無い無い尽くしの異世界生活
浮気の代償
キラキラ石の特徴としては重みがほぼ無い、そのため常に両腰の巾着袋に入れて持ち歩いても苦になる事はなかったのだ。曾祖母が手渡してきたのは子供のこぶしサイズの石で、俺の持ち歩いているのは、”おはじき”サイズの小さな石、こんな大きな物も在ったのだと驚いた。
今まで散々近所の子供たちから巻き上げた石が、まさかの魔石だとは思いもよらなかったが、魔素を吸収するってだけでお宝では無いのか⤵。
「エリザさん、吸った魔素はどうなるの?」
「握って魔法を使えば周りの魔素に関係なく魔法に使えるわねぇ~、そのままでもゆっくりと染みだして一時的にだけどぉ~、周りの魔素をほんの少し増やしてくれるわぁ~」
手持ちの吸魔石に魔素を吸わせてから家の中に置いておけば、たまに魔風穴に通うだけで良くなるって解釈で良いのかな?、拳サイズは一つも持っていないが、今の手持ちだけで多分100個くらいは有るだろう、問題はどのくらい出るのかと言う事だ。
「これ全部に吸わせて家の中に置いて置いたら、たまに魔素を吸わせるだけで、いつも魔風穴に行かなくても良いと思いますか?」
手持ちの収魔石を見せてみた。エリザさんの残念な子を見るような目は忘れられそうに無い。なぜそんなに残念な子扱いされなければならない。
「こんな物どうしたの?、いくら小型の物と言ってもあなたのような子供が、魔物狩りに目覚めたとは思えないのだけど?」
「してませんよそんな事!、東の草原に行けば結構拾えるんです」
またもエリザさんの口調が標準に戻った。実際山ほど拾える訳ではないが、山菜摘みは下を向いて作業をするから手元に在れば拾う、5個10個拾うのは訳がないだ。それより気になったのは、これって魔物から取れるの?と言う事。
「あっ!あの時の火に巻かれた魔物の残骸って事ね」
あの時とは浮気事件の事だろう、曾じいちゃんの悪戯が無ければ、この魔石も拾う事が出来なかった訳で、今は俺を含めた子供たちに役だってくれている。
「あれだけの場所を焼く魔法って。すごいですね」
化け物かとは言わない、そこまで自殺願望はないのだ。
「あれは私の魔法で燃やした訳じゃないわよ、でもまあ無いとも言い切れないのだけど・・・」
誇張なしの本人談をまとめると、東区画にまで火の魔法を放ちながら曽祖父を追いかけた。時期は乾季の終わりで森の中と言えど乾燥しており、下草に燃え移り大炎上。結果として森が燃え落ちたのが事の顛末だという。それほどの山火事に巻き込まれて曾祖父が生きていた理由は、魔素が吹き上がっている魔風穴がたまたまあったからに過ぎない、魔風穴から立ち上る魔素は周囲の物を押しのけているらしく、火や熱なども例外ではなく入ってくる事は無いらしい、一種のバリアみたいな物だ。その周囲は地下の温度と同じで年中一定だと言う、遠くで見た事はあっても近づいた事は無かったので初耳情報だった。
エルザさんが無事だったのは、強力な風の魔法で自分の周りを覆っていたからとか。もしかしたらそれが火を煽ったのでは?とも思ってしまうが、まあ良いだろう。
魔風穴は山でまれにあるという風穴の様なものなのかな?、それにしても西の外れから東の外れまで追いかけて、それで火を付けながら曾祖父ちゃん追い掛け回すとか怖すぎです。
アメリカとかのニュースで見る、森林火災みたいな状態になるほどって、どれだけ放火したのだろうか?それでも焼け残る魔風穴のバリアが凄いと言うべきか、お陰で草原にへそのような林が残ったのだから、可燃物の前で火の魔法ぶっ放は止めましょうという事なのか。
この世界の植物は魔素があるから成長が早い事は話したと思うが、いくら強健な植物でも種や、根までも燃え尽きてしまえば復活する事など出来る訳は無いのだ。
曾祖母の目は懐かしいものを見るように魔石に注がれている、「あの後数年は草一本生えてこなかったわ~」などと言うほどだ。
そんな事自慢にもなりません、だから狂気の魔女みたいな言われ方するんです。
「魔風穴に来れば魔力を上げられるのに、何でみんな魔力を上げないの?」
素朴な疑問だ。収魔石よろしくここに来るだけで魔力アップ出来るなら、みんな通えば良いじゃないか?、東の草原にある魔風穴なんて誰でもが山菜取りに出かけるのだから、ある意味チートスポットでしかないだろ、それなのに母みたいに魔力が弱いのが当たり前とかおかしくないか?
