異世界転『性』
始まり①
その後少し気持ちの整理をした僕は、当初の予定通り街を目指すことにした。どっちの街に行こうか迷ったが、取り敢えず王都セグリアに行くことにした。〝王都〟と名前が付いてるだけあってマップで見る感じはセブリスタより大きい街のようだし、この世界について何か情報が掴めるかもしれない。
立ち上がった僕はまだ慣れない長髪を手ではたく。
歩き始めようとしたその時、スマホに着信があり足を止める。
〝神〟
神と名乗るものからの着信だった。こんな名前の人を登録した記憶はなく胡散臭いと思ったが、異世界転生物は神様が初めに出てくるのは十八番な気がしたので出ることにした。
「もしもし」
「おぅ、つながったつながった。神じゃ。危うく掛け忘れるところだったよ。はは。悪い悪い。」
恐る恐る電話に出た僕に対しめちゃくちゃ軽い感じで話し出す神とやら。声を聴く感じ元気のいいおじいちゃんって感じだ。
てか、「危うく掛け忘れるところだった」ってなんだよ。適当すぎるだろ。絶対悪いと思ってないな。
「それはともかく、状況整理はできたかね?」
流したよ!さらっと流しよったよ。『なにが「それはともかく」だ!』と言いたくなったがぎりぎりのところで飲み込み、落ち着いた口調で僕は返答した。
「何となくは。僕って、地球で死んで異世界に転生してきたってことであってますか?」
「そう言う事じゃな。」
「じゃあ前の世界じゃ、もう…」
やっぱりか。まぁ、未練がないとかそう言うのではないが、彼女も居たし色々やってみたかったこともあったしな。なんだかんだ言って。
と、一人感慨深くなっていると、
「いや、前の世界のお前さんはそもそもいなかったことになっておる。」
「っふぇ??」
予想もしていなかった返答が来て、変な声が出てしまった。
「今の世界に肉体ごと転生させたんじゃ。前の世界にいたことにしたままだと、今頃お前さんのことを探して大騒ぎになってしまうからの。だから、戸籍はおろかお前さんと関わった人からお前さんに関する記憶をちょちょいっといじって、消したんじゃよ。」
「じゃあ、彼女は…?僕のことを忘れたんですか?」
理解は追い付かなかったが、ちーのことを思い出した僕は慌てながら食い気味に質問した。
「お前さんには酷かもしれんが、そう言うことになるの。ただ、お前さんの彼女が誰かと付き合っていたと言う事実は書き換えられないから、お前さんの親友の前田君と付き合っていたことに書き換えておいたよ。」
「なんで前田康介なんだよ!康介、彼女を泣かせたら呪ってやるからな。」
なんでだよ、なんであいつなんだよ。いろんなことに動揺して、思ったことがそのまま駄々洩れになっている。
「そう、カッカするもんじゃない。前田君も彼女さんの事をそもそも好きだったようじゃし、泣かせるようなことはないと思うぞ。」
「康介てめぇ~。今すぐ呪い殺してやる。おい、神とやら!こっちから向こうの世界に干渉する方法を教えろ。」
「それはお前さんには無理じゃな。それが出来るのは神のみじゃ。」
「くそっ!」
優しく呑気に話す神に対し、見た目には全くそぐわない汚い言葉をつい吐いてしまう。
「まぁまぁ、二人の今後を祈ろう。それはそうと、何か質問はあるかい?」
「三つ質問してもいいか?」
「いくつでも構わんぞ。」
僕は、怒りで興奮しているのを全力で沈めながら質問をする。
「じゃあまずは、この世界について教えてくれ。」
待ったましたと言うかのように神は話し始めた。
「この世界は、天球。地球と対になると言ったらいいのかな?まぁそんな感じの世界だ。地形は地球で言うゴンドワナ大陸のそれに当たり、文明レベルは大体中世ヨーロッパ辺りだ。」
なるほどね。まぁタイムスリップした感じに考えたらいいのか。そんなことを考えながら聞いていると、神はこう続けた。
「この世界と地球の大きな違いは、地球の中世ヨーロッパでは発見されていなかった魔法が既に見つかっているということかな?」
この文明レベルでもう魔法があるのか。意外だな。地球では魔法が見つかったことにより第3次世界大戦が勃発したとされているから、それに比べるとかなり早いな。
「この世界の魔法ってどんな感じですか?」
僕は、素直に気になったことを質問する。
「基本は、魔方陣や長文の詠唱を必要としごく簡単な魔法・地球で言う初級魔法のそれも一部のみが、速攻魔法として発見されている。魔法の発動は、こっちも向こうも同じだ。だから、現状この世界で一番魔法が使えるのは、君になる。」
