nox-project 姉妹の奇妙な学園生活

結月マルルゥ大佐@D.I.N.S.I.S.N社

3.浮かび上がった黒い影

私は寮の自分の部屋にいた。
時間は夜。実習が終わり、医務室に運ばれた妹を連れて帰った晩です。
今日からはひとりじゃない。
妹のコルセアと共に。
少し前まではこれが当たり前でしたが、暫く不在ですと何か気恥ずかしい気持ちにもなりますわね。

「コルセア、そろそろ包帯を替えますわよ?」
「自分で出来るからいいよ」

ん?
妹は此方を向かずに答えている。

「私がやった方が楽でしょう?遠慮しないで」
「いいってば」

んー?別に遠慮しないでいいですのに。

「もしかして恥ずかしいんですの?そんなわけないですわよね?つい最近まで一緒にお風呂に入っていたのだし。それに貴女、片腕も骨折しているのでしょう?だったら私がやらないと」
「…………うるさいなーもー」

え……なに?なんなのですの?
布団で口許を隠してモジモジと……わ、私を萌え殺す気ですの?
可愛い。私の妹、マジ可愛いですの。
でも、流石に包帯を替えるのは私がやった方が良いですわよね。
傷に障りますし、片手じゃやりづらいでしょう。
こんな時はお姉ちゃんのマル秘テクニックですわ。

「コルセア、ある程度治ったら何処か遊びに行きませんこと?遊園地でも水族館でも良いですわよ?学校は1日ぐらい休んでも良いでしょ?」
「おぉ!行きたい行きたい!!」
「でしたら早く治す為にも包帯は私が替えましょう?」
「むー……前は見ちゃ駄目だからねー?」
「分かってますわよ。背中から替えるだけですわ……」

渋々、妹は包帯を替えさせてくれた。
お姉ちゃんのマル秘テクニック、本日も成功となりましたわ。
服を脱いだ妹は私にスルスルと包帯を解かせて貼られた薬品の染み込ませたガーゼを接がした。
私の目の前には全裸になり、胸や恥部を手で隠している妹がいる。

…………鼻血が出そうなのですが。
片腕にはギブスを巻かれているって辺りが、謎のエロスを感じられますわよね。
ええ、本当に……妹は可愛いですわ。

妹は掛け布団で胸元まで軽く隠した。
まぁ、包帯を巻くときにずらして貰う必要はありますが、いいでしょう。
折れた方の腕は……ギブスを巻いてますし、そちらはいいですわよね?
私は処方された軟膏薬を手に取り、妹の背中に塗り付ける。

「んっ……ふぅ……」
「痛みます?」
「うん……っ……少し、ね?」

私は正直、冷静を保てるか不安でしたが優しく背中に塗り付けた。
落ち着けキルメア=K=ノックス。これは治療行為。
妹がまるで喘ぎの様な声を出したからって、ここで鼻血を出して倒れたりしたら妹が困ってしまいますわ。

「く、薬はこれぐらいで大丈夫でしょう。次はガーゼで塞いで包帯を巻いて終わりですわよね!?」

つい、声が裏がってしまいましたわ。

「ん?どうしたのキルメ……お姉ちゃん」
「なんでもありませんわ。それより今、名前で?」
「あー、ごめん。久々に呼んだから名前で呼んじゃった」
「別に名前で呼んでもよくってよ?」
「そう?じゃあよろしくね、キルメア」
「はい、よろしくお願いいたしますわコルセア」

今日から私たちは名前で呼び合うことにした。

「えへへー、キルメアー」

妹が振り向いて私の顔を見て笑顔を見せた。
可愛いですわね本当に。

「はいはい、さっさと包帯を直しますわよ?」

そう言って後ろを向かせようとした瞬間、胸にかけていた布団が落ちてしまいまる見えになってしまった。

「………………」
「わー!!?」

妹は布団に抱きついて顔を真っ赤にしている……らしい。

「っ……恥ずかしいよー……ん?キルメア?おーい?」
「………………………………」
「どうしたの?おーい?キルメアー?」

私は座ったまま気絶していました。
はい、刺激が強すぎました。
鼻血を出して取り乱さなかっただけ褒めて欲しいものです。

「ちょっ、キルメアーー!!?」

目を覚ましたときは、それから2時間後だったみたいですね。

「はっ!?ここは?」
「すぅ……すぅ……」

ここは……コルセアのベッド?
幸い、私のベッドもコルセアのベッドも大きいものでしたから気絶した私をそのまま倒して一緒に寝たみたいですわね。
包帯は……結局、自分で巻いたみたいですわね。
やってしまいましたわ……明日、何か適当な言い訳を話さないと。