「そんなに簡単じゃないわよ~、魔風穴から出ている魔素を体に馴染ませたり~、体の中でクルクル回したりしないといけないわ~、タダここに居るだけで魔力が上がるならみんな来るわよ~」
何かしらあると思っていたけど、やっぱり面倒臭い過程があったんだな、ただで出来るなんて思っていなかったけどさ、本当だよ。口調の変化が面白い人だとも言わない。
「やってみたら分かるわ~、そこに立って~」
言われるがままに魔風穴の口元に立ってみるが、うん?、何にも感じないし体に変化が起きてる感じもしない。風穴なんて言うほど風が出ている訳でもない、腰に付けた皮袋からミニ収魔石を出してみると、すぐに色が変るのだから魔素が出ていることは間違い無いんだろう。でも何も感じないのだ。
「何にも起きませんけど」
「そうね~、そんなにすぐ出来たらみんなやってるわ~」
出来ないのが当たり前みたいに言われても、曾祖母の顔を見る限り教える気も無いみたいに見える。まるで自分で考えろと言わんばかりだ、取り合えずもったいないから収魔石には、吸収できる限りの魔素を取り込んでもらうとしよう。
ザラザラと魔風穴の周りに皮袋の中身をぶちまけた。うん綺麗なもんだ。
そのまま収魔石を見ていたら何か心が落ち着いた。寺にでもいる感じといえば良いかもしれない、そこで思いついた。「座禅かな」ボソッとつぶやいたが、心の中が洗われるような感じがしたので、座禅でもしてみたら、何か見えるのかもと思った。
今まで散々近所の子供たちから巻き上げた石が、まさかの魔石だとは思いもよらなかったが、魔素を吸収するってだけでお宝では無いのか⤵。
「エリザさん、吸った魔素はどうなるの?」
「握って魔法を使えば周りの魔素に関係なく魔法に使えるわねぇ~、そのままでもゆっくりと染みだして一時的にだけどぉ~、周りの魔素をほんの少し増やしてくれるわぁ~」
手持ちの吸魔石に魔素を吸わせてから家の中に置いておけば、たまに魔風穴に通うだけで良くなるって解釈で良いのかな?、拳サイズは一つも持っていないが、今の手持ちだけで多分100個くらいは有るだろう、問題はどのくらい出るのかと言う事だ。
「これ全部に吸わせて家の中に置いて置いたら、たまに魔素を吸わせるだけで、いつも魔風穴に行かなくても良いと思いますか?」
手持ちの収魔石を見せてみた。エリザさんの残念な子を見るような目は忘れられそうに無い。なぜそんなに残念な子扱いされなければならない。
「こんな物どうしたの?、いくら小型の物と言ってもあなたのような子供が、魔物狩りに目覚めたとは思えないのだけど?」
「してませんよそんな事!、東の草原に行けば結構拾えるんです」
またもエリザさんの口調が標準に戻った。実際山ほど拾える訳ではないが、山菜摘みは下を向いて作業をするから手元に在れば拾う、5個10個拾うのは訳がないだ。それより気になったのは、これって魔物から取れるの?と言う事。
「あっ!あの時の火に巻かれた魔物の残骸って事ね」
あの時とは浮気事件の事だろう、曾じいちゃんの悪戯が無ければ、この魔石も拾う事が出来なかった訳で、今は俺を含めた子供たちに役だってくれている。
「あれだけの場所を焼く魔法って。すごいですね」
化け物かとは言わない、そこまで自殺願望はないのだ。
「あれは私の魔法で燃やした訳じゃないわよ、でもまあ無いとも言い切れないのだけど・・・」
