異世界生活物語

花屋の息子

予感と応用

「作ってみれば良いんじゃない?」
 流石に品評会をこのまま続けさせたところで、何かを得られるわけではない、薪組や整地組みだって、そろそろ方が着く頃合だろうし、どの道乾燥無しで焼こうとしているのだから、全部失敗するのは分かっているのだ、いっぺんに正解に導いた方が楽なのだけど、そういう訳にも行かないし。
 それに文明の進化は誰かが、それに気付いて失敗を重ねながらたどり着く物だと思う、本来なら何十回何百回と失敗と改善を繰り返す所を、1~2回の失敗で済むようにしているのだからそれで勘弁してもらいたい。
「そうね、みなさん空き地に戻りましょ」
 ぞろぞろと来た道を、ザルいっぱいの土くれを担いだ女性陣が戻る光景は、ムチでも持った人がいたならば、奴隷の行軍にしか見えない、奴隷のそれと比べたら上等な服を着ている訳だけど。
 俺のザルは大人のそれと比べたら、一回り小さいが粘土満載のためかなりの重量がある、あれ?これって、俺が一番奴隷っぽい?
 そんな訳で、ミファが使っているパッシブブースト型の身体強化をかけている、いつの間に使えるようになったんだって?ムキムキマッチョ型のに比べたら、メチャメチャ簡単だったよ、超有名RPGの攻撃力倍加魔法だと思えばいいんだもん、理論的に合っていれば魔力の消費量が格段に下がる訳だけど、理屈よりイメージが大切なのが魔法ですから。
 それに、攻撃力倍加魔法をイメージしているお陰で、本当に力が2倍くらいになっているし、そのイメージでゲームでそうだったって、理由付けまで有るせいか魔力消費も大した事が無い、ゲームって役に立つね、
 って言っても元々この世界の人が、普通に使っている魔法に限る訳で、瞬間移動呪文を意識しても、転移魔法が使えるようにはなっていないのが、魔力不足の痛いところなのだが。
 草原だったところが刈り取られて、広々とした空き地に変わっていた、脇には薪も運び込まれて積まれている、しかし不思議な事があるものだ、刈り取られる前ここに生えていたのは、青々とした草だったはずだ、それが今積まれているのは、カラカラに乾いた干草と言える物だったからだ。
 あれ乾燥って出来るんですか?っと思ったら、ウチの人間経由で材木の乾燥をやった時のやり方が、流出したみたいだった、口止めするのも変なものだし、流出したところで別にかまわないのだけど、せめて一言欲しいかな、まあ俺式乾燥魔法も焚き物を集めたりするには、便利だからまあ大いに使って下さいな。

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