nox-project 姉妹の奇妙な学園生活

結月マルルゥ大佐@D.I.N.S.I.S.N社

5.変わらない日常、変わった姉妹

あれから1週間が経過しました。
妹の怪我はまだ完治していませんが、あまり暴れなければ普通に歩けるぐらいにはなりました。
本当にもう……ノックスの血筋、様々ですわね。

「キルメアー、寒いー」
「あ、ごめんなさい。今、暖かくなりますからねー?」

コルセアは私の目の前で全裸になっています。
ここは風呂場。
片腕のギブスはまだ外せませんから、お風呂には入れませんし濡れタオルで済まさなくてはなりません。

私が拭いています。
はい、私がっ!!!!
嗚呼、同性で良かった。姉で良かったですわ。
天国……ではないでしょうけど、とりあえず故人のママ、旅に出ている色々とアレなパバ、本当にありがとうございますわ。
そう私は考えながら、お湯で濯いだ濡れタオルで妹の背中を拭き始めた。

「よいしょっと……」

最初のうちは暫く、恥ずかしがったりしてやりづらかったのですが今は漸く慣れたらしくすんなりと拭かせてくれます。
まぁ、妹が慣れても私が慣れてませんけどね……
あ、しかし、下半身の方ばかりは自分で拭いてますよ?
流石にそこまでやっては、もう、私の頭にあるリミッターが私の意識をシャットダウンしてしまいますから。

「ふーき、ふーき」

柔らかいタオルで優しく傷痕の周りを撫でて拭く。

「痛みますか?」
「大丈夫だよ」
「そう、なら良かったですわ」
「ねぇ、キルメア」
「なんですの?」
「もし、私が好きな異性がいるって聞いたらどうする?」

…………え?
妹に好きな人?
ああ、友人として好きって意味ですわよね?

「あ、友人としてじゃなく恋愛の意味でだよ?」

退路を絶たれた気分ですわ。
恋愛として、妹に好きな人……?
え、これってどういうことですの?
誰?
誰なんですの?
妹のクラスメイト?
それとも、何処かの知人?
あ、たまにいくパン屋の人?
警備の人?
誰なんですの?
何処のどいつが私の妹を誘惑したのですの?

「あははー、もしもの話だよー?」

誰だ……誰だ……誰だ……私は誰を殺……いえ、誰に"お話"をしに行けば宜しいのですくぁ?

「……?キルメアー?おーい?」
「何処のクソ虫ですの?」
「クソ虫!?き、キルメアの口からそんな汚い言葉が出るとは思わなかったよ」
「何処のどいつですの?」
「あー……なんか知らないけど、怒ってるなぁ……いないよそんな人。ただの可能性の話だもん」
「……そう。良かったですわ」
「そんなにダメかな?」
「ええ、駄目ですわ。男は狼ですもの。私が認めない限りは駄目ですわ。ええ、とにかく駄目ですわ」

「大体ねぇ?」と、さらに続けようとしたら急に妹が振り向いて抱き付いてきた。

「ど、どうしたのですか?」
「だったら、私がキルメアに惚れたらどうなるのかな?」

そう妹は耳元で囁いた。

「…………………………」
「……ん?キルメア?どうしたの?」

はい。私は気絶しました。絶賛、私の頭にあるリミッターは働きまくっています。
座ったまま白目になっていますとも。
情けない?
仕方ないじゃないですか!!慣れてませんもの!!
わかりますか!?
あの可愛い妹が全裸で抱き付いて耳元で囁いたのですわよ!?
これでどうにもならない人がいるなら、私はこう言います。
「貴方は人間じゃない!!」と!!

