鮮獄嵐凄~思春期武士はロマンチックな恋がしたい~
15,恋を競い愛を奪い合うのは王道
――どうして、こうなった?
「当代【彩灯】本家長男、彩灯力道三の第二子にして長女、彩灯鳳蝶」
いや、本当に、どうして?
ねぇ? 何でなの? ねぇ?
「ッ……当代【雄大】本家長男、雄大信秀の第一子にして長男、雄大信市……!」
どうして、僕はまた――
「当代【忌河】本家長男、忌河宇治金の第二子にして長男、忌河美求」
戦極をする羽目になっているのォォォーーーー!?
◆
それは、余りにも突拍子の無い話だった。
「やぁ、雄大信市くん。昨日は本当にごめんね」
昼休みの教室。突然の遭遇に、僕の箸の間から鳳蝶さん特性のハンバーグが滑り落ち、弁当箱へと帰還した。
……テレビで、見た顔だ。
そして、昨日も見た顔だ。
「おい信市、誰だこいつは。制服からみて他校生の様だが」
芸能の話題に疎い光良が、パック入りの野菜汁を啜りながら言うと、
「忌河美求さんですね。棲朧賀大学附属高校の生徒で芸能界で活躍されているそうです」
鳳蝶さんが特に何も気にしていない様子で答えた。
「そうッスよ!! あの強豪、棲朧賀大附属の戦極道部でレギュラー張ってるすごい選手ッス!! 自分は芸能の話題疎いんでよく知らないッスけど、人気のタレントさんでもあるらしいッスよ!!」
そして僕らにしれっと馴染んで昼食中の信九朗くん。
当人曰く「先輩を今度こそ戦極道部見学へと口説き誘うために来たッス!!」との事だけど……今の今まで、普通に世間話しながら皆でご飯食べてた。
「ふむ、成程な。言われてみれば名前は何処ぞで聞き覚えがある。しかし申し訳ないな。若いタレントはどうにも皆同じ様な顔に見えてしまうクチなんだ。ちなみに俺は朱日光良だ。よろしく」
「うん、よろしく。それと、別に大丈夫だよ、朱日くん。よく言われるから……ただ、若い人に言われたのは初めてだけど」
……え、って言うか待って。
何で鳳蝶さんも光良も信九朗くんも普通に淡々もりもりと昼食を食べ進めてるの?
何で誰一人として忌河くんがここにいる事に疑問を呈さないの?
「あ、あの、忌河くん?」
「同級生なんだ、美求で良いよ。さぁ何だい信市くん。何でも聞いてくれたまえ」
「は、はぁ……ょ、美求くん、な、何故にここにいるの……?」
「今日は午後から授業を入れてないし、仕事も入ってないんだ。なので、昨日の件の謝罪と……ちょっとした【用事】でね。……あ、ちゃんと警備室で入校許可の申請は済ませてあるよ」
そう言って、美求くんは自らの首からストラップで下がる名札を摘まみ上げる。
札には太いフォントで【外部者入校許可証】の文字が。
「まぁ、『くれぐれも授業の邪魔はしない様に。昼休み終了までに退了をお願いします』と何度も釘を刺されたから、長居をするつもりは無いけどね」
然様で……うぅ、鳳蝶さん事件の時並に皆の視線が痛い……特に女子達からの「あとで詳しく尋問しなきゃ」と言う意思がひしひしと伝わる視線が。
本当に人気のタレントさんなんだね美求くん。いや、疑っていた訳ではないけども。
「人気のタレントが貴重な休日にわざわざ謝罪に来るとは、律儀なものだな。好感が持てる。今後名や顔を見かけた時には少なからず応援しよう」
「わぁ、ありがとう、朱日くん。やはり武士たるもの、誠心誠意に努めるものだね」
「ああ、それに、信市と共通の友人として知り合っておけば、事ある事にお前と信市を並べて写真に収めて精神攻撃に使えそうだ」
「友達との思い出を悪趣味に使うのはやめようね!?」
「……ふむ……」
「鳳蝶さんは光良の今の発言の何に感心してるのかな!?」
「先輩、身長の事がコンプレックスなんスか!? 大丈夫ッス、戦極道はあんまり身長は関係無いッスよ!! むしろ小さくてすばしっこい方が有利な戦法もあるッス!! どうッスか!?」
「どうもしないよ!?」
何なのこの三人コンボ!?
