異世界生活物語

花屋の息子

軍部での評価

「エドワード君ありがとう、使い方を教えてもらうだけのはずが、手伝いまでさせてしまったね」
ニパーチさんは、そこらへんのおっちゃん顔で微笑みながらお礼を言ってくれた。
「怪我してる人たちを放って置くなんて僕には出来ませんから」
「隊長もすぐに戻ってこられるだろうから、詰め所で休んでいてくれるかい」
「わかりました」
「ほらみんな、警邏に戻らないと隊長にドヤされれるぞ」
ホルトマンさんが大声を張り上げて持ち場に戻るように促す声が響いている、あの人の声は本当に大きい。
そして怪我が塞がるやいなや仕事に復帰させられる、軍人=ブラックな世界を垣間見た気がした、現代軍ならここまでのブラックさは無いのだろうが、この世界では魔物や魔獣と言った永続的に湧き続ける敵がいるため、人員不足×不思議体質=ブラックの公式が出来上がっている。
持ち場に戻っていく兵士のおっちゃんたちが頭をなでたり、礼を言ってくれた、魔法ほどの即効性が無かったので、少しの間は痛いのを我慢してくれたのに、やさしいおっちゃんたちである。
その治療が終わった隊を見て、戦線からスケールボアを曳いた一隊と共に戻って来た、マリオネルと副官が言葉を交わす。
「使えなくは無いと言ったところか」
「隊を万全にさせておくには良いかと思われます、が、やはり難点とすれば治癒までが遅い事かと」
「それは仕方の無い事だろう。小僧も遅い事は言っていたのだ、そこは攻められまい」
軽傷者は治療後、傷はふさがり薄皮がのるほどの回復を見せていたが、魔法での回復を見慣れた者からすれば、倍以上の時間がかかっていると言いたくもなる。
「隊の装備として買い上げるとお聞きしましたが、クライン殿の孫君には価格の話などは?」
「いや、まだ話してはいない、話の途中で出て来てしまったからな、お前はどのくらいが妥当だと思う?」
「あの枡一つで2500~3000ピリンなら出せるかと」
「2500で話をしよう、それにしても不思議な子供だ、子供と話をしているような気がしない」
「それほどに面白い子ならば一度会ってみたいものですな」

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