるからな……」
仁はそれだけ言い残して意識を手放し、目を閉じる。
「……そのときをお待ちしております、仁様」
梯子を登りきると、そこには笑顔を浮かべたサタンが待っていた。
「…………た、ただいま、終わりました」
「仁様、随分とぐったりしていますね。ちょっとやり過ぎましたか、燈?」
微笑むサタンの顔を見て、燈の顔が一瞬で青くなる。燈も顔だけは笑っているものの、それは引き攣ったものであり、体は小さく震えている。
「仁様をお部屋に運び休ませましょう、仕置きはそれからです」
「はい、畏まりました……」
サタンは仁を自分の肩に担ぎ直すと、彼の部屋へと連れていった。
────────
燈との訓練から数時間経った頃、仁は自室で目を覚ます。時計を見ると、時刻は夕方の十六時。外を見れば相変わらず、時間の感覚を狂わせるかのように満月が星の海に浮かぶ。
「昼飯食い損ねた……」
第一声がこれである。
痛むはずの体を軽く動かすと、手首、両腕他、ダメージを受けた部分に痛みは無い。袖を捲ると、痣も残っていなかった。
「サタンがやってくれたのか? ならあいつから治癒魔法とか教えてもらうか……?」
「はい、よろこんで!」
「いつからそこにいたとかいたならさっさと入ってこいよとか入るならその前に声かけろとか……。言いたいことは溢れてくるが、もうそのへんどうでもいいからとりあえず要件言え、飯の時間には早いだろ?」
「そうですね、まだ夕食までに時間がありますから、仁様が起きたら魔法について授業をしようかと思い来た次第です」
「そうかい、なら丁度良かった。それじゃあ頼むよ、サタン」
布団を畳んで片付け、部屋の端にある足の低い木製のテーブルを真ん中に置いて向かい合うように座る。
「さてでは仁様、魔法というのがどういうものか分かりますか?」
「魔法、なぁ……。改めて言われると迷うが、魔力で撃つ、必殺技、的な……?」
「魔法は攻撃のためにだけ使うものではありませんから三十点です」
「だよなぁ……。結界、治癒、創造となんでもできる、のか……? 死人を生き返らせたり命を創り出せりゃ本当になんでもになるな」
「命の創造を出来るのは殆どいませんね、死人を生き返らせることが出来る人は偶にいます。蘇生方法は死人の肉体にその人の魂を入れる通常の蘇生魔法。他人の肉体に蘇生したい人の魂を入れる魂憑依魔法。後は、他の世界の死人を呼ぶ転生魔法です」
「転生魔法? ラノベにあるような死んだ人間が異世界に行くあれか?」
「あれです。まぁ転生魔法は先の2つの延長ですね。ちなみに私が仁様をこの世界に呼んだのは転移魔法の延長ですね。転移先が同じ世界か別世界かだけの違いです」
「だいぶ大きな違いだけどな」
「で、これを踏まえて魔法とは何かを説明しますと、魔法とはイメージです」
「そりゃまた随分と……」
「ざっくりした答えだ、と?」
今の仁は誰が見てもわかるような不服顔だろう。魔法という自分の居た世界にはなかったものの正体がイメージと言われてそうですかと素直に納得出来るものではない。
「そんな顔しないでください仁様。魔法というのはイメージを魔力で具現化しただけのものです。儀式や呪文はイメージをより強く鮮明なものにするために使うだけですね」
「さいですか……」
「では逆に聞きますが仁様は物を創造するときや変身のとき、イメージ以外に何をしますか?」
「何もして無いな。元々魔力の無い身体なんだ、コントロールらしいコントロールも出来てないだろうしな」
「ですよねー」
「じゃあ火球を出したり土で壁を作ったりってのも誰でも出来るのか?」
「そこまで簡単なものでしたら大体の人は出来ます。仁様も試しに人差し指に火を灯してみてください」
「一発芸かよ」
言われたままに人差し指を立てて先に魔力を集めて火を灯す。
「熱っ!?」
「当たり前じゃ無いですかなにやってるんですか」
「お前がやれって言ったんだろうが!」
「まぁそういうことです。火を出すだけなら出来る人も多いですがちゃんと扱えるのは火属性の魔力を持つ人だけです。火属性持ちは自分で出した火を熱いと感じませんし火傷もしません」
「ちなみにサタンは?」
「聖属性以外なら全て」
「流石魔王ってか」
「見直しましたか?」
「………」
「その微妙な表情はなんですか!?」
「仁様、サタン様、夕食の支度ができました」
「だとよサタン、行こうぜ」
ニ人の会話を遮るように入って来た燈。それを内心ラッキーと思いながら仁は先に部屋を出た。
──魔法はイメージ、か……──
修行二日目、担当は燈だった。白亜の時と同じように地下に降りての訓練。今二人は五メートル程間を空けて向かい合っている。
