NEVERS

ナッツー

不死身の肉体

俺は生きるのが嫌になった。ナゼか。それは不死身だからだ。
不死身の体は良いとよく言われるが実際は違う。俺も昔は不死身の生命に憧れていたときもあったさ。だが実際になってみると結構退屈なんだよ。車に轢かれようが高所から落ちようが絶対死にはしない。そして仲間や友達もいない。ほらな?退屈だろ?でもよくよく考えたら一つだけ俺に無いものがある。それは不死身になった以前の記憶が無いのだ。覚えているとしたら名前と年齢ぐらいだ。多分長い年月を生きていると記憶の容量がどんどん埋まってそして記憶の壺から溢れた昔の記憶が消えていく仕組みだと俺は予想している。さて、自分語りは止めようか。俺は戦の真っ只中なんだ。

「来たぞ!」
「殺せ!」
「死ねえええ!」
と叫び声が飛び交う中、俺は一人立っていた。
俺は自身の不死身の能力を活かし、貧国の傭兵として雇われている。それにいくら撃たれても死なずに攻撃をし続けるから他の兵よりも給料が高い。そして武器は短剣ダガー一本のみ。どうせ撃たれても死なないのだから軽くて敵を速く狩れる武器がいいと国の防衛隊長に申し出たところ、この武器をくれた。
それ以来、何千人もの人間をこの短剣ダガーで殺してきた。
ある意味この短剣ダガーは俺の相棒のようなものだ。
「いたぞ!」
と声が聞こえた方を見ると相手国の兵士共がアサルトライフルを構えてこちらを狙っていた。
「撃てえええ!」
と指揮官かと思われる人物が指示すると兵士共の銃の銃口から弾が何発も発射される。それらは全て俺の体を貫通し、貫通点からは血が吹き出た。
「へっ!雑魚が!くたばりやがれ!」
俺に罵声を浴びせた兵士が側を立ち去ろうとしたとき
「お前がくたばるんだよ!」
と相手に英語で罵声を浴びせ返し、敵の兵士の足を足で払って転ばせた。
「何!?」
と驚きの声を発した瞬間にその兵士の眉間辺りに短剣ダガー
を刺した。
「残念。俺は不死身なんだ」
と微笑みながら他の兵士もバッタバッタとなぎ倒しては刺し、なぎ倒しては刺しを繰り返した。
「残るは目標ターゲット、アーメリック将軍。お前だけだ」
「ま、待て!まだ死ねない!娘と会うまでは絶対に死ねないんだ!」
「娘?」
「そ、そうだ。俺には18歳の娘がいる。娘とはもう小さい頃に会ってからずっと会っていない!せめて殺すなら娘と会うまでは待ってくれ!」
なんだこの男は。敵を前に命乞いするとは。しかも娘のために。
「ならこうしよう。俺は今あんたを殺す。そして墓を立ててやろう。そしてそこにその娘とやらを連れてくる。そうしたら死後だが会えるだろう」
「死後...」
「どうだ?もし拒否するなら殺すが」
「...」
こう言えばこの家族想いの男は死を受け入れるだろう。
「...んで...」
「は?」
「死んでたまるものかぁ!」
と叫ぶと俺にショットガンの銃口を向け、トリガーを引いた。
弾は俺に当たり、左胸を貫通した。俺は倒れてしまった。
「ハーッハッハッハァ!いくら化け物でも心臓を撃たれればひとたまりも無いだろ!バカめぇ!」
「本当にそうかな?」
俺は倒れた状態から素早く起き上がると男の首を断った。体から別れた男の目には恐怖と悲しみが見えた。

「今日も君のおかげで次々に我が国の領地が広がっていく!君の不死身の肉体は本当に素晴らしい!」
「俺も身寄りが無いからな。居どこをくれたあんたにも感謝さ」
「いやぁ、君が来てくれたからこそ我が国は貧困から脱したんだ。もし君がいなかったら我が国は滅亡の道を歩んでいたよ」
俺は任務を終わらせて防衛隊長と会話していた。しかし称賛されているのは嬉しいのだがあの男の娘という言葉が胸に残ったままなのだ。このようなことは今まで一切無かったのだが、何も知らない、面識もない男の娘を探しだし、父親であるアーメリックに会わせてやりたいと思った。
「...なぁ、メサ隊長」
「何だ?」
「もしも、だが俺が突然この防衛隊を抜けるってことになったらどうするんだ?」
「...それはどういうことだ?」
「さっきのアーメリックという男。奴には18歳ほどの娘がいるらしい。さっき奴を殺す直前に話したのだが彼はその娘に会うまでは死ねないと言っていた」
「...」
「俺は奴を娘と会わせてやりたい」
おいおい、俺は何を言っているんだ。殺したら敵に同情するなんて俺らしくない。俺はこの国に必要な物。ただ敵国を潰して領地を広げるために戦う。だが、こう俺は考えていた。さっき隊長は俺の不死身の能力を褒めていた。つまりだ。不死身の能力さえあれば俺は要らない、と。
「君にもそのような感情があったのか。初めて知ったよ」
「あぁ。敵に同情するなんて俺らしくないがな」
「そうか。なら脱退を許可してやろう。だが、不死身人間とはいえ生きては帰さないがな」
「...どういうことだ?」
「ほう。やはり君には理解できないようだな。我々が君に居住を許可したのはこのような侵略のためだけではないのだよ。侵略と同時に君の手垢、耳垢や尿から便までを全て採取し、君のもつ不死身を研究していたのだよ」
「何?」
「そして我々は遂に発見したのさ。不死身の秘訣を。君の細胞にある君にしかない特殊物質を体内で変換し瞬時に銃弾などで撃たれた部分を修復...と言っても君の知能には理解し難いと思うがね」
「つまりあんたらは俺がここに来て不死身と知ったときからずっと俺の小便とか糞採って研究してたってことか」
「言葉遣いが汚いなぁ...まあ下品な言い方をするとそういうことになるな。そして君の細胞が人類が長年求めてきた不死身への鍵となるのだ...。つまりだ。ここまで来れば我々の目的が何かは察せるだろう?」
「俺を捕まえようってのか?」
「そう。だが君は死なないそうだね。ということで我々が研究した成果で相手をしようか」
するとメサは部下に指示を出すと大きな金属製のバッグを持ってきた。
「何だ?それは」
「これらは我らがフーディーが開発した人体強化装備、通称“AEGIS”。これを使った者は通常の600,000倍ものパワーを使えるようになる...フッフッフッ...いくら不死身の貴様でも死にはしないだろうが数時間は死に近い状態に陥るはず...」
「そうかな?まあやれるだけやってみるがいいさ」
「死ねえええええええええええええっっっっ!!!!」
そして俺とメサは各自の武器を手に衝突しようとしていた。








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