これを見たらお前の負け

はなまるき

エピソード1 終電と胸と白パンティー

今日は金曜日。
明日は学校も休みなので、仙台の駅前近くで夜まで友達と遊んでいた。

政令指定都市でもある仙台は、人口こそ、東北の街中では一番多いが、街中以外は、結構、田舎なところである。

午後11時30分。帰宅のため、仙台駅から山形方面に行く電車に乗り込む。
このあたりの時間帯になると電車は30分に1本ぐらいになってしまう。

乗り込むに人もこの時間帯だと多いが、仙台市郊外を過ぎるとアッという間に乗っている人の人数は激減する。
俺が乗り込んでから数駅過ぎたあたりで、席に座ることができた。
横掛けの席に座り、ほっと一息をついた。

暗い山の中を進む電車の中で、f分の1の揺らぎに揺られながら俺は静かに目を閉じた。
俺も遊び疲れたこともあり、ちょっとだけ寝ていたようだが、ふと目が覚めた。
30分ぐらいは寝ていただろうか。

周りを軽く見渡すと、同じ車両に乗っている人も4人しかいなくなっていた。
俺の隣に座っている20代のおねーさんと向かいの横掛けの席に座っている中年の小太りのおばさん、そして、少し離れたところにいる頭の禿げた40代ぐらいのおじさんだけである。

隣のおねーさんの頭が俺の左肩に乗ったため、目が覚めたようだ。
やばい、なんだかシャンプーのいい匂いがする。
ちょっと目だけおねーさんの方に向けた。

ここからでは顔はわからないが、そんなことより、U字ネックの服に包まれたたわわな胸の谷間が見えた。
「こんなところでもエロシチュエーションか! アーメン・・・」
と、ちょっとだけ神に感謝の祈りを心の中で唱えた。

だが、そんなことより、次の瞬間、俺は自分の目を疑った。
「あれ、ブラジャーしてないんじゃないか!?」

U字ネックから見える谷間の先の方に乳輪と思える通常の肌色とは別の色も見える・・・感じがする。
横目でちょっと見ているだけなのでハッキリとは確認できない。
ここでおもむろに自分の顔の向きをおねーさんに向ければ確認できるのはわかっている。
だが、俺はそれができない。
なぜなら・・・
向かいの席のおばさんも目を覚ましたのか、時々目を開け、こちらを見ている、ような感じがする。
チキンハートの俺には、首を左15度すら回すことができないでいる。

だが、その次の瞬間、俺は信じられない光景を目の前で見てしまう。
向かいの席の小太りのおばさん、結構短いスカートだったため、パンツがこっちから見えている!
ベージュ色のストッキング超しでも分かる、セルライトで波打っている太めの太ももの間から。
白パンティーだよ・・・。

見たくないので目を逸らすが、正面に目をやると見えてしまう。というか見てしまう。
そして、隣のおねーさんのためと信じたいが、この時には俺は、バッチリ勃起している。

一応、手でさり気なく手を組んで隠しているが、隠しきれているだろうか心配である。
いや、正面の小太りのおばさんにはバレているかもしれない。
つーか、おばさん、しっかり目を覚ましているし。
あぁ、見たくないのに見ていることも、勃起していることもバレていると思う。

そして、見たくないので、横目、でも横目ばかりだと疲れてしまうし、変な人なので、正面。
うわっ、見えてしまう・・・
また、横目、正面、うわっ、横目、正面、うわっ、を何度も繰り返してしまう。

そのおばさんの見たくないけど見えてしまうパンツとの攻防を繰り返すこと数分。
俺にとっての相対時間は10分以上はあったと思う。
ある駅に着いた。

隣のおねーさんは駅に着き、電車が停車すると、ハッと目を覚まし、電車からホームに降りて行った。
結局、ノーブラだったのか分からず仕舞いであった。

そして、向かいのおばさんも静かに席を立ち、おねーさんと同じようにホームへ降りようとした瞬間、
「うふっ、若いわね。」
と、つぶやいたおばさんの言葉が俺の耳に入ってきた。

「えっ!?」
俺は思わず、声のするほうに顔を向けたが、そこにはもう、誰もいなかった。

俺は、なんとも言えない気分になり、そして、静かに萎えていく息子を感じながら岐路についた。
心の中で
「俺はおねーさんの乳輪に勃起したんだ。おばさんのパンツに勃起したわけではない」
と何度もつぶやきながら。

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