「キルメアー?おーい?」

妹が私の身体を揺さぶりますが、まったく目を覚ましません。

「あちゃーまたかー、どうしちゃったんだろー。目を覚まさないやー……どうしよう。流石に寒いし、キルメアも服を着てないしこのままじゃ風邪を引いちゃうからなぁ……。床には暖かくなるようにキルメアが魔術を放ってあるみたいだし……よし、こうしよう」

んっ?何か暖かいですわ……
暖かい……いや、これは……?
私は目を覚ました。

「……ん?んー?」

これは……どういうことですの?
妹の顔が目の前に……ああ、抱き締められてますわね。

「キルメアー?大丈夫ー?」

どうやら暖めるために床に倒して抱き付いてるみたいですわね。
ええ、これから私がどうなるか、お分かりでしょう。
そうです。
私は再び気を失いました。
刺激が強すぎます。強すぎますとも。

「ありゃりゃ、またまた気絶しちゃったよ。んー……まぁ、くっついてれば暖かいから……まぁいっか」

そのまま妹も寝てしまったらしく、起きたのは2時間ほど経過した後でした。

「起こしてくださればよろしいですのに……クシュッ……うぅ、早くも風邪気味になりましたわね……。早めに風邪薬を飲んでおきましょう……」

私は熟睡している妹に服を着せ、自分も着てから妹をベッドへ運んでこの日を終わらせました。

__________

翌朝。
まだ鳥の囀りが聞こえてくる明朝に私は目を覚ました。

「………………」

怠い。風邪は幸いなことに悪化せずに多少喉が痛い程度で留まっていますが、あまり朝は強くない私は目を覚まし上体を起こしたままボーッとしています。

妹は……まだ寝てますわね。
今日は休み。まだ起きるには早い時間なのですが目は覚めてしまっている為、再び眠る気にはなれないそんな朝です。

「…………はぁ、顔でも洗ったら本でも読みましょうかね?」

私は怠い身体を無理矢理動かし、ベッドから出て脱衣所にある洗面台へと向かった。

「ふぁぁぁ……」

大欠伸をしながら洗面台に到着。
右側に立て掛けられた自分の歯ブラシを取り、チューブに入った歯磨き粉を適量歯ブラシに塗り、歯ブラシを口に入れてくわえる。
そして、歯磨き粉をしまい歯を磨く。

ミントの味がする歯磨き粉で爽快な気分になって完全に目を覚ました。

静寂の響く朝に私が歯を磨く音だけが辺りを包んだ。
鏡を見ながら私はしっかりと歯を磨く。
虫歯にはなりたくありませんからね。

充分に歯を磨いた私はコップに水を注ぎ、口を濯いで排水溝へと吐き出した。
近くにあるタオルで口許を拭いて、次は顔を洗う為の柔らかいタオルを適温の湯で濡らして顔を洗う。
ああ、暖かいですわね。
しっかりと顔を洗い終え、使い終わった2つのタオルを洗濯用の籠へと入れてベッドのある部屋へと私は戻った。

「コルセアは……やっぱりまだ寝てますわね……」

相変わらず穏やかな寝息を出している可愛らしい寝顔の妹の頭を軽く撫でてからクローゼットを開けた。
自分用のスペースには下着やハンカチ、制服ぐらいしかないガラガラなものでした。
隣の妹用のスペースには、様々な服やアクセサリーがあります。

「前にも考えた気がしますが、本当に私、女子力というものがありませんわね……」
「だったら、折角だし今日は買い物に行く?」
「うわっ!?」

急に後ろから聞こえた声に驚いた。

「お、起きてましたの?」
「んー?うん。寝たふりしてた」
「何のためですの、それ……」
「勿論、なんとなく!!」

勿論なのですね?

「はぁ……とりあえず私の着替えが終わりましたら貴女の歯を磨いたり着替えを手伝ったりしますからお待ちを」
「はぁい!!」

私は手早くいつも通りの制服に着替え、妹の歯磨きや着替えを済ましました。

「………………」

私は窓の外を見て絶句しました。
ついさっきまで小鳥たちが囀ずり燦々と美しい晴天だったというのに、今は日の光は黒い雲に隠されて雨音が響いている。
ああ、なんていう日でしょう。
これがもしパパならこう言うでしょう。
"Oh!BatTime"ってね。
……はぁ。折角、妹とお買い物でしたのに。

「あー……タイミング悪いね。これじゃ今日はやめといた方がいいかも」
「最近、妙にツイてませんわね……」
「あはは、仕方ない仕方ない。で、どうする?」
「そうですわね……そういえば、例の3人の部屋をさっさと空にしたいから、必要なものがないか早めに調べるようにと寮監様から連絡がありましたわ」
「なら行く?」

