悪い魔法使い(姫)~身の程知らずのお姫様が、ダークヒーローを目指すとほざいています~

須方三城

R93,プリティ☆ガイ子ちゃん(始まるよ☆)



 ここは素敵で平和なナスタチウム王国。
 王族からしてノーテンキ、国民みんなどこかしらキュートにクレイジー。
 シャレにならないシリアスはぜーんぶ過去編に突っ込んで蓋しちゃえ☆
 今日も笑おうエビバデ・セイ・FOOO☆


 さてさて、今日も今日とて平和なナスタチウム王国のはずなのですが……なんだか繁華街の方が妙に賑わっていますね。


 少しだけ覗いてみませう。


「ヒャッハァー!! スケベしようぜェーッ!!」


 まぁ大変(棒読み)。
 繁華街で女性物のラグジュアリーなおパンティーを被った変態少年が道行く婦女達を追いかけ回しています。


「僕はピノキオ仮面!! 女の子とスケベするために現界した性欲のサーバント・騎乗位大好きエロライダー!! さぁ貴女の性杯を僕にィーーーッ!!」


 鼻が伸びませんね。
 どうやら本気で言っている様です。正気では無い様ですが。
 一体どこの真のくノ一に唆されたのでせうかね。謎です。


 しかし……久々の登場ですが、彼は出る度に問題発言を上塗りしている気がします。
 あれでピノキオを名乗っているのですから、そろそろどこかしらからクレームをいただきそうですね。
 私とした事が少々人選を……あ、いえ、なんでもありません。
 まぁ、なんにせよ、丁度良いので今回で永久退場してもらった方が良いのではないでせうか?


 そんな私……ごほんごほん。
 そんな世界の意思を感じ取ってか、現場に【彼女】が到着しました。


「待ちなさいなの!!」
「ッ!?」


 小高い雑居ビルの屋上、サンサン輝く太陽を背に、仁王立ちを決めたる一人の少女。


「理性ありきの現代社会……抑圧された性欲を、正しく発散できない不埒な悪党は絶えない……仕方無い? そんな事は絶対に無いなの。湧く度に粛清すれば良いじゃないなの。くたばれ変態ぶっ殺すなの。キリが無くても諦めないなの。人、それを……【不屈】と言うなの!」
「だ、誰だお前はッ!!」
「変態に名乗る名前など無いなの!!」


 との事なので、代わってこちらで紹介しませう。


 少女の名前はガイ子・ジンジャーバルト。
 黒くてフリフリなゴシックドレスでキメた、どこからどう見てもランドセルを背負って学校に通うお年頃のゴシック&ロリータ(……実は巨乳ロリブームに乗っかるべく巨乳仕様にしようと思ったのですが、彼女と親しいとあるお姫様の強く切実な要望により安心安定の貧乳仕様、と言うか年齢相応の体型でお届け)。


 ガイ子ちゃんは普段はツンデレを微妙にこじらせた男子大学生ですが……
 街に悲鳴が響き、そして私の気が向いたその時、こうして心身ともに【魔法少女プリティ☆ガイ子】となって性犯罪者の粛清を行うのです!!
 いや……粛清を行うなの!!


「えぇい、揉む所の無い体型しやがって偉そうに……!! 幼女はお呼びじゃあないんだよ!! パンツだけ剥ぎ取って幼稚園に放りこんでやる!!」
「一応パンツは取るのかよ!? ……じゃなくて、パンツは取るなの!?」


 流石ガイア氏……じゃくてガイ子ちゃん。退行TSかましてもツッコミ精神は忘れない。
 ……しかし、一瞬語尾が素になりましたね。調整不足でせうか……やれやれ、帰ったら一仕事必要な様です。


「当たり前だァァァーーー!! 性別が♀ならなんでも良いんだよ僕はァァァーーー!!」
「こんのガチクズが……!! 元々そのつもりだったけど、今後二度と登場できないくらい粉微塵にしてやるなの!!」
「やァってみろォォォ!!」
「わかったなの。よいしょ」
「へ?」


 おや、ガイ子ちゃんが異次元空間から何か取り出しましたね。


 おお、アレは久々登場、ガイア氏の相棒たる対竜兵装【まぁまぁ平和的な木槍グングネイル・アーティミシア】――に私が忍者的改造を加えた対性犯罪者撲滅兵器ではありませんか。


 その名は【性犯罪者のグングネイル心臓を潰す槍・インフェルノ】。
 ずばり忍者戦車タンクです。
 最早原型は見た目の木製感と【砲身】が槍の様な形になっている事のみ。
 ガイ子ちゃんの命令に反応して忍者ビームによる砲撃を行う半自律稼働の戦車砲となっています。
 ちなみに制御AIには、アシリア氏よりお借りしたバンバ氏を使用しております。


「よーし相棒! パンツァァァ☆ゴォォォォオオオオオ!! なのッ!!」
『了解したンバ』


 ガイ子ちゃんの指示に応え、【性犯罪者のグングネイル心臓を潰す槍・インフェルノ】が動きます。
 砲身の角度を下げ、眼下の路上で呆然としている変態をロック・オン。
 槍型の砲身、その穂先に青白くバチバチとした忍者ビームをチャージしていきます。チャージ所要時間はたったの四半秒。お客様をお待たせしないのが忍者クオリティ。


『報告。照準固定完了。対象行動予測演算完了。追跡設定完了。エネルギー充填完了。緊急砲身検査完了。問題無し。オールコンプリート。いつでも発射できるンバ』
「プリティ☆フラッシュ!!」
攻撃指示アタック・シーケンス、認証完了。発射ファイア


 放たれたるは、かつて古き人類に【神の怒り】と恐れられた、曇天の雲を泳ぐ青白い竜。即ち【雷】。
 落雷の実に三七五六四倍の威力で、悪の性犯罪者、その心臓を確実に止めます。


「ひ、ひぇッ……」


 変態が逃げようとしますが、無駄です。【性犯罪者のグングネイル心臓を潰す槍・インフェルノ】は対象の行動予測をしてホーミング設定を完璧に行ってから発射します。忍者式の予知をベースにした演算式を使っているので、その計算は正確無比に無慈悲。
 まさしく【心臓に必中する槍グングネイル】なのです。


「あ、あああああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーッ!!!!!?!!??!?!?!」


 変態撃滅、慈悲はありません。


「やったなの相棒! 今日も性犯罪者から街の平和を守ったなの!!」
『ミッションコンプリート、ンバ』


 ガイ子ちゃん、大喜びです。
 本当、本物の幼女みたいにぴょんぴょこきゃーきゃー喜んじゃって……おやおや、一カメに向かってウインクで決めポーズまで。


 ……後が楽しみですね☆




   ◆




 魔地悪威絶商会、オフィス。


「ピノキオ氏には確か【あの孫にしてこの祖父あり】と言う感じの祖父がいましたね……これは来週辺りが楽しみでせう」
「カゲヌイ楽しそう」
「ああ、アシリア氏。ええ、楽しいですとも。近い内にまたバンバ氏をお借りする事になると思いますので、よろしくお願いします」
「うん、わかった。バンバが文句無いならアシリアも大丈夫」
『特に問題は無いンバ』
「……ところで、ガイアはなんでソファーに転がって動かないの? お昼寝? ならアシリアもする」
「…………誰か俺を殺せ…………」
「死んでも魔法ゾンビ少女になるだけですよ」


 真の忍者からは逃げられません。



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