俺は君が
エピローグっていうかプチ後日談
緊張する。
今年、入社の際に買ったばかりのスーツを着込んで、俺は彼女の実家の門の前に立った。
「そんな緊張しなくても大丈夫。父さんも母さんも、付き合いたての頃から歓迎ムードだもん」
「そ、それでもな……やっぱアレじゃん、悪い印象は与えたくないし……」
細心の注意を払うとなると、やっぱ緊張してしまう。
「……あなたの場合、どれだけ悪ぶっても悪い印象与えられないと思うけど」
「なっ、俺にだってたまにはニヒルな格好良さが……」
「ぷっ」
「うぉぉぉぉい!? その笑い方は傷つくよ!? 俺ただでさえ緊張してるからちょっとの刺激で泣くよ今!?」
「はいはい、じゃあ、行きましょー」
「ちょ待っ、まだ心の準備がですねぇってああああああああ!?」
俺の意見など完全無視で、彼女は門を開け放ってしまった。
……うぅ、この数年ですっかりカカア天下と化してしまった気がする。
男と付き合うと女性は急激に強かになるって聞いた事があるが、まさか身を持って体感する事になるとは。
「ほら、行こ」
ま、それでもだ。
その控えめな笑顔の可愛らしさは、今もなお健在である。
「……ったく……人の気も知らないで」
彼女の笑顔のおかげか、もう敷地内に踏み込んでしまったためにヤケクソになったのか、何となく、気分が軽くなった。
こうなったら、ちょっとだけ逆襲するしかないな。
彼女には、弱点がある。
それは、俺に『ある言葉』を言われると、りんごみたいな真っ赤な顔して取り乱してしまうという点だ。
もう何万回と言い聞かせているのに、未だに慣れないらしい。
本当、あのリアクションはいつ見ても可愛い。この先も一生慣れないでいただきたい。
「そうだ、ちょっと耳貸してみ」
「ん? 何? 父さん達に何かサプライズでも仕掛けるの?」
「いいからいいから」
「?」
くくく……無防備に近付いて来てからに。
本当警戒心の薄い小動物の様な子だ。
「よぉーく聞いてくれよ」
「うん」
さぁて、逆襲開始だ。
「俺は、君が―――
「俺は君が」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
JKは俺の嫁
-
45
-
-
私とサーガくんの宇宙人攻略記録
-
1
-
-
性意戦争
-
4
-
-
君の嘘は僕を救う
-
5
-
-
天使が我が家に舞い降りた?!
-
10
-
-
オタとツン属性を併せ持つ妹に、なぜか連夜催眠術を施されることに
-
31
-
-
連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜
-
11
-
-
間違いで始まる物語
-
22
-
-
君を失った世界
-
34
-
-
長いものには巻かれない
-
6
-
-
『愛してるゲーム』に負けたらキスするなんて先輩のバカ!
-
32
-
-
(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
-
110
-
-
シリ婚~俺の彼女はラブドール!?
-
53
-
-
勇者に惚れた元魔王が嫁になるそうです
-
157
-
-
俺を殺した同級生と、あの世で再会。同居することになったんだが、どうすれば!?
-
9
-
-
俺は主人公にはなりたくない!
-
25
-
-
教師な僕と生徒な彼女
-
31
-
-
海の声
-
54
-
-
狭間で泣きじゃくる恋
-
22
-
-
新たな恋は突然に
-
28
-
コメント