異世界生活物語

花屋の息子

帰宅と超人少女

 長かった、この世界の風習、頓珍漢な猟師、これらとの戦いを制しやっと念願の脂身ゲットの時が来た、とまあ大仰に言ってみたけど、あの猟師系戦士団のせいで時間を取られた事は事実だし間違った事は言ってい無いと思う。
 母が肉を購入し終わって肉屋の裏手に回ると、いかにもゴミといった風に脂身やら小骨が箱に入れられていた。
 この世界では、魔物の大骨などは利用価値のあるものとされて、俗に言う素材系アイテムの扱いを受けるのだが、小骨までは利用されずゴミとして処分されている、一般的には大骨、皮、肉や内臓が素材アイテム、脂身や小骨と血がゴミといった区分けだろうか。
「意外に臭わないのね」
「そうだねママ、もっと臭うのかと思ってたけど」
 助かる事にゴミ箱からは生臭いにおい等はしていなかった、いくらこんな衛生概念の無い世界でも何日も放置した、生ゴミを放置したりはしていないのだろう。
 俺としてもそんな悪臭が立ち上る物であれば、崇高な目的があろうともお断りしたくなるので、非常に助かる、もしかしたら放置しないのは、臭いゴミを処分するのがおっちゃんも嫌だからかもしれないな。
 そんなことを考えながら、ウチから持参したズタ袋に脂身を詰めていく、流石に母に持たせる訳にもいかないので、せいぜい3~4キロって処だ、そのぐらいしか持って帰る事ができない、ブースとの魔法でも使えれば10キロでも20キロでもさほどでもないのだろうが、使えないものは仕方が無い、それに小骨も少し貰って行くとしよう、いくら素材価値が無いといわれる小骨でも、俺には有効活用する手段が思いついている、
 これで俺の異世界生活が更に飛躍してくれる事だろう、ゴミ様々だな。
 3キロの脂身に1キロほどの骨、持ち上げること自体は大した事無くてもこれを持って帰るとなかなかしんどそうだ。
 両手で抱えたり、肩に背負ってみたり、おんぶの要領で後ろ抱えにして見たり、持ち方を試行錯誤しながらなんとか家路を急いだ、まあ急がないと流石に重いのだ、泣き。
「エドそれ何~」
 家のそばまで来ると、ミファという女の子が話しかけてきた、姉の友達でちょくちょくウチにも遊びに来ている娘だ、それゆえに俺の発明品も見ているのでチョイチョイ見せてと言ってくる、そしてこのミファは細身の体つきながらなぜと言いたくなるほど力が強い、絶対腕相撲など絶対王者になってしまうレべルでだ。
「脂身だよ、たいまつとかに使うだろ、ってかミファ姉ちゃん持ってよ、重いよ」
 それをひょいと持ち上げながら。
「エドはだらしないわね、ぜんぜん軽いじゃない」
 それはあなたの力が強すぎるのです、絶対この人パッシブブースト掛けてるよな。



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