とりあえず、やっぱり片腕で無理矢理やったからか少し包帯が緩まってますから締め直しましょうか。
俯せで寝てますし、これなら起こさないでできるでしょう。

前ページへ
 / 294ページ
1章.対比的な姉妹
(28/294ページ)
次ページへ
「不器用なコルセアは、不器用なりに色々頑張ってますのよね……」

私は服を捲り、スルスルと包帯を解きました。
………………はっ!?つい、見入っていましたわ。
仕方ないじゃないですか。痛々しい傷はあっても妹は妹です。
どんなになっても妹は可愛い。
どんな傷があっても妹は可愛い。
はぁはぁ……ああ、今すぐ妹のうなじをペロペロしたいですわ……
したら流石に不味いでしょうけども!!
不味いでしょうけどもっ!!

「zzz……クチュンッ」

はっ!?このままでは寒いでしょうし、さっさと巻いてしまいましょう。

手早く巻き終えました。

「よし、うっとりする程の出来映えですわ……。こういう作業って、うまく出来るとなんか気持ちよくなるんですわよね」

私は服を直して、妹の頭を撫でた。
起きてませんわよね……?

「痛み止めが効いてるみたいですわね……よかった」

私は俯せに眠っている妹の頭を続けて撫でる。
なーでなーで

「さて、少し行かないとですわよね……」

そう呟いて私はベッドから出た。
ネグリジェから着替えていつもの制服を着る。
実は私服を持っていないんですわよね、私。
パパの思い付きで城から去ったわけで、あまり大荷物では色々不味かった為に城から持ってきたのは限られた量でしたので。
私の場合、服より魔法道具や本の方が大事でしたから私服がないのです。
それに、あまりお洒落に興味がなかった為、初等部や中等部の頃は制服とネグリジェだけで充分と考えてましたし、その流れで今に至るまで私物なんて考えてもいませんでしたわ。
でも、そろそろ私物ぐらい考えないとですわよね。
……今度、妹と買いに行きましょうか。
そう私は考えながら自室から出た。

部屋から出た私は魔術道具の杖を片手に少し歩く。
いつもなら晩に出歩くときは携帯用タクトで充分なのだけど、これから会いに行く相手の出方次第ではタクトは心許ないからだ。

少し歩いた先、目的地のドアの前に私は居た。
ネームプレートには"サイ=クマガワ"とある。
ドンドン。私はドアをノックした。

「夜分遅くに申し訳ありません、キルメアですわ。少しお話があります」

ドアの鍵が開いた。中から紫色のネグリジェ姿のクマガワさんが出てきた。

『お、キルキルっちー。ささっ、入って入ってー?』

クマガワさんは笑顔で部屋に招いてくれた。
私は一礼して部屋へと入る。

その部屋はひとり部屋だったらしく、私たちの部屋の半分ほどの大きさで壁紙は黒く間接照明だけで光をとっている薄暗い部屋だった。
寝具はベッドではなく、大きな棺桶。
やはり吸血鬼は棺桶の方が寝やすいみたいですね。

『ささっ、そこのソファーに座って?今、お茶を淹れるね?』
「いえ、お茶は結構ですわ。それよりお話をしましょう」

…………静寂が闇夜を包んだ。
私はソファーに腰掛ける。

『……楽しい話をしに来たわけじゃないみたいだね』
「ええ」
『そっか。いいよ、話そうか』

向かいのソファーにクマガワさんも腰掛けた。

「私、学園に入ってから中々友人というものが出来なくて困っていました。いつも話し掛けてくるのは私の魔術を羨んだ人達や恩恵に肖ろうとする人達ばかりで、とてもじゃありませんが心を許せなかったのですもの」
『うんうん。学園に入ったばかりのときからキルキルっちの実力は凄かったもんね。キルキルっちの家柄については知らない子が多かったけど、たまに知ってる子が伝説を話したりしていたのも声をかけられる理由だったんじゃないかな?』
「ええ。そんなときに関係なく話し掛けてくれた貴女に実は救われていたのかもしれません」

