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冒険者の日常

アカツキ

最悪の結末

 僕は地上に立っていた。リーナの魔術、テレポートによってここへと飛ばされたのだ。
「…………な……んで……どうして、どうして僕だけ……」
 みんなは、ヤオラは? あの傷を負って今もまだ戦っているのか。ルーシェは? リーナは?
 みんな戦っている。なのに俺はなんでこんなところにいる? 
「僕は何をしてるんだ、こんなところでパーティーのメンバーが今も死と隣り合わせの戦闘をしているというのに、そんな時になんで僕を僕だけを地上ここに送ったんだ」
 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
 最後に見たみんなの顔。何故かみんな笑っていた。普段あまり笑わないリーナも、必死に涙をこらえてルーシェが笑っていた。
「なんで、お前らは僕を生かしたんだ……お前らまさか」
 いや、そんなことは絶対に許さない。もはや一刻の猶予ゆうよもない。すぐにでも戦力を集めて21階層へ向かわなければ。
 自分でもわからないとてつもない不安に襲われていた。

 ***

「た、頼む。俺に力を貸してくれ」
 そこはダンジョン近くの冒険者の溜まり場、ギルドでのこと。
 突然開いた扉を皆が凝視する。
「ネ、ネロ。無事だったの……おい、パーティーメンバーは?」
 数々の冒険者が僕に駆け寄ってくる。
「だから力を貸してくれ、俺のパーティーメンバーはいまも21階層で新種のモンスターと戦っている。時間がないんだ。頼む」
「な、わかった、お前ら話は聞いたな、ここで逃げた奴は冒険者の資格を剥奪してやる」
 一介の冒険者にそんな力はないのだろうが、今はそれがとても助かった。少しだけ気持ちが楽になる。
「ネロ、これが終わったら一杯奢れよ」
 冒険者はそういって準備を始めた。5分も経たないうちに冒険者達がダンジョン入り口前に集まった。
「みんな集まってくれてありがとう、礼は必ず。とりあえず今はダンジョン21階層に最高速で移動する。関係ないモンスターに構っている暇はない。とにかく最短で突っ切る、行くぞ」
「「「おおおぉぉぉぉ」」」
 こうしてダンジョン強行突破を開始した。
 ダンジョンに入った途端にモンスターが襲い来る。
「邪魔をするんじゃねぇー ︎」
『漆黒の夜空』を使い全てを切り裂く。くそ、わかって邪魔をしてきてるのか、ただの偶然か。
「それにしては都合が良すぎる気がする……」
 今は僕一人でなんとかさばけている、問題はそれができなくなった時だ。
「一応隊列を組んでおいてくれ、何が起きるかわからない」
 強行班にそう告げる。
 程なくして、隊列が完成する。そのまま、最短距離で下へ下へと潜っていく。
(お願いだ、どうか無事でいてくれ。間違っても死なないでくれ。お願いだから……)
「ネロ、上だ」
 緊迫した声が僕にそう告げる。
「わかっている、殺気がダダ漏れ」
 上から襲ってきたモンスターを細切れにする。
 行軍は止まらない。
 
 そして時間は2時間半程経過した、少なくとも過去最短の速度でそこへと到達した。
「これが21階層だと、もっと綺麗なところだったろ……いや、それよりも静かすぎやしないか?」
 一人の冒険者が呟く。
 その通りだ、少なくとも周りから戦闘音は聞こえない。まさかとは思うが……いや、そんなはずはない。頭を振ってさっきまで新種のモンスターと戦っていた場所へ向かう。
「……嘘だろ、そんなはずない。ヤオラ、リーナ、ルーシェ? おい、どこにいる、返事をしてくれ」
 そこは確かにあのモンスターと剣を交えていた場所だった。
 でも、何もない。モンスターも僕の仲間も何もない。
「お、おい、ネロ。これ……」
 言われた方を向くとそこには、1つの杖が落ちていた。それは、半分くらいのところで折れていた。何度も見てきた、間違えるはずもなくそれはリーナが使っていたものだった。
 嘘だ、違うこれはリーナのじゃない。そうであって欲しかった。決して認めたくはなかった。嘘だ嘘だ嘘だ、違うそんなわけない。
「……………………」
 そんな時何かが光った。光が何かに反射した。
 目を凝らして見ればそこには、見覚えのある飛び道具が落ちていた。その側の地面に何かが書かれていた。
「モンスターは倒した。これからの街はネロに託す、トライデント一同」
 トライデント、それは僕のパーティーの名前だ。
「……あぁ……なんで、なんでなんだよぉおぉぉぉ、あぁぁぁあぁあぁああああぁぁぁぁあぁ」

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