身長問題に関して誰か僕の親身になってくれる人はいないの!?
「コンプレックスだなんてとんでもない。子供と言うのは可愛らしいのに」
「美求くんまで!?」
「ところで先程、『謝罪以外にもちょっとした用事がある』と言う旨の発言をしていたが、問題無ければそれはどういったものか聞いても良いか?」
「ん? ああ、うん。そっちは鳳蝶ちゃんに関係する事だ」
「私に、ですか?」
はて、と小首を傾げる鳳蝶さん。
あ、今のちょっと可愛いかも。
「うん、ボクと戦極をして欲しいんだ」
「ぶふぅッ!?」
――あまりのその内容に、鳳蝶さん以外の、僕を含めた三人が、一斉に口の中に含んでいたものを吹き出した。
……ちょ、は? 今、美求くんはなんて?
「………………は?」
流石の鳳蝶さんも、目を丸くしてきょとんとしている。
「昨日のダーリン発言からして、鳳蝶ちゃんと信市くんは交際関係にあるんだよね?」
「はい。それはもうガッツリと。将来すら誓い合う勢いですが」
「信市くんは見るからに、子供らしく誠実そうだ。既に恋人がいれば、他に目を向ける可能性はほぼ皆無だろう」
「…………話が、見えませんが」
「ボクはチャンスが欲しいんだ。後から出てきて図々しいのは百も承知だがね……ボクも、信市くんと真剣な交際を考えている」
今度は、聞き耳を立てていたクラス中の女子が一斉に吹き出した。中には椅子ごとひっくり返ってしまう人も。
かく言う僕も、椅子の足が浮きかけた。
「……衝撃怒涛の展開だな」
割と冷静そうな感じで、光良が口元を拭いながら一言。
「理由をお聞かせ願いますか」
「ボクの見た限り、信市くんは子供が秘める【美しさ】を留めたまま高校二年生に到達している……小さいは正義だ。可愛いは正義だ。正義とは美しいものだ。成長期も佳境の今、これ以上の成長も無いだろう」
「しれっと絶望を叩きつけるのヤメテ!? え、って言うか美求くん!? 何を言っているの!? 僕も君も男だよ!?」
「いやいや先輩、恋に年齢も国籍も性別も関係無いッスよ!!」
「信九朗くん、だったかな。昨日会ったよね。信九朗くんの言う通りだよ、信市くん!! まぁ、確かに多数派ではないだろうけどね!! ちなみに、僕は両刀だ!! 性別よりも個人の特性を優先しているに過ぎない!!」
い、言っている事は、ごもっともっぽく聞こえる……?
