無い無い尽くしの異世界生活

花屋の息子

曾婆ちゃんの武勇伝は俺の目標

 魔法の使用はイメージ力の方が重要そうで、キャンドルライトをイメージして火の詠唱をしても、きちんとキャンドルライトの光が発動された、その後詠唱破棄は何度か試したが出来そうでできなかったから、詠唱自体は、トリガー的な役割をしているのだと思う、ライトのイメージは問題ないが、詠唱破棄するにはライトの”魔法”に対するイメージが足りないのかもしれない。
 魔力に関しては総量が足りなさ過ぎる、お約束の使いきり寝るを繰り返すのか?、それとも繰り返し使えば筋トレすると筋肉が付くように魔力も身に付くのか?、それとも有名RPGに出てくる木の実的な最大MPアップアイテムが存在するのか?、はたまた一生このままか!、最後のだけは勘弁だけどな。
 とりあえず毎日ギリギリまで使って魔力が伸びるかの検証はしていこうと思う、せっかくの魔法があるのだから、魔力不足で使えないなんて勿体無いではないか。
 それに、なんとしても使いたいのが軟化の魔法で、これが使えるならば、ゴムやスライムをイメージして木材や石材の加工に使える、なんと夢の広がる事か解らない、地球の石材加工のようにハンマーでコツコツなど、異世界といえども子供に出来る事ではなくなってしまう、これだけは何としても習得したい。
 出来なかったらどうしよう(泣)
 何にせよ総量を上げない事には、使用制限が掛けられたのとなんら変わりは無い、体力は単純に筋トレ走り込みに農作業が引き上げてくれそうだけど、魔力はね~、やり方が解りませんよ。
 だって俺はそんなモノが無い世界で生きて来ましたから・・・取り合えず解らない事は、素直に聞くのが一番だ。大人になると聞けなくなってくるからな~。


「ねえママ、魔力はどうやったら増えるの?」
「そうね~、お義母さん、どうするんですかね?」


 おいおい、即ばあちゃんに振っちゃったよ、あれ?もしかして解りませんパターンですか?


「普通なら大きくなるに連れて魔力も増えるんだよ、今すぐ魔力を増やすってのはどうだろうね?、どうしてもって言うなら本家に行って見るかい?、お前の曾おばあさんならその辺り詳しいと思うがね」


 前にも話したが、ウチはじいちゃんが興した分家で、本家には曽祖父が健在だ。
 だが・・・ここからが問題で曾祖母も大変お元気でいらしゃるのです。はい、それはそれはもう大変におっかない人でして、曾祖母が白と言ったら赤だろうが黒だろうが関係なく、白と言うしかないのです。
 そして武勇伝も、とんでもない御方でありまして、東の草原に木が生えていないのは、若い頃に浮気をした曽祖父にブチキレて途轍もない炎魔法を連発した名残だとか、南の森の魔物が少ないのは、魔法を使う時に減った魔力を魔物から吸い取ったのだとか、誰もその魔法を再現できないので本当かは解らないが、もし本当ならとんでもない話だ。
 東の草原だけでも、丘の上に山菜摘みに出かけた時に父に肩車をしてもらった事があるが、真ん中に木が一箇所生えているが、東京ドーム何十個分って言う広~い草原でしたよ。
 それだけの面積を吹き飛ばすなんて、それ人ですか?ってレベルで、その話だとあの真ん中の木は?と疑問が残る訳ですけど。
 ウチの家族は祖父母以外は本家には余り顔を出さない、キレたら怖いだけでは無く大変に躾にも厳しい御方なので、本家に顔を出す=怒られに行く公式が成り立ってしまうからだ。
 祖母は偶に本家に行く事が義務化されている状態らしく、その時に孫やひ孫たちの顔が見たいなどと、真顔でせっつかれているらい、事ある事に父達に本家に顔を出せと言っているが、年に1~2回しか行ってい無い、姉はお供する時もあるみたいだが、俺はまだ無かった。


「うん、もっと魔法使えるようになりたいから行きた~い」


 子供らしい無邪気な言い方に、母が若干渋い顔になったのは見逃さなかった。
「ばあちゃん今度連れてって~」と、絶対父や母に頼んだところで、その数回までは連れて行って貰えないだろうから、ここは祖母に頼んでおいた方が、せっつかれている祖母の顔も立つ事だろう。


「そうさね、今度の伐採が終わったら行こうかね」
「うん」
「義母さんお願いします」


 おいおい母よ、そこまで安堵の表情にならなくても、ってかどんだけ行きたくないんだよ。
 明後日の伐採が終わったら、俺の魔法がレベルアップできると思うと心が弾む、まだ見ぬ曾ばあちゃん宜しくお願いしますだ。
 そうだ、この際だから伐採にも参加させて貰おう、畑でも感じた事だが、あれじゃあ流石に農作業が辛すぎる、何とか農具の開発にも力を入れていかなければ、魔法の事で舞い上がって忘れるところだったぜ。
 じいちゃん、俺も伐採に行きたいよ~とでも言って参加だな。
 結果「だめだ、まだ小さすぎる」と父から、NGを出されてしまいました。
 ここは父を説得するより、祖父を口説き落とす事に専念しよう。


「ねえじいちゃん、僕ね畑で使う道具を思いついたの、でもこんなこ~んな木が欲しいの、だから連れてって~」


 ジェスチャーを交えて、こんなのあんなので通じる訳が無い、そこが狙い目だ。
 さあ頼む、自分で選べと言ってくれ、じいちゃん。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品