もう一度、窓から外を見てみたが雨は悪化こそしても止む気配はない。
車軸を流す勢いで降り注いでいる。
そんな外を見て、私は溜め息をついた。

「はぁ……そうですわね、そうしましょうか」
「じゃあ行こう!略奪ターイム」
「事実上そうなりますが、略奪と言うのは止めてください……」
「いい感じの服があったら、キルメアに着せるー!!」
「私が殺した人の服をですか…………何か、呪われそうですわよ……」
「呪いが怖くて悪魔がやれるかー」
「そりゃそうですけども……一応は自分が奪った命の重さを知るための規則だった筈ですわよ?寮監様から言われるまで考えてもいませんでしたけど……ですから表向きだけでも誠実にしませんと」
「わかってるわかってるー。廊下でふざけたりはしないってー」

本当に分かってるのでしょうか……。
まぁ、私も相手が相手でしたから殺したことに罪悪感を感じる気はありませんが一応、罪を感じている風に見せないと色々立場に響くのですが。
然程、私自身の立場なんて気にしてるわけではありませんがこれ以上、妹の立場が危うくなるのは避けたいものです。

「楽しみだなー♪♪」

妹が楽しそうにしている。
まだ多少、怪我は痛むこともあるみたいですが大分回復した妹を見て安堵もしました。
しかし、逆に元気になり過ぎて少々心配になる今日この頃です。
そんな姉である私の悩みを気にしないで、妹は部屋から出た。

「キルメアー!早くー!」
「はいはい……」

私は呼び声に答えて、妹と共に目的地へ向かうことにした。

__________

ひとつ目の部屋の前に着いた。
ネームプレートには、"イヨテツ=ナンテコッタ=パンナコッタ=ジャクソン5世"と書かれている。

「ここは……性別的に、バンダナを着用していた男性の部屋みたいですわね」

そういう名前でしたのね……。実に変ですわ……。
絶対、名前で弄られたことでしょうね。

寮監様から借りた鍵でドアを開いて、私たちは中に入った。

「そういえば男の人の部屋に入るのは初めてかもしれないなー」

ドンッ。つい、激しくドアを閉じてしまった。

「どうしたの?」
「つい力を入れて閉めてしまっただけですわ」

ええ……ええ……そうでしたのね。妹が他に好きな異性とか出来たのではと、昨日の話で未だに心配していましたが良かった。
本当に……良かった……。

「キルメアー?早く、何かないか調べよう?」
「あ、そうですわね。調べましょう」

その部屋はあちこちに女性が水着を着たポスターが飾られた部屋でした。
一人部屋ですから私たちの部屋の半分程度の大きさで、若い男性が好みそうな玩具や音楽を視聴するための道具とかがあちこちに置いています。

「何かないかなー!」

妹が次々、引出しやクローゼットを開けていく。
軽く漁っては閉めずに床に放り出して、まるで泥棒が現れたかのように散らかってしまった。
……まぁ、ある意味、泥棒には違いありませんが。

「何か良いのでもありましたか?」

私は大して探さず、ソファーに腰掛けました。
私たちの部屋のものと違い、少し固めの黒っぽいソファーです。
これは……牛革でしょうか。獣の皮を使っているらしく、少し触り心地がいい。
持って帰りましょうか。
…………いいえ、サイズが大きいですし今のソファーを片付けても引出しやクローゼットが開かなくなってしまう配置にしかなりませんわね。
私たちの部屋は広いことは広いのですが、本棚などの家具が多い傾向にありますから。

「んー、引出しにキルメアの盗撮写真が幾らかあったー」

ああ、本当にファンではあったのですね……。
正直、不快ですが……まぁ、今更死人に唾を吐いても意味がありませんし良いでしょう。気にしないことにします。

「それは価値がありませんわね。処分してくださいませんか?」
「いや、貰うから駄目ー」
「何でですの?盗撮なんてしなくても、欲しいなら撮りますわよ?」
「いやぁ、このアングルは撮らしてくれないんじゃないかなぁ?」
「…………どんな写真ですのそれ」
「秘密ー」