「信市くんが仮に女子だったとしてもボクのこの気持ちは変わらないと言う事だ。だがしかし、信市くんが同性愛を理解できない可能性を全く考慮していない訳ではないよ。でも、これから同性愛を理解できる様になる可能性も全く考慮していない訳ではない」
「成程、理解しました。貴方がこれからダーリンに恋愛的アプローチをかけるためには、私とダーリンの関係性は目の上のたんこぶである、と」
「ああ、その通り。だから『君は一旦、信市くんとの交際を解消し、フラットな状態からボクと信市くんの伴侶の座を競う好敵手となって欲しい』……それがボクが賭ける望みだ」
「そうですか……となると、私から賭ける望みは『ダーリンの事は綺麗サッパリ諦めろ。万が一にも変な気を起こそうとする事は許さない』と言う所ですか」
「そうなるだろうね」
「えぇ!? ちょッ、本気でそんな事で戦極をする気なの二人共!?」
「そんな事? ダーリン、それは少しばかり認識が甘いですよ」
「え?」
「忌河さんの目は、本気です。私にはわかります。これは軽率な思い付きではない。生命の奪い合いを演じても構わないと言う程の気概を感じます」
「ああ、こんな出会いはもう二度とあるとは思えない。ボクはこのチャンスを諦めたくない」
「ダーリンも、恋をしていたのであればわかるはずでしょう。彼の気持ちが。……私は恋愛経験に乏しいため、深くは理解できませんが……それでも、一人の武士が生命を賭けるとみせた気概、その重みは理解できます。それを誰がどう踏みにじれましょうか」
ちょ……え……えぇと……
「なんにせよ、私が勝てば問題はありません。受けましょう、その戦極」
「で、でもちょっと待って鳳蝶さん!! 鳳蝶さんの戦極武装は僕が壊しちゃって……」
「もう既に修理は完了していますが」
「匠の技は早いッ……!!」
って、もう、ちょっと待って、本当に待って。
「美求くん!? ごめん、同性愛を否定する気とかは無いんだけどね!? 僕は色々と紆余曲折を経てようやく念願叶って鳳蝶さんとお付き合いできる事になった訳でね!? それをひっくり返されてはたまらないと言いますか……」
「……そうか、なら、こうしてはどうだろう。――君も、戦極に参戦すれば良い」
「……は?」
「三人で行う一対一対一形式の三つ巴戦極。勝った一人が負けた二人に望みを通す。過去には最大で一四人の参戦者で執り行われた【大局戦極】の前例がある。問題は無い。それに、ボクの望みとしてもその形式が丁度良い」
「待ってください。それは容認し難い。ダーリンは戦うべきではない」
「……? それはどう言う意味だい?」
「そのままの意味です。ダーリンの性質は、闘争行為に向いていない。よって、私はハニーとしてダーリンをあらゆる闘争から遠ざける義務がある。貴方の提案は容認できません」
「………………ふぅん」
……?
美求くんが目を細めて、こちらを見ている。
何かもの思わしげと言うか……さっきまでと違って……ちょっと、微妙に剣呑としていると言うか……
「……闘争に向いていない……と言う割には、腰に帯びているものは随分と立派に見えるよ」
「武士ですからね」
「では、戦極からは逃れるべきではないね。武士なんだから」
「……………………」
ひッ……鳳蝶さんの元々キツい目つきが更に鋭く……!?
「ぁ、鳳蝶さん? ちょっと落ち着いて。今にもそのお箸で美求くんの眼球を刺し抉りそうな顔になってるから……!!」
「……流石はダーリン、変化に乏しいともっぱらの評判である私の表情ひとつでそこまで読み切れますか」
殺気と言うか、物騒な気配はわかりやすいからね。鳳蝶さん。
「ボクは鳳蝶ちゃんに対しては先に言った願いを、信市くんに対しては『鳳蝶ちゃんとの交際を解消し、フラットな立場からボクと鳳蝶ちゃんのアプローチを精査する事』、これらの遂行を望むよ」
「……上等です、私は少々変更を。私は貴方に『二度とダーリンの傍に近寄らない事』、ダーリンに対しては『金輪際、私の許諾なく一切の闘争行為に臨まない事』を要求します」
「……ほう……どうやら、信市くんを戦極に巻き込んだのが相当気に入らない様だね」
「当然。貴方はダーリンの何も理解できていない。害性であると判断しました」
「では、ボクも少し変更を加えるよ。戦極に賭けるものは平等でなくてはいけないからね。彩灯鳳蝶、『君は敗北したら、二度と信市くんに近寄るな』。信市くんにもほぼ同様、『二度と彩灯鳳蝶に近寄らない事』」
「ちょぉぉぉっと待って二人共!? 何か僕を置いてけぼりでトンでもないヒートアップをしてません!?」
本格的にハンバーグ食ってる場合じゃあなくなってきた。
って言うか僕一応当事者だよね!?
完全蚊帳の外で話を進められてるけど僕は当事者だよね!?
さっきからちょいちょい僕の名前出てるから間違い無いよね!?
