悪い魔法使い(姫)~身の程知らずのお姫様が、ダークヒーローを目指すとほざいています~
R52,年末はやたら新商品が多い(商戦感)
魔地悪威絶商会本社ビル(雑居)の近くにあるオーロラ商店街。
本日は一限のみ講義を受講したガイアは、昼食を商店街内のコンビニで購入。唐揚げ&ソーセージ弁当とスナック菓子が入ったレジ袋をぶら下げ、オフィスを目指していた。
ちなみに、スナック菓子はガイアが食すために購入した訳では無い。
子供組から弁当のオカズを守るための生贄くんだ。
テレサは(弁当の内容にも寄るが)直球で欲しがって鬱陶しい。特に唐揚げとかヤバい。
アシリアは基本的に良い子なので特に口には出さないが、無意識の視線攻撃が凄まじい。特に肉類の時はヤバい。
そして奴らは育ち盛り。自分たちはきっちり昼食を取った後だろうと容赦ない。
ガイアとしては、そう言った妨害を穏便に排除し、安らかな昼食を取りたい。
故に、オフィスで昼食を取る際には生贄を用意するのが半ば慣習になっているのだ。
「あ! ガイアさんだ!」
「ん? あぁ、テレサか」
と、そんな道中で偶然にもテレサと遭遇。
「おはようございます! ん? あれ? もうこんにちわですか?」
「まぁそりゃあ……うーん、難しい時間帯だな」
一二時を超えてれば容赦なくお昼でこんにちはだろうが、現在時刻は一一時半前。
昼と断言するにはやや早い気がしないでも無いし、おはようと言うほど朝でも無い。
「では両方とも言っときましょう! こんにちわッ!」
「おう。お前は本当にいつでも無駄に元気ハツラツだな…ってか、こんな所で何してんだ?」
城からオフィスに向かう途中…ならこの商店街は通らないはずだが。
「ちょっとそこの玩具屋さんに用がありまして」
テレサがガイアに見せつける様に掲げた右手には、玩具屋の紙袋が引っかかっていた。
「今朝、オフィスのポストにこんなチラシが入っていたので、何かよくわからないけどこれは買わねばと」
「?」
テレサがそう言ってポケットから取り出したのは、小さく折りたたまれたチラシ。
それを受け取り、広げてみると、大手の玩具屋のチラシだった。
クリスマスを意識したか、赤地で作られている。
玩具屋のチラシだけあって、紙面には様々な玩具やゲームの新商品、期間限定の値引きの品などが掲載されている。
そのど真ん中にはデカデカと『全ての精霊獣メダルに対応した「精霊獣時計U・プロトラインモデル」登場!』との文面が打たれ、件の時計の写真も載っていた。
「召喚ソング全種一新! メダルによっては召喚の際に精霊獣さんが愉快に熱唱しながら出てきてくれる新機能! ついに普通の時計機能追加! ……らしいです。よくわかりませんが、何かすごそうなので買っちゃいました!」
「って言うか、玩具屋で普通に売ってるのか……」
もう何よりもそこにビックリである。
本当に精霊獣たちはどこへ向かおうとしているんだ。
「初代、モロ式、そしてこのプルルンランランモデル! これでどんな精霊獣さんでも召喚できますよ!」
「無闇に呼びつけてやるなよ」
コックリさんはともかく、ゴッフォは来たるクリスマスに向けてサンディと特訓中のはずだ。
「わかってますって。悪魔さんたちとの召喚契約と一緒で、用が無い時は呼び出さない。サモナーマナーです!」
「なら良し。んじゃ、オフィスに向かうか」
「あ、ちょっと待ってください。寄り道をしましょう!」
「寄り道?」
「これです! 時計を買ったらもらっちゃいました!」
「お、福引券か」
商店街の福引。
まぁ、この時期の風物詩と言っても良いだろう。
「一等はレジェンド精霊獣メダルだって玩具屋さんの御大将が言ってました!」
「福引の景品ってお前……」
友好の証じゃなかったのか精霊獣メダル。
大丈夫か精霊獣。何か壮絶に迷走してないか。
「私は今まさに最新の精霊獣時計を購入したばかり…そこにこの福引券! ガイアさん、こう言うのなんて言うか知ってますか!? 『嗚咽辛い無理』です!」
「おあつらえ向きな。あと、細かいこと言うと若干ニュアンス違くないか?」
このケースの場合、「テレサが強く望んでいた展開になった」と言うより「テレサに都合の良い展開が不意に訪れた」なので、「おあつらえ向き」と言うより「渡りに船」って感じだろう。
「とにかくですよ! なんとしても手に入れてみせます! レジェンド精霊獣メダル! ……ところで、レジェンドな精霊獣ってどんなのなんですかね?」
「さあな……もう精霊獣については色々わかんねぇわ俺」
あ、そうだ、文明の利器があったな。と言う訳でガイアはスマホで「レジェンド精霊獣」とやらを検索してみることに。
