冒険者の日常
物語の始まり 2
重く分厚い軋む扉を開ける。
そこにいるのは見慣れた人物だ。この鍛冶屋の老人、ヴィエルという。彼はドワーフの血を継いでいて、体は大きく筋肉質で片手でリンゴを潰せるんじゃないかというくらいの鍛えぶりだ。本人曰く勝手に付いていくそうだが。
「いらっしゃい。ん? ネロか、てことはお前もう壊したのか?」
「人聞きの悪いことを言わないでくださいよ。お客を連れてきたんですけど……」
「お客だァ?」
何故か疑問形……て、あら。どうやらアイシャはまたしても僕の後ろに隠れているのだ。
アイシャは結構人見知りのようだ。それでよく僕に話しかけて来れたものだ。というか何故僕に話しかけてきたんだろうか……
「大丈夫だアイシャ、こいついかにも犯罪者のような顔と図体をしているけど優しいから安心していててててっ」
彼の大きな手が僕の頭を掴んでくる。
「どっちの方が人聞きが悪いんだ?」
ギシギシと軋む音が頭の中で響いている。
「あぁぁ、割れる割れる。何か鳴っちゃいけない音がしてる、悪かった悪かったから離して」
危うく僕の頭がリンゴのようになる所だった。
「まったく、にしても今日は随分と明るいじゃないか」
ぱっと手を離してヴィエルはそんな事を言った。多分いや、絶対リンゴを片手で割れるよきっと……ちなみにヴィエルは本名では無い。確かヴィエラロウスが本名だったはずだ。彼を知る者はみんなヴィエルと呼ぶ。彼自身にそう呼べと言われているからだ。そう呼ばないと頭潰されるしね。
「そう? いつもと変わんないと思うんだけど……て、それよりもアイシャの武器を作ってくれよ」
「作るが、なんでその子のためにそこまでする?」
「アイシャは僕の妹なんだよ」
そうして、今日何度目かになるあの驚愕の目線で見られた。
「……お前さん、妹がいたのか?」
「いや、今日からだよ」
「……は?」
そうしてヴィエルにも今日の事の顛末を説明した。
***
「サリーは、面倒見がいいなぁ。いや、お人好しなだけか」
つい先程までいた喫茶店でもそんな話をしたよな、てか受け答えが同じなんだけど……この都市でのサリーの印象というか共通認識はどうやらお人好しということらしい。
「ま、それはさておきこのこの武器だったな。何を作るんだお嬢さん」
グイっと覗き込んできたヴィエルに対してビクっと体を震わせ警戒を示すアイシャ。「大丈夫だよ」と言い、肩に手を置いてあげる。すると安心したように息を吐いて話し始める。
「え、えっと、私は魔術師になりたいんです」
「なるほどな。どんな形がいいとか重量の指定はあるか?」
なんて結構専門というか使ってる人しかわからないことを聞いている、当然の如くアイシャは動けなるってものだ。わからない事聞かれても困るよな。
「ヴィエル、アイシャは今日冒険者登録したばかりだ、そんなことが分かるわけないだろ」
「ふむ、それもそうか。よし嬢ちゃんこっちに来な」
アイシャもこの状況にだいぶ慣れてきたのだろう、素直にヴィエルの言うことを聞いている。適応能力高いな。
「ちょっと待ってな」そう言って工房へと消えていった。
「まず形からだな。魔術師が使う杖の種類は3種類ある、短杖、長杖、それから特殊杖、それぞれ特性があるんだが、何から説明したらいいか……」
そうして、武器の説明を丁寧にひとつずつ説明してくれた。そういうところを見ているとやっぱり人は外見だけからは判断できないと思った。
ヴィエルのことだから大丈夫だと思うけれど、いい杖が出来ますように……
そこにいるのは見慣れた人物だ。この鍛冶屋の老人、ヴィエルという。彼はドワーフの血を継いでいて、体は大きく筋肉質で片手でリンゴを潰せるんじゃないかというくらいの鍛えぶりだ。本人曰く勝手に付いていくそうだが。
「いらっしゃい。ん? ネロか、てことはお前もう壊したのか?」
「人聞きの悪いことを言わないでくださいよ。お客を連れてきたんですけど……」
「お客だァ?」
何故か疑問形……て、あら。どうやらアイシャはまたしても僕の後ろに隠れているのだ。
アイシャは結構人見知りのようだ。それでよく僕に話しかけて来れたものだ。というか何故僕に話しかけてきたんだろうか……
「大丈夫だアイシャ、こいついかにも犯罪者のような顔と図体をしているけど優しいから安心していててててっ」
彼の大きな手が僕の頭を掴んでくる。
「どっちの方が人聞きが悪いんだ?」
ギシギシと軋む音が頭の中で響いている。
「あぁぁ、割れる割れる。何か鳴っちゃいけない音がしてる、悪かった悪かったから離して」
危うく僕の頭がリンゴのようになる所だった。
「まったく、にしても今日は随分と明るいじゃないか」
ぱっと手を離してヴィエルはそんな事を言った。多分いや、絶対リンゴを片手で割れるよきっと……ちなみにヴィエルは本名では無い。確かヴィエラロウスが本名だったはずだ。彼を知る者はみんなヴィエルと呼ぶ。彼自身にそう呼べと言われているからだ。そう呼ばないと頭潰されるしね。
「そう? いつもと変わんないと思うんだけど……て、それよりもアイシャの武器を作ってくれよ」
「作るが、なんでその子のためにそこまでする?」
「アイシャは僕の妹なんだよ」
そうして、今日何度目かになるあの驚愕の目線で見られた。
「……お前さん、妹がいたのか?」
「いや、今日からだよ」
「……は?」
そうしてヴィエルにも今日の事の顛末を説明した。
***
「サリーは、面倒見がいいなぁ。いや、お人好しなだけか」
つい先程までいた喫茶店でもそんな話をしたよな、てか受け答えが同じなんだけど……この都市でのサリーの印象というか共通認識はどうやらお人好しということらしい。
「ま、それはさておきこのこの武器だったな。何を作るんだお嬢さん」
グイっと覗き込んできたヴィエルに対してビクっと体を震わせ警戒を示すアイシャ。「大丈夫だよ」と言い、肩に手を置いてあげる。すると安心したように息を吐いて話し始める。
「え、えっと、私は魔術師になりたいんです」
「なるほどな。どんな形がいいとか重量の指定はあるか?」
なんて結構専門というか使ってる人しかわからないことを聞いている、当然の如くアイシャは動けなるってものだ。わからない事聞かれても困るよな。
「ヴィエル、アイシャは今日冒険者登録したばかりだ、そんなことが分かるわけないだろ」
「ふむ、それもそうか。よし嬢ちゃんこっちに来な」
アイシャもこの状況にだいぶ慣れてきたのだろう、素直にヴィエルの言うことを聞いている。適応能力高いな。
「ちょっと待ってな」そう言って工房へと消えていった。
「まず形からだな。魔術師が使う杖の種類は3種類ある、短杖、長杖、それから特殊杖、それぞれ特性があるんだが、何から説明したらいいか……」
そうして、武器の説明を丁寧にひとつずつ説明してくれた。そういうところを見ているとやっぱり人は外見だけからは判断できないと思った。
ヴィエルのことだから大丈夫だと思うけれど、いい杖が出来ますように……
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