『非正規社員 石田三成』~ショートストーリー集~

坂崎文明

地震ごっこ

「はーい、地震速報です。逃げてください。アリサちゃーん」

「うわー、こわいよー。椅子の下に隠れるー」

「だめですー、そんなところに隠れたら死んじゃうよー、外に出て!」 

「ありがとー、リカちゃん」

 アリサと三歳ぐらいの女の子が一緒に遊んでいる。

「あれ、地震ごっこですよね? 見るのははじめてです」

 神無月萌はアリサたちの遊びを見て本多教授に質問した。

「そうです。地震の恐怖体験を遊びにして克服するという無意識の心理作用です」

 叡智大学心理学部の本多正信教授はアリサと萌えの指導教官でもあった。

「熊本に来て、だんだん分かってきたんですが、みんな車中泊、テント生活からまだ戻れないでいます。それはすべてPTSDの症状なんですね」

「そうです。子供は家族みんなの心の代弁者です。彼女、彼らはああやって家族の心も癒そうとしてるんです」

 萌は少し涙ぐんでいた。

 それは本多教授の言葉に感動したからではなく、アリサの幼稚園児コスプレで笑いすぎたからであった。

 ぴちぴちじゃない。しかし、よくあんな衣装があったわね。
 通販で買ったとか言ってたけど、幼稚園児コスプレマニアショップとかあるのかな?と萌は思った。







(あとがき)

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【漫画】子供が「津波ごっこ」や、「地震ごっこ」をする事について
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