なるほど。これが所謂チートと言うことか。異世界転生した主人公は、こんな感じで異世界生活をスタートするんだな。まぁ、僕の場合体が弱いからチートとはいいがたいけどね。
「っあ、そうそう。君の体の魔法適性を治しておいたから、どんな強力な魔法にも耐えられる体になっておるぞ。」
前言撤回。チーターです。すいません。何故か僕は心の中で謝てしまった。結局僕もチーターと分かった所で、次の質問に行くことにした。
「二つ目の質問は、日本語って通じるの?」
「話す分には音声認識パターンが一緒だから通じるが、文字は全くの別物じゃ。頑張って覚えるしかないの。」
話が通じるのはありがたいけど、文字読めないのは色々困りそうだな。お店に行っても読めないと注文もし難いし。
「そうじゃった、スマホのカメラ機能を使って文字を写せば、日本語に変換されるぞ。ただし、スマホなんてものはこっちには無いからな、あまり人前で使わないことをオススメするよ。」
ナイス機能。でも、外で使えないなら宝の持ち腐れだな。勉強するときには、何かと重宝しそうだけど。最後に、ずっと気になったたことを質問した。
「最後に、なんで女の子になってんの?」
「それは、わしからのサービスじゃ。いいセンスしてるじゃろ?新しい世界に新しい見た目ってのも悪くないと思うぞ?」
「悪趣味にしても程がある。これは元に戻らんの?」
いいセンスとは?だよ。ほんとに。僕は、一縷の望みを抱え何となく答えの分かっている質問をしてみる。
「無理じゃな。」
ですよねー。知ってました。諦めます。はい。(棒) 悲しみに打ちひしがれながら、僕は質問を終える。
「一応、質問は全てです。」
「そうか。そうそう、この電話番号はわしからの直通じゃ。君から掛けてきても取らないものと思っておいてくれ。」
まぁそうだろ。いつでも神と通話できたらそれこそチーターだよ。
「それじゃぁ、新しい人生を楽しんでくれ。面白そうだから逐一君の動向を天界から覗いておくよ。それじゃあな。」
終始呑気な感じで電話を切った神。てか、覗かないでれ。こちとら可憐な少女やぞ!変態。痴漢。ストーカーー。
その後、魔法が自由に使えるようになったことが判明した僕は、試しに元の世界で死ぬ原因となった飛行魔法と透明魔法の重ねがけで目的地の王都セグリアに向け飛び立った。
立ち上がった僕はまだ慣れない長髪を手ではたく。
歩き始めようとしたその時、スマホに着信があり足を止める。
〝神〟
神と名乗るものからの着信だった。こんな名前の人を登録した記憶はなく胡散臭いと思ったが、異世界転生物は神様が初めに出てくるのは十八番な気がしたので出ることにした。
「もしもし」
「おぅ、つながったつながった。神じゃ。危うく掛け忘れるところだったよ。はは。悪い悪い。」
恐る恐る電話に出た僕に対しめちゃくちゃ軽い感じで話し出す神とやら。声を聴く感じ元気のいいおじいちゃんって感じだ。
てか、「危うく掛け忘れるところだった」ってなんだよ。適当すぎるだろ。絶対悪いと思ってないな。
「それはともかく、状況整理はできたかね?」
流したよ!さらっと流しよったよ。『なにが「それはともかく」だ!』と言いたくなったがぎりぎりのところで飲み込み、落ち着いた口調で僕は返答した。
「何となくは。僕って、地球で死んで異世界に転生してきたってことであってますか?」
「そう言う事じゃな。」
「じゃあ前の世界じゃ、もう…」
やっぱりか。まぁ、未練がないとかそう言うのではないが、彼女も居たし色々やってみたかったこともあったしな。なんだかんだ言って。
と、一人感慨深くなっていると、
「いや、前の世界のお前さんはそもそもいなかったことになっておる。」
「っふぇ??」
予想もしていなかった返答が来て、変な声が出てしまった。
「今の世界に肉体ごと転生させたんじゃ。前の世界にいたことにしたままだと、今頃お前さんのことを探して大騒ぎになってしまうからの。だから、戸籍はおろかお前さんと関わった人からお前さんに関する記憶をちょちょいっといじって、消したんじゃよ。」
「じゃあ、彼女は…?僕のことを忘れたんですか?」
理解は追い付かなかったが、ちーのことを思い出した僕は慌てながら食い気味に質問した。
「お前さんには酷かもしれんが、そう言うことになるの。ただ、お前さんの彼女が誰かと付き合っていたと言う事実は書き換えられないから、お前さんの親友の前田君と付き合っていたことに書き換えておいたよ。」
