これを見たらお前の負け

はなまるき

エピソード3 塚田牧場はキャバクラではない

酒を飲める人なら知っているだろうか。
塚田牧場という居酒屋を。
店員のおねーさんは着物をアレンジしたような恰好をしていて、見ようによってはエロく感じるかもしれない。
そして人当たりのいい店員さんが多い塚田牧場は、メイドカフェとは違ったコミュニケーションを多少は取れるので、勘違いする人も多いかもしれない。

あそこはキャバクラではなく、酔っぱらいブロイラー牧場である。
酔っぱらっているとついつい愛想のいい店員にかっこよく見せようと思い、おなか一杯でも酒を頼み、食べ物を頼んでしまう。
油の多い鶏肉の料理を頼んだ後、その油を有効活用したハート形のチャーハンが出ることを知っているユーザーも多いかもしれない。
おっさんなら、なおさら。

今日も友人数人と行ってしまった。
塚田牧場。
そこそこかわいい店員の太ももに欲情しながら、今日も酒をたらふく飲んでしまった。
ワンチャンがあるわけではないことを知りつつも、見た目仲良く注文をしてしまう。
本当にカモであると思いながら、その場でのRPGを楽しんでしまっている俺は負けたと思いつつ、それでもいいと思っている。

あぁ、今日も飲みきれない酒と喰いきれない料理を頼み、一人1万円近く使ってしまった。
アホである。
本当にアホである。

でもあの笑顔と太ももに負けてしまった。
20代後半の魅惑的な、ピチピチな太ももに。
ガン見はしないが、普通に注文時は見える、あの太ももに。
酒はたいして美味しいわけではない。
料理はそこそこ気に入っているが、それ以上に太ももを見るために店員を呼んで注文をしている自分が情けなくもあり、楽しんでいるのでいいとも割り切っている。

勝ち負けで言ったら、あの太ももに負けている自分を感じている。知っている。
まあ、こんなくだらない日があってもいいと思う。
寿命が延びている100年人生のほんの一瞬なら。

これを読んでいる人なら、特に40代以降のおっさんなら実感できると思う。
塚田農場の魅力に。

貧乏人のちょっとした楽しみを。
本当のキャバクラとは違う、日常にあるちょいエロを。
まあ、ささやかな楽しみを感じつつ、今日も床に就くことにしよう。

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