僕もそうだけど余りの展開に光良や信九朗くんもポカーンとしてるよ!?
光良が茶化すタイミングを見失ったまま聞き一方になっているって相当だよ!?
「大丈夫です。ダーリンは何時も通り、私に流されていてください」
「何時も通りって言うのはやめて!! 確かにこの数日間だけでも鳳蝶さんの決定に逆らえた試しは無いけども!!」
「で、信市くんはボクらに何を望むの? ほらほら早く早く教えて」
「美求くん!? なんでそんなカラオケで何歌うか聞く様なノリなの!?」
これそんな生易しい話じゃあないよね!?
戦極って下手したら死人が出る奴だって事を忘れてない!?
「大変不本意ではありますが、もはや火蓋は切られたも同然。ダーリンも賭ける願いを、どうぞ。……大丈夫です。ダーリンは何も心配要らない。私がすべて終わらせますので」
「そう言う問題では無いんだけども!?」
「言ってくれるね……随分と易く見られている感じだ。ボク、結構そう言うの嫌いだよ……」
「……………………」
「……………………」
……だ、駄目だ……二人とももう「何なら今この場で斬り結んだろか」レベルの一触即発な雰囲気だ……!
「……信市、これはもうどう足掻いても無駄だと思うぞ……鳳蝶嬢もだが、美求の方も熱が入ると人の話を全く聞かないタイプ無いとみた」
ようやく、光良が口を開いたかと思えば諦観の後押し。
まぁ、そうだよね。うん、僕もそう思うから涙が出そうなんだ。
いや、と言うか本当にもうそれしかないの!?
僕イヤなんですけど!? ねぇ!?
「……………………」
「……………………」
ああッ!? ちょっと目を放した隙に鳳蝶さんも美求くんもお互いの胸ぐら掴んで額擦り付け合って睨み合っている!?
殴り合いまで秒読み入っている人達の状態だよそれ!? あ、まさしくそう言う状態なんだね!?
ひ、ひとまず、ひとまずこの場を治める事を最優先にしなくては……!!
「ふ、二人共!! はいこっち注目!! お願いだからその雰囲気やめて!? 発表するからこっち見て!?」
「……耳はそちらに向けていますので、どうぞ。貴方の言葉を決して聞き逃したりはしません」
「……うん、遠慮する事は無いよ。君の発言を聞き逃すなんて有り得ない」
「じゃあまず先に聞いて欲しいんだけど、二人共、柄から指を放そうか!?」
「……………………」
「……………………」
「聞いてくれないじゃんかァァァーーーー!!」
◆
そして放課後、終刕高校から少し離れた場所にある運動公園のグラウンドにて、冒頭に戻る。
美求くんが棲朧賀大附属の職員さんに連絡を取り、用意してもらった【戦場】である。
……棲朧賀大附属の【優等生】は校内・校外問わず色んな活動を補助されるとは聞くけど、凄いな。こうもあっさりグラウンド一面を貸し切れるなんて……
ギャラリーは当然ながら鳳蝶さんとの戦極の時の比じゃあない。
光良や信九朗くん、話を聞いていたクラスメイトの大半は勿論、どこから情報が拡散されたのか、他校の制服もちらほら。
みんな邪魔にならない・巻き添えを食わない様にかなり遠巻きに人垣を形成しているはずだのに、ここまでザワめきが聞こえてくる。
「さぁ、三者名乗り上げも済んだ所で……尋常に、勝負と行こうか」
美求くんが、にっこりと笑う。
でも、こちらを見据える瞳の色はマジだ。
「ッ……!!」
忌河美求――戦極道界に置いて、高校生の枠組みを外して見ても相当の実力者。
眉目秀麗な顔立ちや服の上からだと優形に見える体格からはとてもそんな武勇は想像できないが、そこには確かに凄まじい量の筋肉と経験が詰め込まれているのだろう。
鳳蝶さんは、言うまでもなく、強い。
戦極武装の特性が厄介なのは勿論の事、身体能力だって決して低くは無い。
前回の戦極は、僕が火事場の馬鹿力らしきもので速攻を決めれたから勝てたに過ぎないと考えた方が無難。
でも、負ける訳にはいかない……!
