これを見たらお前の負け

はなまるき

エピソード2 コミケ会場潜入! 本当のコスプレを見た!!

「人生は選択の連続である」
これは、かの有名なシェイクスピアの言葉であるが、本当に俺もそう思う。

今日も俺はそんな選択に迫られる夏の一日を過ごした。

これはちょっと前の8月中旬の話である。
東北の仙台でも気温が35度を越える猛暑日が続いていた。
そして学生は夏休み真っただ中の時期であった。
部活に顔を出していない俺は、昼間、家でダラダラとスマホゲームをやっていた。

そんな時に高校から持ち上がりでそのまま同じ大学に行くことになった悪友Aからメッセージが来た。
「コミケ、行くぞ」

この短いメッセージに思わず「は?」となっていたら、次のメッセージが矢継ぎ早に来た。

「明日、始発の新幹線で東京さ、行だ!」

何、この吉幾三の歌みたいなメッセージは。
いや、若い俺はよくわからないが。

一言、悪友Aに
「ヤダ」
と返した。

なんか、コミケって小太りとガリヒョロのオタクの人がひしめき合う、カオスな祭典のように思っていた。
まあ、行ったことがないので、本当のところは知らないが。

というか悪友Aは漫画とかアニメに興味を持っていたのか!?
知らなかった。

また、スマホにメッセージが届いた。
今度は言葉ではなく、写真だ。
コスプレねーちゃんの写真である。

なんのコスプレかはわからないが下乳とハミケツ状態の女体だった。

また、悪友Aからメッセージが来た。
「興味あるべ?」

第1の選択の瞬間だった。
数秒考えた後、俺は高メッセージを送っていた。
「社会勉強だと思って、付き合ってやるか」

そして、俺と悪友Aは翌日、始発の新幹線に乗って、東京のビッグサイトというところへ行ったのだった。

新幹線で2時間ぐらい、その後、何度か電車を乗り換えて、正味3時間ほどかけて、ビッグサイトの最寄り駅についた。
電車の扉が開くと、降りるホームから長蛇の列になっていた。
というか、行きの電車からすし詰め状態で死にそうだった。

仙台の満員電車とはレベルが違う。
これはもう、人の乗り物ではない。
おねーさんを狙ってポジション確保とかできるわけもなく、というかしたとしても、おしくらまんじゅう状態なので、感覚を楽しめるなんてレベルではない。
「この状態で脱線事故が起きたら、死屍累々だ、愚民ども消えてなくなれ!」
と、中二病的な妄想でもして、現実を逃れたい気分であった。

「帰りたい」と「でもここまで来たので無駄にしたくない」の葛藤だった。
そして第2の選択の時だった。
ここで俺は・・・
長蛇の列に並び、のんびりと進む。しかない・・・と思った。

ビッグサイトまで何キロあるのだろうか、長蛇の列は途切れない。
真夏の照り付ける太陽の日を浴びながら、人の汗で雲が出来そうな勢いである。
そんなこんなで何時間か並んでやっとビッグサイトの入り口についた。

「これが噂に聞くコミケなのか!」
と悪友Aがテンションをあげてきた。

俺たちは薄い本などには目もくれず、コスプレ会場へ向かった。
会場はビッグサイトの建物の中ではなく、外にあった。
そこは別世界であった。

不思議な格好をした人たちとものすごい望遠レンズを構えたカメラ小僧のパラダイスである。
それは、さながらスタートレック:ディープ・スペース・ナインの世界のようにいろいろな星の人たちがいるようだった。
俺はテンションマックスだった。

そして、お目当ての露出の激しいおねーさんがあちらこちらにいる!
いろいろポーズをとりながら、バズーカのようなカメラに艶めかしい視線を送っている。
うーん、これはエロい。
いや、エロすぎるだろ。
たまらず勃起してしまっていたので、さりげなく、鞄を漁るふりをして前を隠した。

だが、しばらくして、気持ちが落ち着いてきてようやく、本当の意味でコスプレ会場を落ち着いて見渡してみた。

一見、女のキャラクターなので、おねーさんかと思ったら、男の人がちらほらいる。
一人とか二人ではなく、結構いる。
これが噂に聞く「男の娘おとこのこ」なのかと思ったが、明らかに男だ。
だが、そんなコスプレ男も結構、エロい恰好をしている。
服だけは。

胸もないし、筋肉質の腕と足、中にはすね毛すらそのままの男もいる。
でも服だけはエロい。
後姿は、遠目にはエロい。
見たくないけど、見てしまう。
ついつい見てしまう。
服はエロいので。

そして俺の脳には、目に映る映像に脳内補完が働き、体はそれに反応する。
頭ではわかっているが、人間の脳は優秀すぎると脳の神秘をこの時、確かに感じた。

あ、ブスねーちゃんも落ち着いてみたら、結構いることも、この頃になると冷静に見れるようになっていた。

しばらく、カオスな世界を歩き回った後、外の猛暑に耐えきれず、企業ブースの方へ足を向けた。

ここはある意味、安心できるパラダイスだ。
みんな安心して見ることができるコスプレねーちゃんしかいない。
数こそ、コスプレ会場よりは少ないが、本当にちゃんとしている「かわいい」、「美人な」人ばかりだ。
それに俺が知っているゲームのヒロインのコスプレをしている人も何人か見ることができた。
本当にゲームから飛び出てきて、ファンタジーの住人が受肉したような、そんな神々しさすら感じる。
初めは声をかけるのが恥ずかしかったが、せっかくコミケに来たので、写真もビデオもしっかり、撮らせてもらった。
初めからここに来ればよかった。
と思ったころには、もうすでに夕方の17時を回っていた。

夢の時間が終わった。
今日という長い1日が終わった。

だが、第3の選択は、この後、俺に迫ってくるのであった。

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