燈は真紅のチャイナドレスを身に纏い、同色のリボンで髪を後ろに束ねている。
「燈はなにを教えてくれるんだ?」
「剣術です。私達にはそれぞれ自分の得意な武器、闘法があります。ですので仁様にはその技術を学んでいただきます」
「悪魔体になった方がいいか?」
「その必要はありません。悪魔体では、まだ身体が重いでしょう?」
──あー、やっぱ昨日のことも魔神の成長についても知ってそうだな。だとすりゃ客を拉致ってる可能性ありありだな──
「そうかい。ならまぁ早速始めようか」
仁は右手に日本刀を創り出し、燈は紅い西洋剣を召喚する。
「文字通り殺す気で来てください」
「それぐらいしなきゃ燈には準備運動にもならないってか?」
「準備運動になればいいですね」
二人の間にピリついた空気が流れる。仁が一撃必殺を狙い左下に刀を構えるのに対し、燈は構えることなく脱力している。
──狙うは首……。一歩半空くほどに距離を詰めて、刀を振り抜く……!──
トン……
走る一歩目のつもりで仁が床を蹴ると一瞬で燈との距離が縮まった。
「!?」
予想よりも自分の身体能力が上がっていることに驚きながらも、即座に左切り上げで燈の首を狙う。
燈は一瞬で距離を詰められたことにも、首を狙う刃にも動じることない。剣を軽く上に放ると仁の右手を右手で掴み、左手で襟を掴むと、体を左回転させながら床に叩きつけた。
仁は背中を強打し、肺の空気を一気に吐き出す。
燈は叩きつけて直ぐ、放った剣をキャッチし仁の首の直ぐ隣に突き刺した。
「準備運動は終わりましたか?」
「まだに決まってんだろ……」
冷や汗をかき、軽く咳き込みながら立ち上がって燈と距離を取る。
「あまりがっかりさせないでくださいね、サタン様が見込んだ方ですから、私も結構期待しているんですよ?」
そう言って微笑む燈の顔は、とても冷たいものに思えた。
仁は一度深呼吸して構える。今度は刺突狙いで刃先を燈に向け、右後ろに引く。足を前後に広げ、上半身を軽く前に倒す。
「いつでもどうぞ」
前に出した左足に力を込め、思い切り蹴り駆ける。銃弾の速度で風を切りながら、燈の胸に刃を立てるべく突進する。
燈は向かいくる刃を上に弾くと、仁の懐に潜り込み柄頭を鳩尾に叩き込む。
「良い反応です」
「そりゃどうも……!」
燈が叩き込んだ柄頭を、仁は咄嗟に左手でガードした。突きが弾かれた時点で鳩尾もしくは腹部への殴打、蹴りを警戒し左手を下げていたのだ。
左手の痛みを堪えながら、一歩下がり刀を振り下ろす。それと同時に、左手に短刀を創り逆手に握る。
振り下ろされる刀を、燈は悠々と躱す。仁は隙を作るまいと距離を詰め、今度は短刀で斬りかかった。
それが躱されたら刀で、それもダメなら短刀でと二本の刃を駆使して、止むことのない斬撃を浴びせて行く。
「素人にしては悪くありません。ですが、それはただ力任せに振り回しているだけです、技とは呼べません」
まるでダンスを踊るかのように全ての斬撃を紙一重で躱し、価値を見出すように仁の動きを見定める。
「はっ! じゃあ見せてくれよ俺に、その技ってものを!」
「では失礼して、武落」
燈が剣を消して木刀を換装する。そして仁の両手首を、彼が目で追えぬ速さで叩き、武器を落とす。
「いっ、づ……!」
「翼狩」
次いで燈は、仁の二の腕両方に木刀を叩き込む。筋が切れ、骨が折れたかと思う程の激痛が両の二の腕に走り、両手が痺れるのを感じる。
「四突」
そして追い討ちをかけるように燈は両肩と両胸を突き、仁を壁まで吹き飛ばす。
「ごほっ……ひゅ……」
壁に激突し、またも背中を強打する。先の突きもあって、仁の肺からは一気に空気が失われた。
ひゅー……ひゅー……と必死に酸素を求めるも、まともに呼吸することが出来ない。
さらには両肩両手首にダメージを受けてるため、武器を握ることもままならず、文字通り立っているだけで精一杯の状態だった。
「さて、意識があるうちに教えておきます。今のが技というものです。ただの斬撃、ただの刺突との違いは相手に与えるダメージ量と戦況を自分に有利に傾けるものと思ってください。この場合ですと仁様の腕にダメージを与えることで武器を使えない状態にし、尚且つ肺へのダメージによって動くことすら困難にする、これによって私は仁様を安全に、確実に殺せるようになるのです」
ゆっくりと近づいてくる燈を、仁は止めることが出来ない。勿論、反撃のために武器を握ることも、逃げるために走ることも……。
──はっ……完全にチェックメイトかよ……──
燈は仁の目の前まで来ると、木刀の先で彼の左胸を軽く突く。立つだけで精一杯だった仁は、それだけで倒れて尻餅をついた。