検索欄に打ち込んで……
「………………」
「? ガイアさん? どうかしたんですか? 何かすごく切そうな顔して」
「……いや、気にするな。ちゃちゃっと福引行こうぜ」
「ガッテンです! さぁ、一等を根こそぎ引いちゃいますよ!」
……先程、レジェンド精霊獣と打ち込んでみた結果。
第一検索候補が「レジェンド精霊獣 メダル 最安価格」だった。
…………検索も詮索もしない方が良い気がしたので、ガイアはそっとブラウザを終了した。
「ガイアさん! 見てください! すっごく可愛くないですか、このミニサボテン!」
「ああ、そうだな。お前はどう転んでも楽しそうで、本当に何よりだよ」
結局、福引券は五等の鑑賞用ミニサボテンへと姿を変えた。
「一等のトンガリユニコーンさんのメダルも欲しかったですけど……これはこれで充分な収穫です!」
ミニサボテンで代用されたと知ったら、あのユニコーンも切ないだろうな。とガイアは会ったことも無いレジェンドへ同情を向ける。
「ちんまりしてて可愛いですし、何よりサボテンと言うことは、世話は楽! お花は綺麗! これはグッドでは無く、ファンタスティックですよ!」
「はぁ? 何言ってんだお前」
「ほえ?」
「ミニサボテンって、確かすげぇ世話がめんどい奴だぞ? テレビでやってた」
「えぇっ!? サボテンなのに!? 覇王樹なのに!? 砂漠でも元気でトゲトゲなのに!?」
「砂漠のアレと市販で売ってる様なコレは結構違うらしいからな」
同じ犬と言っても、ティーカップの中でプルプル震えてる犬もいれば、太縄巻いて武者震いしてる犬もいる。何事もピンキリだ。
サボテン=しぶとい、マジしぶとい。とは限らない訳である。
午後の情報番組で「意外と難しいぞえ!? ミニサボテンの飼育!」なんて特集組まれるくらいだ。
「ぬぬぬ……つまり、頑張れば良いのですね!? 始まりますよガイアさん、私のサボ育奮闘記! いえ、ボテさんと共に歩むメモリアル!」
「……………………」
やっぱり、こいつはどう転んでも楽しそうだな。とガイアはしみじみ思う。
そして一週間後。
「が、ガイアさん! ボテさんが! ボテさんが反抗期です! グレて脱色し始めましたよ!?」
「いや、枯れかけてんだよ阿呆」
結局、ボテさんの世話はガイアの管轄になったと言う。
本日は一限のみ講義を受講したガイアは、昼食を商店街内のコンビニで購入。唐揚げ&ソーセージ弁当とスナック菓子が入ったレジ袋をぶら下げ、オフィスを目指していた。
ちなみに、スナック菓子はガイアが食すために購入した訳では無い。
子供組から弁当のオカズを守るための生贄くんだ。
テレサは(弁当の内容にも寄るが)直球で欲しがって鬱陶しい。特に唐揚げとかヤバい。
アシリアは基本的に良い子なので特に口には出さないが、無意識の視線攻撃が凄まじい。特に肉類の時はヤバい。
そして奴らは育ち盛り。自分たちはきっちり昼食を取った後だろうと容赦ない。
ガイアとしては、そう言った妨害を穏便に排除し、安らかな昼食を取りたい。
故に、オフィスで昼食を取る際には生贄を用意するのが半ば慣習になっているのだ。
「あ! ガイアさんだ!」
「ん? あぁ、テレサか」
と、そんな道中で偶然にもテレサと遭遇。
「おはようございます! ん? あれ? もうこんにちわですか?」
「まぁそりゃあ……うーん、難しい時間帯だな」
一二時を超えてれば容赦なくお昼でこんにちはだろうが、現在時刻は一一時半前。
昼と断言するにはやや早い気がしないでも無いし、おはようと言うほど朝でも無い。
「では両方とも言っときましょう! こんにちわッ!」
「おう。お前は本当にいつでも無駄に元気ハツラツだな…ってか、こんな所で何してんだ?」
城からオフィスに向かう途中…ならこの商店街は通らないはずだが。
「ちょっとそこの玩具屋さんに用がありまして」
テレサがガイアに見せつける様に掲げた右手には、玩具屋の紙袋が引っかかっていた。
「今朝、オフィスのポストにこんなチラシが入っていたので、何かよくわからないけどこれは買わねばと」
「?」
テレサがそう言ってポケットから取り出したのは、小さく折りたたまれたチラシ。
それを受け取り、広げてみると、大手の玩具屋のチラシだった。
クリスマスを意識したか、赤地で作られている。
玩具屋のチラシだけあって、紙面には様々な玩具やゲームの新商品、期間限定の値引きの品などが掲載されている。
そのど真ん中にはデカデカと『全ての精霊獣メダルに対応した「精霊獣時計U・プロトラインモデル」登場!』との文面が打たれ、件の時計の写真も載っていた。
