3話　戦い

『ヴァル、着いたぞ』


『…お屋敷ですか…そうですか』


目の前にはいかにも妖怪が住んでいそうなお屋敷がそびえ立っていた


『中に入るぞ』


男はヴァルの今度は手を引っ張り
屋敷の中へと歩いて行く…すると屋敷の玄関にはずらーーっと妖怪がいて
『おかえりなさいませ総大将、いらっしゃいませヴァル様』と男とヴァルを迎えいれた


『・・・なんだこれは、妖怪がこんなに沢山』


『お前さん、俺が総大将って知ってたんだろ？…驚くことはねぇじゃねえか』


『まさか出迎えられるとは思ってなかったわ！滅せられても知らんぞ』
ヴァルは驚きのあまり滅するときの構えをし妖怪を威嚇していた


『いや、滅さないでくれよ…こいつら俺の仲間なんだから』
男はヴァルの行動に呆れ苦笑いつうヴァルを止める


そんな二人の会話を聞いていた妖怪達は


『滅する…？……………………えっ、陰陽師！？』


『あれ？言ってなかったか？こいつ陰陽師』
男は重大な事を言い忘れていたようでヴァルの肩を持ちほれっと妖怪達に見せる


『ええぇぇぇぇ』
妖怪達は陰陽師と肯定の言葉を聞き慌てふためき一目散に逃げる者や、蹲って滅される滅されると泣いてる者と大騒ぎになってしまった




『うおっ！？』


そんな中、陰陽師と聞き自分の総大将が危ないんじゃないかと切りかかってきた


『総大将、陰陽師は危険です、お下がりください』
4人の妖怪が総大将を護るようにヴァルに剣を向けていた


『猫、鎌、茨、首、そいつは俺の友人だ、剣を下げろ』


猫又の猫、鎌鼬の鎌、茨木童子の茨、針男の針
何ともそのままな呼び方だ
この4人の妖怪は4人衆と言って総大将の護衛役の強い妖怪達であった


『総大将、では後にお下がりください』
茨木童子の茨は、総大将の手を引き後に下がる




『総大将、ですが…』


そう言うのは普段は大人しい猫又の猫、だが、陰陽師と聞き、総大将の命令とあってもなかなか引いてはくれない


『大将、陰陽師娘の首切り裂いていいですか』


物騒な物言いなのは鎌鼬の鎌、風を纏い今にも切り裂く勢いだ


『やめんか鎌、仮にもこの陰陽師は総大将のご友人…切り裂くのは止せ…』


鎌の前に立ちヴァルを庇う針、だが、ヴァルの方へ向き、突然針を投げた


『え…』
ヴァルは驚きのあまり立ちすくむ
そんな中カキーンと針を弾く音が聞こえる…


『おい、ヴァル様に何を…』　
突然光とともに、黒い狐と白い狐が現れてヴァルに向かってきた針を叩き落とす


『ヴァル様に手を出すなど…今まで見てましたけど…これは挑発と受け取りました。よってこの場にいる妖怪を滅します。』


『おい、待て、こいつらがした事は大将として謝る、すまねぇ…だが、こいつらのこと見逃してやってくれねぇかい？』


『貴様は大将の癖に配下の者もまとめられんのか…その程度の奴が大将など、呆れてものも言えんわ』


『我が大将を愚弄するか、面白い…殺してやる』


妖怪と陰陽師（狐）はピリピリと自分の大将を差し置き、剣を構えた