誇張なしの本人談をまとめると、東区画にまで火の魔法を放ちながら曽祖父を追いかけた。時期は乾季の終わりで森の中と言えど乾燥しており、下草に燃え移り大炎上。結果として森が燃え落ちたのが事の顛末だという。それほどの山火事に巻き込まれて曾祖父が生きていた理由は、魔素が吹き上がっている魔風穴がたまたまあったからに過ぎない、魔風穴から立ち上る魔素は周囲の物を押しのけているらしく、火や熱なども例外ではなく入ってくる事は無いらしい、一種のバリアみたいな物だ。その周囲は地下の温度と同じで年中一定だと言う、遠くで見た事はあっても近づいた事は無かったので初耳情報だった。
エルザさんが無事だったのは、強力な風の魔法で自分の周りを覆っていたからとか。もしかしたらそれが火を煽ったのでは?とも思ってしまうが、まあ良いだろう。
魔風穴は山でまれにあるという風穴の様なものなのかな?、それにしても西の外れから東の外れまで追いかけて、それで火を付けながら曾祖父ちゃん追い掛け回すとか怖すぎです。
アメリカとかのニュースで見る、森林火災みたいな状態になるほどって、どれだけ放火したのだろうか?それでも焼け残る魔風穴のバリアが凄いと言うべきか、お陰で草原にへそのような林が残ったのだから、可燃物の前で火の魔法ぶっ放は止めましょうという事なのか。
この世界の植物は魔素があるから成長が早い事は話したと思うが、いくら強健な植物でも種や、根までも燃え尽きてしまえば復活する事など出来る訳は無いのだ。
曾祖母の目は懐かしいものを見るように魔石に注がれている、「あの後数年は草一本生えてこなかったわ~」などと言うほどだ。
そんな事自慢にもなりません、だから狂気の魔女みたいな言われ方するんです。
「魔風穴に来れば魔力を上げられるのに、何でみんな魔力を上げないの?」
素朴な疑問だ。収魔石よろしくここに来るだけで魔力アップ出来るなら、みんな通えば良いじゃないか?、東の草原にある魔風穴なんて誰でもが山菜取りに出かけるのだから、ある意味チートスポットでしかないだろ、それなのに母みたいに魔力が弱いのが当たり前とかおかしくないか?
「そんなに簡単じゃないわよ~、魔風穴から出ている魔素を体に馴染ませたり~、体の中でクルクル回したりしないといけないわ~、タダここに居るだけで魔力が上がるならみんな来るわよ~」
何かしらあると思っていたけど、やっぱり面倒臭い過程があったんだな、ただで出来るなんて思っていなかったけどさ、本当だよ。口調の変化が面白い人だとも言わない。
「やってみたら分かるわ~、そこに立って~」
言われるがままに魔風穴の口元に立ってみるが、うん?、何にも感じないし体に変化が起きてる感じもしない。風穴なんて言うほど風が出ている訳でもない、腰に付けた皮袋からミニ収魔石を出してみると、すぐに色が変るのだから魔素が出ていることは間違い無いんだろう。でも何も感じないのだ。
「何にも起きませんけど」
「そうね~、そんなにすぐ出来たらみんなやってるわ~」
出来ないのが当たり前みたいに言われても、曾祖母の顔を見る限り教える気も無いみたいに見える。まるで自分で考えろと言わんばかりだ、取り合えずもったいないから収魔石には、吸収できる限りの魔素を取り込んでもらうとしよう。
ザラザラと魔風穴の周りに皮袋の中身をぶちまけた。うん綺麗なもんだ。
そのまま収魔石を見ていたら何か心が落ち着いた。寺にでもいる感じといえば良いかもしれない、そこで思いついた。「座禅かな」ボソッとつぶやいたが、心の中が洗われるような感じがしたので、座禅でもしてみたら、何か見えるのかもと思った。
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