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冒険者の日常

アカツキ

洞窟の捜索

 かくして、例のモンスターとの一戦を終えて僕達は洞窟最下層へと足を進めている。
 さっきの戦闘の結果として、ここのモンスターが異様に少ないことについての説明は出来るはずだ。でも問題はそこじゃない、確かにあのモンスターが存在することがこの洞窟のモンスターの減少には繋がるかもしれないが草原のモンスター減少とは関係がない。あったとしてもごくわずか、限りなくゼロに近いと言っても過言ではない。
 それに順序的にここのモンスターが外との関係があるとは考えにくい、なぜならここにモンスターが集まったのは草原でモンスターが居なくなってからだから。そんなに短時間で強化種は出来ないのだ。どう考えても順番的におかしくなるのだ。
(なにか嫌な予感がする。いや、予感ではないか?)
 それは実感だったり本能だったりなんなのか、それは分からないが少なくともいいことが起きるとは思えない。何かが胸につっかかっている。何かを見落としている気にしかなれない。地上に引き返した方がいいかもしれない。
「……ちゃん……いちゃん……お兄ちゃん、聞いてます?」
「ん? あぁ、聞いてるよ。それでなんだっけ?」
 アイシャがぷぅーっと頬をふくらませている。
「聞いてないじゃないですか、ですからこの後についてです」
「ごめんごめん、とりあえずこのまま最下層まで潜るよ。そこでまたどうするか考えよう」
 その考えに異論はないらしくアイシャは黙って首を縦に振った。
 どうやら提案ではなく確認だったようだ。そうして奥へと進んでいく。

 ***

「何も無いな……」
 それこそ本当に何も無いのだ。モンスターもいなければ採掘当時が感じられるようなものもない。どこにでもある普通の洞窟だった。
(何かがおかしい)
 明確に何がおかしいのかがわかる訳でもない、それでも胸の中にある違和感が気持ち悪い。何かが起こる前兆のような気がしてならない。

 ジジジジィィィーーーー

 頭の中に何かが繋がる感覚がした。
(ネロさん、緊急事態です。急いで街へ帰還してください。今すぐにです)
 それは魔術だった。
 思念伝達テレパシーと呼ばれる魔術で、ある特定の人物のみに情報が伝えることが出来たりするそれなりに高位の魔術だ。
(何が起きているんですか?)
(……すいません、詳しいことはわかってないんです、でもアンティラが何者かにより攻撃を受けているのです。至急ギルドに来てください)
 それが本当なら驚くべきことだ。
世界有数の大国家であるアンティラに喧嘩を売ってくるような国は基本的に存在しない。どうやっても返り討ちされるのが目に見えているからだ。何故ってそれは常日頃からモンスターと戦っている冒険者がいて更には技術も世界トップレベル。
 つまるところ他の国とは比べ物にならないくらいに強いのだ。
「アイシャ、緊急事態だ。すぐに地上に帰還する」
「な、なんでまたそんな突然に?」
「どうもアンティラが攻撃を受けてるみたいなんだが……」
「……ど、どういうことですか?」
 それを聞きたいのは僕なんだけれど、そんなことを言っている暇はどうやらなさそうだ。
「僕におぶさってくれ。地上までスキルを使って戻るから」
 アイシャも余程の緊急事態だと理解したようで黙って僕の背中に体重を預ける。それを確認して僕は詠唱を始める
「我が力の根源たるもの、今こその力を解放せよ」
 まさかこの力を1日で2回も使うことになるとは思わなかった。一体何が起きようとしているのだろうか。
 

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