復活魔王の国家建国!

しゃけちゃづお。

魔王と目覚めと帝国崩壊!


……………………………………。

…?

………なんだ?
 
……ここは……どこ…?

…体が重い。

鉛のように重い。

記憶が混濁し、ぼーっとする。 
まるで耳の中に水が入っている時のようだ。


「んぅ……っ。」

と、声が出てしまった。
まるで休日に寝坊したあとの寝起きに伸びをした時のように。

そう、ぼーっとしていたのもつかの間


「魔王様、魔王テスカトリポカ様!!ついに眠りから醒められたのですね!!」

と、どこからか声がする。
しかし、キョロキョロと辺りを見回すがどこにも見当たらない。

……そう思い、ふと上を見渡すとそこには、翼と角が生え、パッと見ると執事風の男が飛んでいた。
翼と言っても、天使や鳥のようなものとは程遠く、コウモリのような羽をしている。


「テスカトリポカ様?どうかなされましたか?」
男は言う。

…そうか、だんだん思い出してきた…。
私は封印されていた。
そしてアレは封印前に私の側近をしていた魔族だ。
名は確か……デミゴール…だったっけな?


「デミ…ゴー…ル…?」

私は混濁する記憶の波をかき分けながら呟いていた。


「なんでしょうか、テスカトリポカ様?」

名前を呟かれ、デミゴールは不思議そうにしている。

しかし、その後何かに気づいたように


「…あぁ!気が回らずに申し訳ありません…。2000年も封印されていたんです、かの偉大なるテスカトリポカ様でも記憶の混濁や体力、気力の消耗くらいしていらっしゃいますよね…!
どう致しましょう…まずは睡眠…?いや、長い眠りにつかれていたのに睡眠は違う……食事…?肉、魚……いや、長い間何も食べておられないのにいきなりそのような重いものを食べるわけにも……………」

と、ブツブツと長く呟いている。

思い出した…デミゴールは私のことを考えすぎるあまりによく失敗していたっけなぁ。

…と言うよりも話を聞く限り私はどうやら2000年も封印されていたらしい。
よくそんなに眠れたものだ、と少し笑えてくる。


「2000…年か…。長いものね…。」

どうやら先ほどよりは少し口が回るようになったらしい。


「ほんと、2000年もの間、テスカトリポカ様がいなくて大変かつ退屈でしたよ…。」

デミゴールは苦笑いしながら言った。

少しだが、会話のおかげで少しずつ過去を思い出してきた。
記憶を辿り、今の景色と照らし合わせる。
…どうやら私がいるのはソーンブラ王国の玉座の間らしい。 


「眠りながらも尚、玉座の似合うお姿でしたよ、テスカトリポカ様。」

デミゴールが褒める。
……そこを褒めるのか。


「…皮肉?デミゴール?」

少し意地悪く言ってみる。


「と、とんでもございません…!ただ、寝姿でも尚、帝国の頂点に君臨するにふさわしいお姿かと思い……」

…封印された姿を褒められるのは不思議な感じだ。


「…まぁいいわ。帝国の頂点…ね。言われて悪い気はやっぱりしないもの。意識もはっきりしてきたし久しぶりに街中をみたいわ。」

ソーンブラ帝国は活気の溢れる美しい街だ。
封印される前、よく城から街に出ていろんな買い物をしていた。
広場の屋台では美味しい料理や、アクセサリーなどの雑貨、更にはフライパンや鍋などの日用品も売られていた。


「街……ですか?テスカトリポカ様。」

少し不思議そうにデミゴールは言う。


「ええ、街よ?ほら、活気があってとーーっても楽しいじゃない?」

封印中、空腹だった。
早く屋台の名物料理を食べたい。

「大変申し上げにくいのですが……」

と、言うとデミゴールは口を噤む。
あぁ、きっと説教ね。
魔王ともあろうお方が街へ出るなど言語道断!!なんて怒られたっけな。


「説教なんて聞き飽きたわ…。」

そう言って私は玉座を離れて、城の出口へと歩く。


「しかし、静かなものね。今は夜なのかしら。封印のせいで時間感覚も薄れちゃったのね。」

廊下を歩きながら耳を立てる。
自分の足音が響く。

「さーて、久々のお外よ…!」

そう言いながら出口の扉をあける。
眩い太陽の光が刺す。

「うわっ!!まぶしっ……」

目が眩んであたりが真っ白に見える。

……やがて目が馴染み、辺りを見回す。

「……へ?」

そこには崩れ、風化し無残になった城下町。
荒れ果てた荒野のようになっていた。

「ええぇ!!?な、なにこれ??」

すると後ろからデミゴールが答えた。

「…大変申し上げにくいのですが、ソーンブラ帝国はおよそ850年ほど前に崩壊致しました。」

……寝起き早々、理解の範疇を凌駕する出来事に私はまた眠りについた…。

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