異世界生活物語

花屋の息子

ジョーカーの回収案

 少なくともあの隊長さんが、この話に乗ってくれなければ全く意味を成さないのだけど、傷を負うことが多い兵士職にいる人間なら、回復魔法によるデメリットはガチのピンチ時ように取って置きたいだろうから、取引材料としては十分だと思う。
 この辺りは今はまだ完全に獲らぬ何とかの皮算用でしかないので、父経由ででも隊長さんに話をしてもらって、プレゼンと言う運びになってくるだろう。
『しばらくは、余計な事は話さないけどね』
 そしてその余計な事に気付かせない様に、香草の粉末でも混ぜてあげたら、エドワード謹製軟膏の完成だ、
 しかし広めるのは、エドワード謹製”劣化”軟膏の方という訳だ、その内訳は。
 一つ目はクリームは湯を変えて二度の溶解精製をしなければ、6割強から7割程度の効果しか得られないのだ、約35パーセントの効果ダウンは大きいだろう。
 二つ目はクリームは2日しか持たない、これは誰にも話していない、2日で湯煎して一度油に戻せば良いだけだが、3日置いて固まった油はもうクリームには戻せない。
 この条件のうち、二つ目は生産量を装う以外では、俺も解決方法が無い、確かに湯煎し直せばいいのだが、その辺りは面倒なので、毎日使った分だけ補充でも良いかもしれないし、劣化軟膏でも良いのであれば、そちらは好きに使ってもらえれば問題ない、100均と値段が上の商品があってもそのプチ高級品が駆逐されないのと同じ原理で、やはり良い品の方が欲しいと言うニーズは、それなり以上にはあるものだ、ましてそれが命を左右するかも知れない品となればなおのこと。
 それにこれは所謂ハンドクリームと同じだ、ベタベタ付ければ効果が上がるものでも無く、薄く塗り広げて使うものなので、鍋さえあれば俺一人でも50人分だろうが100人分だろうが、一回に2日分は作ることが出来る。
 玉石混合にはなってくるだろうが、効果があることが知れれば今回の女性陣の手荒れから、擦り傷切り傷までと、先の長い良い商売が出来そうだ。
 ちなみにこれにはウェインを誘うつもりでいる、ゆくゆくは義理の兄になるのだ、姉さんの婿に俺からの早めの結婚祝いとして、全権ごと贈ればこれに勝る結婚祝いは無いだろう。
 単純にクリームだけ作っているのなら人手が要らないが、他までやるとなれば当然人手を入れなければ、俺はハンドクリーム屋さんを異世界で開く事になる、それは無いだろう?、誘える人材はまず家族からだ、大阪で天下を取った人も、弟を誘った、甥などを取り立てた。
 俺は義兄からだ、天下は取れなくても、夢は大きいのだ。

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