そう。私は本当の意味では学園で浮いていたクラスで、普通に話し掛けてくれた彼女に救われていた。
あまり大人数で騒ぐのは好きではありませんが、たまには人恋しくなることもあるのですよ。
…………最近は妹の事ばかり考えてましたからクマガワさんとは、あまりお話も出来てない気もしますが。

「今回の妹の件だって、ひとりでしたら抱えきれなかった筈です」
『あー、たしかにキルキルっちの落ち込み様は凄かったもんね。でもでも、仲直りしたんでしょ?』
「ええ。おかげさまで、むしろ前より仲良くなれたかと思えますわ。ありがとうございます」
『いやいや、友人なら当たり前だよ?』

照れているようでクマガワさんは頬を掻く。

「友人、ですか。確かに私と貴女は友人だったのでしょう。友人だったからこそ許せないことがありました」
『ん?何かキルキルっちを怒らせるようなことをしちゃったかな?』

少し不安そうにクマガワさんは訊ねる。
その質問に答える必要はありません。
この一言だけですべては足りますから。

「____貴女が犯人だったのですね?」



__________

私は妹を医務室に送り、自室で悶えた後に先生方へと連絡を済ませて廊下を歩いていた。
妹と仲直りできた。それは何より喜ばしいことですが、私の表情は晴れてなかった。
先生方に叱られたとかではありません。

まだ、終わったわけではないからです。

妹を虐めた実行犯は確かにあの3人なのでしょう。
あの3人を葬った今では、恐らく小さなものこそはあるとしてもそれほど大きな被害はないはず。
それに、私と仲良く歩いている姿を学園内に見せ付ければ軽率な真似は出来なくなる筈です。

しかし、主犯は別にいる。
あの3人は恐らく、私をネタに焚き付けられた人物なのでしょう。
実際、私が怪我をして、その理由が妹だと知られてから妹への虐めが始まるまでの時間が短すぎますもの。
それに所謂、猪のように奇襲を仕掛ける人物が作戦を練るかのように妹の悪巧みを先行して読み、実習中に襲撃をするような真似を出来るのでしょうか。
いや、出来ないとは言い切れません。しかし、私の経験上、違和感を感じざる逐えないんですよね……

あの3人は私のクラスには居ません。
3人の息のかかったものが報告していたとしても、そもそも怪我のことを話したのは僅かにしかいません。

「その僅かのなかに主犯が?分かりませんわね……」

そう独り言を放って、勘案を巡らせるが答えには行き着かない。
当たり前だ。私は唯の学生。
探偵でも警察でもなければ、経験の浅い唯の子供なのですよ。
如何に力が強くても、如何に魔術に精通していても時間をかけて築いていくものはまだ遠いのです。

「はぁ……」

情けなくなり溜め息をつくと、私のポケットが振動した。
ノックス関係者なら、当主から配布されている電話端末だ。

なんでも、何処かの魔法が存在しないとされている世界線で様々な人種が使用している連絡用の道具らしい。
電気を採取する道具がない世界も少なくない為、私たちが持つ此方の電話端末は色々改造されているみたいです。

私は電話に出た表示を見てから通話のボタンを押した。

「もしもし、キルメアですわ」
「あらぁ?元気がないわねぇ?まぁ、そうなるでしょうけどぉ」
「ええ、御察しの通り少しありまして。何か御用ですか?」

甘ったるい喋り方で話すのは腹黒毒使いの叔母……失礼。
アンドラス=O=ノックス。私の叔母です。
ミラ王国という国で薬屋をしている人物で、同じく叔母であるパイモン=S=ノックスと恋人関係にある女性でもある。
…………ある意味、色々な意味を込めて私の先輩の様なふたりだ。

