異世界生活物語

花屋の息子

俺の評価は浮いたり沈んだり

畑にGO、鉄道ゲームのような言い方だが気にしないで欲しい。
  周りの畑では三角ホーを使っている人がいる、だが三角ホーは未だ実証実験中と言う事で、この町内からは外に出さないように頼んでいるが、情報流出はいつ起こるかわからない。
 「人の口に戸は立てられないって言うしな、口止めにも限界があるか」
  三角ホーの一つや二つで農業革命なんて事にはなら無いが、省力と増産は人余りに繋がりかねない、貧富の差を広げるのが目的で作った訳では無いので、どの程度の作業と収穫に幅が出来るか確認してからじゃないと、隣の集落に広める事もためらってしまう。
  同じ区画でも町が変わると人の行き来はあまり多く無い、近くにコンビニがあるのに遠くの同じ系列店まで買い物に行かないのと同じだ、普段では伐採などでも無い限りは、隣の集落の人が行き来する事も稀なほどなので、情報伝達はかなり緩やかな方だが、緘口令案は考えておかなければいけないかもしれない。
  畑までの距離は大した事が無いので、考え事をするには少し距離が足りなかった。
 「エドワード手伝いに来たのか?」
 「違うの、お昼だから呼びに来たんだよ」
 「お、もうそんな頃か、父さん昼だってよ」
 「今行くわい」
 「お鍋返したから、ママがスープ作ってくれるって」
 「そうか、スープが無くて物寂しかったからな」
  三角ホーでの功績が、この一件で台無しにされた気がする、恐るべき食べ物の恨み。
 「じいちゃん、ゴメンなさい」
  ここは素直に謝っておくに限る、迷惑を掛けたのは確かだからな。
 「気にするんじゃない、男の子はそのくらい向こう見ずなのが丁度ええわ」
 「それで今度のは何を作っているんだ?」
  ロウソクの方はあまり興味ないだろうから、肥料の話のほうが良いだろう。
 「骨でね畑の肥料を作ったんだ、でもうまく行くか解らないから、カイバクをウチで少し育ててみようと思って、少し貰っちゃダメかな?」
 「カイバクにやる肥料か?まあ少しくらい良いが、あの寝床のヤツじゃないのか?」
  あ~、俺の心の傷をえぐられた気がする、心の中の俺は膝をついているよ。
 「あれは畑用だよ、今度のは肉屋さんから貰ってきた、捨てる骨を使うから誰も使ったことが無いでしょ、もし畑に撒いてダメなら困るから、ウチで試してから使おうと思って」
 「お前本当に子供か?」
  デジャブかな、前にも言われたような気がする、体は子供です。
 「本当にエドは、何でも思いつくな、良いぞ、ただしいっぱいはダメだからな」
 「うん、ありがとう」
  よしこれで試験材料は整った、昼過ぎは木工だな。

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