4話　殺気

すると突然




『やめんか馬鹿共、サクは何やってる大将が配下の妖怪まとめられなくてどうする。黒狐、白狐も止めんか』


突如現れたのは、白髪の男をサクと呼ぶ白髪の男に瓜二つな男が現れた…違うのは髪の色が黒髪なとこぐらいだ


『ヴァル…久しぶりだな…悪かったな、サクがまだ新米なばかりにこいつらもお前に剣を向けたりして』


どうやら黒髪の男はヴァルを知ってるみたいだ、だが、ヴァルは心当たりがなく呆然としていた


『その顔…俺の事忘れてしまったか？…まぁ仕方ないか、随分昔のことだしなぁ』


黒髪の男は眉を下げ悲しそうにするが、妖怪達がまだ殺気を放ってるのに気づきパンパンと手を叩き妖怪達に屋敷に戻れと合図する

『終いだ、ヴァルは俺の友人でもある。それでも文句ある奴は俺を倒してみな』


そう言い剣を地面に思いっきり突き刺し、来いよとニヒルに笑い弱い妖怪何かは立っていられないくらいの殺気を放つ


『さ、さくら様…やめてください、私達にもきついです』


顔を歪めさせながら茨木童子は殺気に耐えていた
4人衆を残して他の妖怪達は殺気にやられ倒れる者や、屋敷の中へと辛そうに帰っていった


『ふんっ、まだまだだなぁ…これくらいほんの少し出しただけなんだが…仕方ない』


さくらと呼ばれた黒髪の男は、茨木童子の言葉に渋々殺気をしまい、剣を収めた
それを見計らってサクは


『…親父、何で此処に…それにどうしてヴァルのこと…』


サクにもさくらは殺気を飛ばしていたようで…（とは言っても他の妖怪達よりは柔らかかったが）疲れているが、ヴァルとさくらの方へ向かった


『ヴァルは覚えてないみたいだが、昔俺の事助けてくれてな…それで知ってるんだ』


『え…ごめんなさい』


『いいんだ、何百年も前の事だ、俺が勝手に覚えてただけだ』


それを聞いた4人衆は突然ヴァルの前に跪き


『『『『先程は失礼いたしました』』』』


とヴァルに謝った


『え、あ、え？』


ヴァルはいきなりの事に戸惑い、さくらを見上げ目でどういう事か訴える


『こいつらもヴァル、お前に助けられたんだよ…こいつら忘れていたようだがな』


さくらは忘れていた4人衆に苛々していた


『え…そうなんだ…』


ヴァルは記憶にないから助けたかどうかは覚えてないから反応に困っていた


『ですが…さくら様、その本当にあの時助けてくれた方ですか？…』


茨木童子が聞きにくそうに申し出た


『あぁ、間違いないあの時助けてくれたのはヴァルだ、なぁ？白狐』


『…はい、助けたのはヴァル様に間違いはありません』


『…そうですか…失礼いたしました』


茨木童子は、まだ言われた事に納得ができないまま難しい顔をしていた


『白狐、貴様は覚えていたんだな…こうも覚えてないのも珍しいな…』


ヴァルはこうもみんなが覚えている事を自分だけが忘れている事に違和感を感じていた


『ヴァル様、貴方は数多くの人を救いになっておられます。忘れている者がいてもおかしくはないでしょう…そんな事より屋敷の中へと入りませんか？外は冷えますし』


白狐は話を逸らすようにヴァルの背中を押す、そしてさくらを見て屋敷へと案内して下さいと一言


『あ、あぁ』
さくらは白狐を不信に思いながらも屋敷の方へとヴァル達を招き入れたのであった