「なんで前田康介なんだよ!康介、彼女を泣かせたら呪ってやるからな。」
なんでだよ、なんであいつなんだよ。いろんなことに動揺して、思ったことがそのまま駄々洩れになっている。
「そう、カッカするもんじゃない。前田君も彼女さんの事をそもそも好きだったようじゃし、泣かせるようなことはないと思うぞ。」
「康介てめぇ~。今すぐ呪い殺してやる。おい、神とやら!こっちから向こうの世界に干渉する方法を教えろ。」
「それはお前さんには無理じゃな。それが出来るのは神のみじゃ。」
「くそっ!」
優しく呑気に話す神に対し、見た目には全くそぐわない汚い言葉をつい吐いてしまう。
「まぁまぁ、二人の今後を祈ろう。それはそうと、何か質問はあるかい?」
「三つ質問してもいいか?」
「いくつでも構わんぞ。」
僕は、怒りで興奮しているのを全力で沈めながら質問をする。
「じゃあまずは、この世界について教えてくれ。」
待ったましたと言うかのように神は話し始めた。
「この世界は、天球。地球と対になると言ったらいいのかな?まぁそんな感じの世界だ。地形は地球で言うゴンドワナ大陸のそれに当たり、文明レベルは大体中世ヨーロッパ辺りだ。」
なるほどね。まぁタイムスリップした感じに考えたらいいのか。そんなことを考えながら聞いていると、神はこう続けた。
「この世界と地球の大きな違いは、地球の中世ヨーロッパでは発見されていなかった魔法が既に見つかっているということかな?」
この文明レベルでもう魔法があるのか。意外だな。地球では魔法が見つかったことにより第3次世界大戦が勃発したとされているから、それに比べるとかなり早いな。
「この世界の魔法ってどんな感じですか?」
僕は、素直に気になったことを質問する。
「基本は、魔方陣や長文の詠唱を必要としごく簡単な魔法・地球で言う初級魔法のそれも一部のみが、速攻魔法として発見されている。魔法の発動は、こっちも向こうも同じだ。だから、現状この世界で一番魔法が使えるのは、君になる。」
なるほど。これが所謂チートと言うことか。異世界転生した主人公は、こんな感じで異世界生活をスタートするんだな。まぁ、僕の場合体が弱いからチートとはいいがたいけどね。
「っあ、そうそう。君の体の魔法適性を治しておいたから、どんな強力な魔法にも耐えられる体になっておるぞ。」
前言撤回。チーターです。すいません。何故か僕は心の中で謝てしまった。結局僕もチーターと分かった所で、次の質問に行くことにした。
「二つ目の質問は、日本語って通じるの?」
「話す分には音声認識パターンが一緒だから通じるが、文字は全くの別物じゃ。頑張って覚えるしかないの。」
話が通じるのはありがたいけど、文字読めないのは色々困りそうだな。お店に行っても読めないと注文もし難いし。
「そうじゃった、スマホのカメラ機能を使って文字を写せば、日本語に変換されるぞ。ただし、スマホなんてものはこっちには無いからな、あまり人前で使わないことをオススメするよ。」
ナイス機能。でも、外で使えないなら宝の持ち腐れだな。勉強するときには、何かと重宝しそうだけど。最後に、ずっと気になったたことを質問した。
「最後に、なんで女の子になってんの?」
「それは、わしからのサービスじゃ。いいセンスしてるじゃろ?新しい世界に新しい見た目ってのも悪くないと思うぞ?」
「悪趣味にしても程がある。これは元に戻らんの?」
いいセンスとは?だよ。ほんとに。僕は、一縷の望みを抱え何となく答えの分かっている質問をしてみる。
「無理じゃな。」
ですよねー。知ってました。諦めます。はい。(棒) 悲しみに打ちひしがれながら、僕は質問を終える。
「一応、質問は全てです。」
「そうか。そうそう、この電話番号はわしからの直通じゃ。君から掛けてきても取らないものと思っておいてくれ。」
まぁそうだろ。いつでも神と通話できたらそれこそチーターだよ。
「それじゃぁ、新しい人生を楽しんでくれ。面白そうだから逐一君の動向を天界から覗いておくよ。それじゃあな。」
終始呑気な感じで電話を切った神。てか、覗かないでれ。こちとら可憐な少女やぞ!変態。痴漢。ストーカーー。
その後、魔法が自由に使えるようになったことが判明した僕は、試しに元の世界で死ぬ原因となった飛行魔法と透明魔法の重ねがけで目的地の王都セグリアに向け飛び立った。
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