「これで仁様は死にました、なので今日はここまでに致しましょう」
そう言うと燈は、仁を肩に担いで上へと運んで行く。
「いつか……追い抜いてやるからな……」
仁はそれだけ言い残して意識を手放し、目を閉じる。
「……そのときをお待ちしております、仁様」
梯子を登りきると、そこには笑顔を浮かべたサタンが待っていた。
「…………た、ただいま、終わりました」
「仁様、随分とぐったりしていますね。ちょっとやり過ぎましたか、燈?」
微笑むサタンの顔を見て、燈の顔が一瞬で青くなる。燈も顔だけは笑っているものの、それは引き攣ったものであり、体は小さく震えている。
「仁様をお部屋に運び休ませましょう、仕置きはそれからです」
「はい、畏まりました……」
サタンは仁を自分の肩に担ぎ直すと、彼の部屋へと連れていった。
────────
燈との訓練から数時間経った頃、仁は自室で目を覚ます。時計を見ると、時刻は夕方の十六時。外を見れば相変わらず、時間の感覚を狂わせるかのように満月が星の海に浮かぶ。
「昼飯食い損ねた……」
第一声がこれである。
痛むはずの体を軽く動かすと、手首、両腕他、ダメージを受けた部分に痛みは無い。袖を捲ると、痣も残っていなかった。
「サタンがやってくれたのか? ならあいつから治癒魔法とか教えてもらうか……?」
「はい、よろこんで!」
「いつからそこにいたとかいたならさっさと入ってこいよとか入るならその前に声かけろとか……。言いたいことは溢れてくるが、もうそのへんどうでもいいからとりあえず要件言え、飯の時間には早いだろ?」
「そうですね、まだ夕食までに時間がありますから、仁様が起きたら魔法について授業をしようかと思い来た次第です」
「そうかい、なら丁度良かった。それじゃあ頼むよ、サタン」
布団を畳んで片付け、部屋の端にある足の低い木製のテーブルを真ん中に置いて向かい合うように座る。
「さてでは仁様、魔法というのがどういうものか分かりますか?」
「魔法、なぁ……。改めて言われると迷うが、魔力で撃つ、必殺技、的な……?」
「魔法は攻撃のためにだけ使うものではありませんから三十点です」
「だよなぁ……。結界、治癒、創造となんでもできる、のか……? 死人を生き返らせたり命を創り出せりゃ本当になんでもになるな」
「命の創造を出来るのは殆どいませんね、死人を生き返らせることが出来る人は偶にいます。蘇生方法は死人の肉体にその人の魂を入れる通常の蘇生魔法。他人の肉体に蘇生したい人の魂を入れる魂憑依魔法。後は、他の世界の死人を呼ぶ転生魔法です」
「転生魔法? ラノベにあるような死んだ人間が異世界に行くあれか?」
「あれです。まぁ転生魔法は先の2つの延長ですね。ちなみに私が仁様をこの世界に呼んだのは転移魔法の延長ですね。転移先が同じ世界か別世界かだけの違いです」
「だいぶ大きな違いだけどな」
「で、これを踏まえて魔法とは何かを説明しますと、魔法とはイメージです」
「そりゃまた随分と……」
「ざっくりした答えだ、と?」
今の仁は誰が見てもわかるような不服顔だろう。魔法という自分の居た世界にはなかったものの正体がイメージと言われてそうですかと素直に納得出来るものではない。
「そんな顔しないでください仁様。魔法というのはイメージを魔力で具現化しただけのものです。儀式や呪文はイメージをより強く鮮明なものにするために使うだけですね」
「さいですか……」
「では逆に聞きますが仁様は物を創造するときや変身のとき、イメージ以外に何をしますか?」
「何もして無いな。元々魔力の無い身体なんだ、コントロールらしいコントロールも出来てないだろうしな」
「ですよねー」
「じゃあ火球を出したり土で壁を作ったりってのも誰でも出来るのか?」
「そこまで簡単なものでしたら大体の人は出来ます。仁様も試しに人差し指に火を灯してみてください」
「一発芸かよ」
言われたままに人差し指を立てて先に魔力を集めて火を灯す。
「熱っ!?」
「当たり前じゃ無いですかなにやってるんですか」
「お前がやれって言ったんだろうが!」
「まぁそういうことです。火を出すだけなら出来る人も多いですがちゃんと扱えるのは火属性の魔力を持つ人だけです。火属性持ちは自分で出した火を熱いと感じませんし火傷もしません」
「ちなみにサタンは?」
「聖属性以外なら全て」
「流石魔王ってか」
「見直しましたか?」
「………」
「その微妙な表情はなんですか!?」
「仁様、サタン様、夕食の支度ができました」
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