儚い雪に埋もれる想い
己の記憶
私は小説家。
東雲美空という。
家族は、いない。
私が、殺してしまった。罪に問われないと言えばYES、だ。
なぜなら、あれは正当防衛。なので、私は今まで犯罪者という、レッテルを貼られなくてすんでいる。
しかし殺してしまったのは、紛れもない事実だ。父、母、弟、使用人たち、およそ十三人。家族たちを、全員殺してしまった。
否、家族ではない。あんな外道な奴ら、家族などというものではない。
私が、認めさせない。
一度は罪に溺れ、病みに病んだ。殺したいと毎日想い、死ねばいいと毎日願った相手だが、私も人間だった。
人を殺した罪悪感はあった。
その証拠に今でも、あのゴムを切った感触に似たものが残っている。
気持ち悪い。
しかし、幼少期にかけられた大切な人の言葉を信じ、私は前を向いた。
決して、後ろを振り返らないように。
そうやって、耐えた。耐えてきたが、あの日私は死んでしまった。
物理的に考え、事故や病気などで死んだわけではない。それまでの自分を殺し、感情をOFFにしてしまった。
なぜ、私を殺してしまったのか。
彼女が、自殺してしまったのだ。
しかもその事実を知ったのは、一週間後だった。
だが私は彼女が、自殺してしまった理由が分からない。
彼女が、何に追い込まれていたのか、何に苦しんでいたのか、さっぱりわからない。
OFFにしてしまったのは、償うとか、彼女のためだとか、決してそんな綺麗事を言うつもりはない。
これは、ただの自己満足。
悲しみ、後悔、無力さ、恋慕の情でさえなかったことにした。それをすることで、自己満足に浸れた。
だけど、全てを消すことなどできなかった。
彼女に抱いた感情は、まぎれもなく現実だったから。
東雲美空という。
家族は、いない。
私が、殺してしまった。罪に問われないと言えばYES、だ。
なぜなら、あれは正当防衛。なので、私は今まで犯罪者という、レッテルを貼られなくてすんでいる。
しかし殺してしまったのは、紛れもない事実だ。父、母、弟、使用人たち、およそ十三人。家族たちを、全員殺してしまった。
否、家族ではない。あんな外道な奴ら、家族などというものではない。
私が、認めさせない。
一度は罪に溺れ、病みに病んだ。殺したいと毎日想い、死ねばいいと毎日願った相手だが、私も人間だった。
人を殺した罪悪感はあった。
その証拠に今でも、あのゴムを切った感触に似たものが残っている。
気持ち悪い。
しかし、幼少期にかけられた大切な人の言葉を信じ、私は前を向いた。
決して、後ろを振り返らないように。
そうやって、耐えた。耐えてきたが、あの日私は死んでしまった。
物理的に考え、事故や病気などで死んだわけではない。それまでの自分を殺し、感情をOFFにしてしまった。
なぜ、私を殺してしまったのか。
彼女が、自殺してしまったのだ。
しかもその事実を知ったのは、一週間後だった。
だが私は彼女が、自殺してしまった理由が分からない。
彼女が、何に追い込まれていたのか、何に苦しんでいたのか、さっぱりわからない。
OFFにしてしまったのは、償うとか、彼女のためだとか、決してそんな綺麗事を言うつもりはない。
これは、ただの自己満足。
悲しみ、後悔、無力さ、恋慕の情でさえなかったことにした。それをすることで、自己満足に浸れた。
だけど、全てを消すことなどできなかった。
彼女に抱いた感情は、まぎれもなく現実だったから。
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