「用事という程じゃないけれどぉ、最近、コルセアから連絡があったわよぉ?」
「ああ……面倒をかけて申し訳ありませんわ」
「別にいいけれど、早く仲直りしなさいよねぇ?今はまだ、小さい嫌がらせだけをしとくように伝えといたけど、いつまでも引き延ばせるわけないんだから」
「先程、仲直りはしましたわ」
「あら、そうなのぉ?ならなんで元気がないのかしら」
「それは__」

私は今までの詳細と黒幕に当たる犯人が掴めないという話をした。
それをアンドラス叔母様はなにも言わずに聞いていた。

「成る程ねぇ?」
「黒幕をなんとかしないと、同じことの繰り返しでしょう。なるべくなら早く済ましたいのですが……」
「特に解決策に心当たりが見付からない、ってことねぇ?」
「はぁ、こんなことなら怒りに任せて実行犯を殺すんじゃ無かったですわ……」

冷静を欠いた私のミスですわね……

「ああ、それは多分生かしていても結果は変わらなかったと思うわよぉ?」
「え?」
「こういう人は自分の尻尾を出すような真似はしないわぁ。どうせ、他人を使って代理として焚き付けているに決まってるわぁ。そして、その代理を調べようとしたら既に死体となっていて、黒幕には辿り着かない。そういうものよぉ」

流石、黒幕気質のアンドラス叔母様だ……

「だったら、どうやって調べたら……」
「そうねぇ……確実性はないけれど、経験上のプロファイリングぐらいなら出来るわよぉ?」
「お願いいたします。少しでもヒントが欲しいのですわ」

まったくヒントが見当たらない。まるで雲を掴むような感覚で、黒幕どころかそれに至るヒントすら見当たらない。
そんな状況では、どんな些細な情報も欲しいのですわ。

それにアンドラス叔母様は、血族にこそは激甘ですが他者に対しては極端に残酷。
黒幕として、他者の幸福を奪うことなんて娯楽でする様な一面もある。
そんな彼女の経験に則ったプロファイリングは馬鹿にならない気がします。

「わかったわぁ。私はあくまでも自分の経験からプロファイリングするだけだからぁ、推理や証拠探しは自力でやりなさいよねぇ?」
「わかりました」
「まず、こんな陰湿な真似をする黒幕は女性が多いわねぇ。男性が率いた場合は直接的な攻撃に出る可能性が大きいの」

先程の3人のように。
あの3人のなかでのリーダーは恐らくバンダナの男だったのだろう。

「貴女とは表立って仲が悪そうにはしていない筈ねぇ。むしろ、良好な関係をとってる場合すらあるわぁ」

良好な関係……そうですわね。
額の傷の件を話したのは、良好な関係の人物だけ。
元々、あまり他者とは揉めたりしない傾向にありますから何処までの関係が良好な関係と言えるかは分かりませんが。

「他には……そうねぇ。比較的、他人とは仲良くしている人気者タイプが多いかもねぇ……ってパイモン、やめなさぁい。それに触れたらまた……あ」

がしゃんと何かが割れる音がした。
アンドラス叔母様の後ろの方から声がする。

「アンドラス、ごめーん!!またやっちゃった!!」

「はぁ……キルメア、ごめんなさい。少し片付けをするからパイモンと少し話してて?」
「わかりましたわ」

「まったく、貴女って人はどんだけ不器用なのかしらぁ。これで5回目よぉ?今、キルメアと電話してるから話してなさぁい」
「はーい……」

「代わったよー!!」
「あ、パイモン叔母様。何をしたのですか?」
「なぁんか、コーヒーサーバーの調子が悪いから弄ってたら割っちゃった!!」
「コーヒーサーバーって軽く弄ってれば
5回も割れるものでしたとは、知りませんでしたわ…………」
「コーヒーサーバーは消耗品だよ!!月に1台は買い替えないといけないぐらいに!!」

「そんなわけないじゃなぁい、馬鹿じゃないのぉ?」

この元気な女性がパイモン。
実は暗殺者をしている人だ。
爆発物ばかりを使う為、《やたら目立つ暗殺者と書いて爆弾魔と読む魔王》とか馬鹿にされたりもするけれど、実力は確かな女性。
アンドラスとの仲は極めて良好で、結婚式はまだ挙げていないが実質的な婚姻関係にあると周りからされている。