「召喚ソング全種一新! メダルによっては召喚の際に精霊獣さんが愉快に熱唱しながら出てきてくれる新機能! ついに普通の時計機能追加! ……らしいです。よくわかりませんが、何かすごそうなので買っちゃいました!」
「って言うか、玩具屋で普通に売ってるのか……」
もう何よりもそこにビックリである。
本当に精霊獣たちはどこへ向かおうとしているんだ。
「初代、モロ式、そしてこのプルルンランランモデル! これでどんな精霊獣さんでも召喚できますよ!」
「無闇に呼びつけてやるなよ」
コックリさんはともかく、ゴッフォは来たるクリスマスに向けてサンディと特訓中のはずだ。
「わかってますって。悪魔さんたちとの召喚契約と一緒で、用が無い時は呼び出さない。サモナーマナーです!」
「なら良し。んじゃ、オフィスに向かうか」
「あ、ちょっと待ってください。寄り道をしましょう!」
「寄り道?」
「これです! 時計を買ったらもらっちゃいました!」
「お、福引券か」
商店街の福引。
まぁ、この時期の風物詩と言っても良いだろう。
「一等はレジェンド精霊獣メダルだって玩具屋さんの御大将が言ってました!」
「福引の景品ってお前……」
友好の証じゃなかったのか精霊獣メダル。
大丈夫か精霊獣。何か壮絶に迷走してないか。
「私は今まさに最新の精霊獣時計を購入したばかり…そこにこの福引券! ガイアさん、こう言うのなんて言うか知ってますか!? 『嗚咽辛い無理』です!」
「おあつらえ向きな。あと、細かいこと言うと若干ニュアンス違くないか?」
このケースの場合、「テレサが強く望んでいた展開になった」と言うより「テレサに都合の良い展開が不意に訪れた」なので、「おあつらえ向き」と言うより「渡りに船」って感じだろう。
「とにかくですよ! なんとしても手に入れてみせます! レジェンド精霊獣メダル! ……ところで、レジェンドな精霊獣ってどんなのなんですかね?」
「さあな……もう精霊獣については色々わかんねぇわ俺」
あ、そうだ、文明の利器があったな。と言う訳でガイアはスマホで「レジェンド精霊獣」とやらを検索してみることに。
検索欄に打ち込んで……
「………………」
「? ガイアさん? どうかしたんですか? 何かすごく切そうな顔して」
「……いや、気にするな。ちゃちゃっと福引行こうぜ」
「ガッテンです! さぁ、一等を根こそぎ引いちゃいますよ!」
……先程、レジェンド精霊獣と打ち込んでみた結果。
第一検索候補が「レジェンド精霊獣 メダル 最安価格」だった。
…………検索も詮索もしない方が良い気がしたので、ガイアはそっとブラウザを終了した。
「ガイアさん! 見てください! すっごく可愛くないですか、このミニサボテン!」
「ああ、そうだな。お前はどう転んでも楽しそうで、本当に何よりだよ」
結局、福引券は五等の鑑賞用ミニサボテンへと姿を変えた。
「一等のトンガリユニコーンさんのメダルも欲しかったですけど……これはこれで充分な収穫です!」
ミニサボテンで代用されたと知ったら、あのユニコーンも切ないだろうな。とガイアは会ったことも無いレジェンドへ同情を向ける。
「ちんまりしてて可愛いですし、何よりサボテンと言うことは、世話は楽! お花は綺麗! これはグッドでは無く、ファンタスティックですよ!」
「はぁ? 何言ってんだお前」
「ほえ?」
「ミニサボテンって、確かすげぇ世話がめんどい奴だぞ? テレビでやってた」
「えぇっ!? サボテンなのに!? 覇王樹なのに!? 砂漠でも元気でトゲトゲなのに!?」
「砂漠のアレと市販で売ってる様なコレは結構違うらしいからな」
同じ犬と言っても、ティーカップの中でプルプル震えてる犬もいれば、太縄巻いて武者震いしてる犬もいる。何事もピンキリだ。
サボテン=しぶとい、マジしぶとい。とは限らない訳である。
午後の情報番組で「意外と難しいぞえ!? ミニサボテンの飼育!」なんて特集組まれるくらいだ。
「ぬぬぬ……つまり、頑張れば良いのですね!? 始まりますよガイアさん、私のサボ育奮闘記! いえ、ボテさんと共に歩むメモリアル!」
「……………………」
やっぱり、こいつはどう転んでも楽しそうだな。とガイアはしみじみ思う。
そして一週間後。
「が、ガイアさん! ボテさんが! ボテさんが反抗期です! グレて脱色し始めましたよ!?」
「いや、枯れかけてんだよ阿呆」
結局、ボテさんの世話はガイアの管轄になったと言う。
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