モンスターのスキルを奪って進化する〜神になるつもりはなかったのに〜(修正中)

刺身食べたい

第3話:3年間(前編)

   俺は3歳になった。今から3年間を振り返ってみようーー


ーー0歳

   何をしなくても食事や世話をして貰った。この部分だけを聞くと凄く楽に思えるかもしれない。だが、実際は楽でも何でも無い。
   することが全くなさすぎてだ。せいぜい出来るのは、目を動かして周りを見ることと寝ることだけだ。

   最初の時はあれほど罪悪感があったのに今では何も感じず、むしろ自分から胸を吸いにいくようになった。ただの食事行為だから厭らしかったり、恥ずかしかったりすることも無い。相変わらず、食事中は何故か記憶が消えるけど。

   そうそう、恥ずかしいと言えば『トイレ』だな。こればっかりは自分で出来ないから仕方がないけど‥‥‥何だろう‥‥‥人としての尊厳がゴリゴリと削られている気がする。こっちも何故か記憶が消えている。不思議だ‥‥‥。

   とある時期から、数回に1回の頻度で食事が母乳からよく分からない離乳食らしきものに変わった。お粥みたいな食感だが‥‥‥何が入っているのかは分からない。味は至って普通だから、気にせずに食べている。こういうのは気にしたら負けだ。

   もはや、何日か数えるのが面倒になった頃、『ハイハイ』が出来るようになった。歩けないから今のところの移動手段はコレしかない。でも、『ハイハイ』ではすぐに疲れるし、部屋から出してもらえない。一度部屋から出ようと思ったが、ドアノブが高すぎて手が届かなかった。

   そうそう、言葉だが喋ろうとしても「うー」や「あー」というような不明瞭な声しか出なかったから諦めた。1歳になったときにもう一度試そう。


ーー1歳

   0歳の時とは違って完全に離乳食になった。ん?なんで1歳になったのを知っているのか、分からないって?メイドさんがいつものとはちょっと味が違う美味しい離乳食を持って来たからだ。お祝いに食べる赤飯みたいなものだろう、多分。

   0歳の時に決めた『1歳になったら声が出るのか試そう』というのだが、結果を言うとーー声は出た。赤ちゃん言葉だが‥‥‥。

   1歳になれて一番嬉しかったのが、ことだ。だが、まだまだ身長が低くてドアノブに手が届かない‥‥‥その為、部屋の外に出ることが出来なかった。
   バリアフリーを徹底しろと言いたいが、赤ちゃんがいる部屋だとこれが正しい‥‥‥のかもしれない。

   1歳になって口を動かし、発音が出来るように練習してから暫く経った頃、遂に喋ることが出来た!‥‥‥『単語』だけだが。もっと練習すれば、会話が出来ると思うとモチベーションが上がる。引き続き、頑張って練習しよう!!

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