「で、アンドラスとなんのお話だったのかな?浮気?浮気はいかんよー?」
「うふふ、冗談じゃありませんわよ。私の愛は常にコルセアのもとにありますもの」
「知ってるー!」

私が妹に姉妹以上の感情があることは、ふたりには話してある。
勿論、他言無用で妹自身にも話していません。
尤も、他にも察している叔父様叔母様方もいるのかもしれませんけど。

「そのコルセアの件で少し相談を」
「成る程ー?折角だし、私にも話してみて?」
「わかりましたわ」

私はアンドラス叔母様に話したことを、そのまま伝えた。

「成る程ねー。最近、アンドラスがコルセアと電話で悪巧みをしてると思ったらキルメアへの嫌がらせだったんだー」
「みたいですわね。あれでもアンドラス叔母様にしては甘い方だったのでしょうけど」

私は溜め息をついた。それをパイモン叔母様は苦笑するような声で答えた。

「で、黒幕さんを探してるみたいだけど、実行してきた3人に何か特徴はなかった?」
「特徴……ですか。うぅん…………特には見当たりませんが」
「目じゃないよ。私が標的を暗殺するときは見るだけじゃなく、様々な視点から情報を集めるんだ」
「目、以外ですか?」
「うん。耳、舌、鼻、指。どんなものでも調べられそうなことをすべて、組み込んでこそ調査っていうの」

……そういえば。

「そういえば、3人からは微妙におかしな匂いがしましたわ。まぁ、コルセアにかけられた薬剤の匂いも大きかった為にあまり気にしませんでしたが……独特な香りのする香水?なのかお香なのかの香りだったかと」
「成る程ねー。そういえば……ちょっと待って」

「アンドラスー、感情を香りで操作することってできるー?」
「できるわよぉ?脳の快楽や愛情、恐怖や焦燥感を刺激することである程度なら操作できるって聞いたこともあるわぁ。まぁ、あくまでも刺激する程度だから100%操るのは洗脳技術が必要だけどねぇ?」

「聞こえたと思うけど、あり得るって」
「つまり、黒幕はそんな知識が高く、香水を利用している様な人物である可能性があるってこと?」
「可能性でしかないけどね?うーん、あんまり疑心暗鬼にはさせたくないけれど、こういうことは身近な人が怪しいもんだからもう少し疑って調べてみたらどうかな?」

私にとっては妹が大事。
その為なら友人ぐらい、無くすことも厭わないですわ。

「わかりました。少し推理をしてみますわ」
「役に立ったなら嬉しい……よ……って、アンドラス、血が出てる!!」

「落ち着きなさぁい。少し破片で指先をかるぅく切っちゃっただけよぉ」
「わー!!アンドラス、死なないでー!!」
「死なないわよこの程度じゃ……というか私たちノックスは不死でもあるでしょうがぁ」
「わー、アンドラスぅぅぅ!!!!」

「はぁ……パイモンがあんなんだから電話、切るわねぇ?役に立ったなら嬉しいけど」
「あ、はい。充分過ぎる程に良いヒントを貰いました。ありがとうございますわ」
「そう。それじゃまたね?」
「はーい」

「アンドラスぅぅぅ!!!」
「うるさぁい」ピッ……ツーツー

はぁ……パイモン叔母様はアンドラス叔母様が絡むと途端、冷静じゃなくなるんですから……
……って、私も人のことは言えませんわね。
しかし、香りですか。
これは盲点でした。
実は約1名程、心当たりがある人物が居るのですわよね。
女性、私の友人、クラスの人気者。
そして、妹の件で怪我をしたということを知っている人物。
勿論、怪我の理由を知っていたことは話した相手から又聞きしたと言われたらお仕舞いですが、それでも判断基準には一応なるでしょう。
そして、考えてみればおかしな行動が目立っていた人物。
それは、私の知る中ではひとりしかいません。

「あ、そろそろコルセアを迎えに行かないとですわね……」

私はある決意を固めながら、妹を迎えにいくことにした。


「さぁて、パイモン。私たちはこれから何をすべきか分かるかしらぁ?」
「準備をして私立トリスメギトス魔道学園に潜入、だね?」
「流石、私の恋人ねぇ。急ぐわよぉ?」
「はーい!!」

「nox-project 姉妹の奇妙な学園生活」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く