取り上げようと迫るが、散らかしたものが邪魔で中々近付けない。

「これは私のにするから駄目ー!」

そう言うと妹は、服の内側に仕舞ってしまった。
そういえばその服、色々な場所に隠しポケットがある私服でしたわね……。

「はぁ……」

私は呆れながらも、まぁ妹なら別にいいかと思い諦めた。
写真の内容は気になりますけどね。

「仕方ありませんわね。別にいいですが、他の人にだけは見られないようにしてくださいね?」
「はーい」

妹は更に探索をしてみたが、あまり食指が動くようなものが見当たらなかったらしくベッドに腰掛けた。

「他には何も見付からなかったの?」
「うん。音楽の趣味も合わないみたいだし、男性向けのエッチな本とかでもあまり興味があるのも無かったからねー」
「興味がある場合の成人向けの本もあるのですの?」
「んー、まぁ?」
「……まぁ、いいですわ。それじゃ、次の部屋に行きますの?」
「そうしよっか。キルメアは良いの?」
「ええ。軽く本棚も見ましたが、そもそも魔術の書物も小説もまったく在りませんでしたもの」
「そっかー。なら、次の部屋に行こー」

私たちは部屋を出て、2度と来ることもないであろう部屋を後にした。

__________

次に訪れたのは、角の生えた女性の部屋です。
ネームプレートには"フィリチータ=モンテカルロ"と書いてありました。

部屋に入ると、まず目に入ったのは豪華絢爛な調度品の数々。
装飾の施されたベッドや椅子、クローゼット等があります。
先程の部屋とは違い、気品のある部屋と言えます。

「わー、久々に見たねー」
「まるで城の私たちの部屋みたいですわね……。今も残ってるのかしら」
「んー、どうだろ。魔王代理に立てたのは元帥のネココ姉だよね?」
「ええ。恐らく自分に似合わない命令だから文句を言ってるかと思いますが、彼女でしたらちゃんと国の管理してることでしょう」

ネココ=ジョウカ。パパが統治していたデザーリア王国の軍事を担当している元帥の猫系獣人の女性。

刀と言われる近接武器を愛用していて、居合いという剣技を得意としている優秀な兵士です。
その速度は一瞬。ですから私も抜刀した姿を見たことがないのですわよね。
性格は意外にも温厚で、幼い頃は色々遊んで貰ったものです。

「だったら部屋も残してるんじゃないかな?」
「でしたら卒業したら帰省も良いかもしれませんわね。パパが帰るまでは住むのは無理がありますが」
「立場上、国政を私たちがすることになっちゃうもんねー。私たちには無理無理。向かないもん」
「ですわよねー」

そう言うと妹は引出しを漁り始めた。
部屋の大きさは先程の部屋とあまり変わらない為、探索はそれほど大変でもないでしょう。
私も本棚を調べてみることにした。

「おや、これは……中々興味深い本がありますわね……」

私が探していた小説と、此方は写本になりますが魔道書を発見しました。
とりあえず本棚から出して、持って帰る物として入口近くに重ねていく。

「これも良いですわね。あ、これも……これも欲しいですわ。わ、あの小説の初版本ですわ……これは凄い。確か100部ほど刷った際に当時の教会が異端思想に関わると言われ、25ページの3行目を丸々変えるように言われたのですわよね。ですから初版の100部の大半は回収され処分された筈。それから逃れた1冊がこんなところに……ああ……ああ……興奮してきましたわ……」

次々と入口近くに本を重ねていきます。貴重な本ばかりでして、本を愛する私には幸せな場所ですわ。
出会い方さえ違えば、あの角の方と仲良くなれたのかもしれません。
ま、妹に危害をくわえた時点で、その可能性に意味はありませんけどね。

「…………少し、積み過ぎましたわね」

気付いた頃には背伸びしても手が届かなくなりました。
自力で持っていくのも大変ですから、指を鳴らして使い魔を召喚します。

「この本をすべて、私の部屋へ運んでください」
『!!?』

そう言うと使い魔の黒猫は嫌そうな顔をしながらも『御意…………』と言った。

「申し訳ないですわね。あとで鰹節とマタタビをたくさん、あげますから頑張ってくださる?」

魔術で浮遊させた本と共に黒猫は消えました。
使い魔特有の道で私の部屋へと向かったのでしょう。
許容される重さを超えていたのか、ふらつきながら運んでました。
……使い魔虐待で告訴されませんわよね?