美求くんに勝たせる訳にはいかないのは当然、鳳蝶さんに勝たせても、後味が悪い。
僕は確かに美求くんの求愛に応える事はできないけれど……それでも、自分に好意を抱いてくれている人が望まずに自分から離れていくだなんて、寂しいと思う。
僕の願いは、二人に共通してひとつ。
――二度とこれと似た様な理由・目的で争わない事。
美求くんの実力は未知数だけど……勝算は、ある。
僕は鳳蝶さんに勝たせる訳にはいかない。しかし、僕の願いならば鳳蝶さんにデメリットは無いはず。
鳳蝶さんの狙いは美求くんへ集中するだろう。実質連携して、美求くんを叩く形になる。
美求くんがどれだけの剣豪でも、二対一なら、きっと刀をへし折る隙くらいはできるはず。武器を奪い、無力化する事ができる。
……問題はその後の鳳蝶さんとの一騎討ちだけど……可能であれば和議での決着。
無理なら……もう、アレだよね、頑張るしかない。
よし、やや不安要素はあるけど、今はこの路線が最良とみた。
全力でその方向に乗せ……
「戦極武装、起動。刀剣型重級戦極武装【爆裂帰蝶】、行斬」
……ん? 何か、キラキラした見覚えのある蝶々がこちらに飛んできている気がす……
「どぅおおおおおおおっしょいぃあ!?」
ほああぁぁぁぁぁ!?
なんで!? 爆発なんで!?
足元どかーんて!! 足元どかーんて!?
今のってあれだよね!?
鳳蝶さんの戦極武装の刃が変貌した蝶々爆弾だよね!?
真っ直ぐ僕の方に飛んできたんだけど!?
躱さなかったら今の足元爆破で空高く吹き飛ばされてたんだけど!?
「チッ……ダーリン、躱さないでください。峰打ちにしますので」
「峰ェ!? 爆弾に峰ェ!? 爆弾の峰って何処ォ!?」
って言うか待った!!
「何で鳳蝶さん開始早々に僕を狙ってるの!?」
「それは、決まっているでしょう。これは戦極、戦場内にて安全など存在しない。故にダーリンには『極力無傷に近い状態で即刻退場していただく』……そして何より、貴方の願いを聞き入れる訳には、いかない」
「えッ」
「あの男は遠ざけるべきだ。現状維持など、冗談ではありません」
ちょッ……あ、待って、そう言えば昼休み、鳳蝶さんは確か……
――……大丈夫です。ダーリンは何も心配要らない。私がすべて終わらせますので――
ああ、うん成程。すべて自分が片付ける、そう言う事か。
僕も含めて、鳳蝶さん御自らで倒すと。
成程。本当に発想が振り切っているね鳳蝶さん。
その思い切りの良さ、憧れるけど……洒落になってない。
「ふむ……ボクも、概ね似た様な意見かな」
――そう言って、美求くんがゆっくりと、刀の柄に指をかけ、抜刀した。
銅色に輝く刃、刃紋を見るだけで、相当な代物だとわかる。
「まさか君があんな願いを賭けるなんて、思わなかったよ……あのね、信市くん。ボク達は、白黒を付けたいんだよ。恋敵としてさ。その果てになら勝つも負けるも是非も無し。……だから間違っても、この勝負を無効・そして二度と同種の争いを禁止にされる訳には、いかない。――と言う訳で、多数で行う戦極の常道、最初に退場するのは【最も受け入れ難い願いを賭ける者】……君だ、信市くん」
……しょ、そん、そんな……ば、馬鹿な……!?
二対一になると思っていたのに……
「戦極武装、起動。刀剣型超級戦極武装【大群刀・犇鬼】、行斬」
「爆裂帰蝶、再装填……完了。展開開始」
一対二だとォォォーーーー!?
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