……少し反省しましょう……。

さて、私の方は済みましたし妹の様子を見ましょうか。

「コルセア、そっちはどうですの?」
「んー?宝石箱を見つけたー」

開かれた宝石箱には、様々な指輪やペンダントがあった。

「宝石……いえ、魔石とかもあるみたいですわね。純度も高い……。これなら魔術を使う際の道具としても使えますし持っていきましょう?」
「わかったー。早速、何か指輪をつけとくよ?」
「別に良いですが、私はあまり詳しくありませんから鑑定とかしないと詳細な効果とかは解りませんわよ?」
「大丈夫。効果とかよりアクセサリーとしてだから!!」

そう言うと、"若い女の子"のように妹は指輪を吟味し始めた。
……って私も一応、"若い女の子"でしたわよね……
着飾ることにあまり興味がないから忘れるところでしたわ。
女らしくあることを、捨て過ぎてませんか私……。見た目だけなら女性らしいと言うのに中身が残念だと身内の誰かに言われたことを思い出しましたわよ……。

「ん?キルメア、どうかした?」
「いや……自分の女らしさの無さが、惨めに感じただけですわ……。女は女らしくとは言いませんが、こう、なんて言いますかもうちょい欲しいですわよ……」
「んー、よく分からないけどドンマイ?」

妹の左手薬指には指輪が輝いてました。
……ん?左手薬指?

「コルセア、左手薬指は止めなさい……せめて、右手にしなさい」
「右手、ギブスしてるし?何か問題があるの?」
「左手薬指では、まるで婚約指輪じゃないですの……」
「あ、そっか。なら中指にしよー」

妹は左手薬指から左手中指へと指輪を移動しました。
左手薬指は私がいずれ渡しますもの。先に埋められては困りますわ。

「それなら良いですわ。中々、似合ってますわよ」
「えへへー、ありがと。なんか、綺麗でねー」

その指輪は金色のリングで、削られて目の様な形の彫刻がされてます。
しかし、宝石らしい宝石は付いていないものでした。
リング自体が魔石で出来ているのかもしれません。
それとも、純金でしょうか。確かに純金にも魔力を上げる機能はありますが……やはりよく分かりませんわね。
妹が喜んでますから別に良いですが。

「一応、宝石箱のまま持ち帰りますから好きに使っても良いですからね?」
「はーい」
「他に何か良いものはありましたの?」
「うーん……無いかな?アルバムとか日記とかあったけど、見る?」

アルバムを開いて見せ付けた。
これは……家族写真でしょうか。笑顔の親子が写っています。
罪悪感なんて抱くべき相手ではありませんが、こういうのを見ると流石に揺らぎますわ。
可愛らしい笑顔の妹に抗議しましょう…………。

「……なんで罪悪感を私に対して演出させようとしますの……」
「なんとなく?」

やっぱりですかー……。そうですわね、貴女ならそう言いますわよね。
今考えたら嫌がらせはアンドラス叔母様の指示があって起きたことだけじゃなく、妹の"なんとなく"によって起きたことの気がしてきましたわ。
本来なら怒るべき所なんでしょうけど……ああ、私には無理ですわ。
無邪気な笑顔を向けられては……私には……うぅ。

「Sですの?サディスティックに目覚めましたの?」
「ポテトならLサイズが好き!!」
「私はMサイズで充分ですわよ」
「わーい、キルメアのマゾー!!」
「雑な誘導ですわね!?はぁ……まぁ良いですわ。それでは次に行きましょうか」
「はーい」

私たちは部屋から出ました。
《如何に豪華絢爛な調度品があっても如何に着飾っても心が伴わないと所詮、物でしかない》
ドアを閉じるときに私は昔、パパに言われたことを思い出しました。


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