エレベーターで異世界転移

アガルニ

6話 出会い

俺は次の攻撃に備えるため構える。するとまたナニカが高速で俺の前に来た。俺はとっさに横に飛ぶために地面を思いっきり蹴ると、地面がえぐれ横に吹っ飛んだ。
「な、なんだこの力は。待てよ…そうかリュウを装備したお陰で身体能力が上がっているのか。」
『そうみたい!僕は空中を蹴って空を飛ぶこともできたよ!』
「それは本当か?!それなら俺にもできるかも…」
俺は思いっきり踏み切り両足で跳ぶ。上への推進力がなくなったところで、何もないはずの空中を蹴ると感触があり、また上へ上がる。
「うお、できたぞ!これはすごい!」
『えっへん!僕の力はすごいだろ!』
「ああ!お前が従魔になってくれて本当によかった!」
達也とやり合っていたナニカは飛んで・・・いる俺を見ると思いっきり飛び上がって来た。
俺もナニカに向かい跳び、殴りかかってくるナニカの拳を避け、ナニカの顔面をフルスイングで殴る。ナニカはものすごい速度で地面と衝突した。
俺はその隙に達也のもとに行く。
「おい!達也大丈夫か?!」
「うん。なんとかね。ただもう1人でヤツとやりあうのは厳しいよ」
「すまない。お前1人にあいつと戦わせて。」
「あとは隆介がどうにかしてくれるんでしょ?それまでの時間稼ぎできただけで十分だよ…」
そういうと達也は気を失った。俺は達也をナニカが見えないところまで運び、またナニカと対峙する。
「おい、かかってこいよ。このまっくろくろすけ」

ナニカが殴りかかってくる。それをかわし腹に打ち込むが手でガードされる。顔面を殴られるがその反動を利用し奴の顔面に肘打ちを食らわす。
初めは拮抗していた戦いも、隆介の体力の低下とともに、ナニカが優勢になっていく。
「くっ、このままだとジリ貧だ。どうにかしないと」
一瞬戦いから気を抜いたその時、隆介の鳩尾に拳がクリーンヒットする。
「ゴハッ!オエッ…はぁ、はぁ」
朝食べたものが全て出てくる。おそらく色々骨もやられているだろう。
俺が苦しんでいる間に、ナニカの禍々しいオーラが増加する。
「は?これ以上になるのかよ。」
乾いた笑いを浮かべる。
ナニカの体はどんどんと膨張していき、いつしかドラゴンになっていた。
「ははっ、これが本来の姿ってか。こんなの敵わねーよ。」
通常のドラゴンよりも硬いであろう鱗で全身を覆われていた。
「くそっ、やれるとこまでやってやる。」
俺はそういうとまた立ち上がり、ドラゴンの顔めがけて跳ぶ。するとドラゴンがこっちを向き、特大の炎をはいた。とっさに回避するも足に当たり、体勢を崩した。
立て直そうとしたその時、左からドラゴンの尻尾が飛んでくる。回避できずにモロに食らう。木を何本もなぎ倒しながら俺は吹き飛ぶ。
やっと止まったところでリュウも耐えきれず、装備アームドが強制的に解除されてしまった。
「万事休すか。すまんなリュウ、こんな弱い主人で。」
『ううん、あんなのSS・・ランク・・・のパーティ・・・・・とかじゃないと倒せるはずがないよ。』
ドラゴンの口が開く。口に炎が溜まっていくが、回避する方法を持っていない俺たちは、死をあまんじて受け入れた。
口から炎がはかれた、その時どこかから【障壁】という言葉が聞こえ、目の前に金色の壁が現れ、炎が防がれた。
「私たちのこと、呼んだ?」
まず現れたのは見るからに聖女と呼ばれそうな綺麗な人だった。
「今ヒールをかけてあげるからね。」
そういうと俺とリュウにヒールをかけた。
「助けていただきありがとうございます。あの、あなたたちは一体?」
「私たち?私たちはこの国でもトップクラスのパーティよ。自分で言うのもあれだけどね」
そう言って笑う。
「今ドラゴンと接近戦してる2人のうち剣を使っているのがライデン、拳で戦っているのがアースよ。この2人はSSSランクなの。そして後ろでバフをかけ続けてるちっちゃい男がウィル、相手にデバフをかけ続けてる女の子がミナ、そして私が回復役のエミリア。私たち3人はSSランクよ!」
「俺の名前はリュウスケ、この白い狼はリュウです。」
「キングウルフね!すごい子が仲間だこと。」
エミリアさんは笑う。
「っ!それよりこんなに悠長な話ししてる場合じゃありませんよ!あのドラゴンは…」
俺の声を遮るように、ドラゴンの倒れる音がする。
「あのドラゴンは、なに?」
とエミリアさんが微笑む。
それで、このパーティがいかに化け物かわかった。
「あっ、そうだ!達也がっ!」
「達也ってこの子のこと?」
エミリアさんが指した方向に傷が癒えた状態で寝ていた。
「彼は君より軽傷だったわよ」
達也の無事がわかると一気に力が抜ける。
そこに他のパーティメンバーが集まってくる。
「君たちかい?このドラゴンとやり合っていたのは」
「あ、はいそうです。助けていただきありがとうございます。」
ライデンさんに聞かれ俺は答える。
「ところで君たち、見ない顔だけど新人かな?」
「はい。今日冒険者登録を済ませたところです」
「は!?お前ら初日でこれだけやれるのかよ!こりゃ先が楽しみだな!」
アースさんが会話に入ってくる。
ちなみにライデンさんは完璧な勇者って感じの金髪のイケメンで、アースさんはブラウンのオールバック、筋骨隆々な頼れるおじさんって感じの人だ。
「ちょっと、アースうるさいわよ。」
ライデンの大声に嫌そうな顔をしているのがミナさん。黒髪のショートヘアで可愛らしくあるもののどこか大人の妖艶さも持っている魅力的な人だ。
「少しぐらいいいじゃねぇか!なあウィル!」
「楽しければなんでもいいよ!」
アースの問いかけに元気に答える小さい人がウィルさん。チビとは言ってはいけないらしい。
「まあこんな物騒なところで話しても気を張るだけだから、ギルドに戻ろうか。」
ライデンさんの提案を受け入れ歩いてギルドに戻った。


「二人とも大丈夫ですか?!」
ギルドに入ったその時メイリィさんにとても心配された。
「は、はい。なんとか生きてます!」
「結構しんどかったです。」
「二人が生きてて本当に良かったです!最初のクエストから無茶しないでください!」
「す、すみません。」
「反省はしてます。」
俺たちはメイリィさんに怒られた。でも知り合いがいないこの土地で心配してくれる人がいるだけで嬉しいな。
「でもそれよりメイリィさん、なんで俺たちがやばかったの知ってるんだ?」
「それは僕たちが彼女に説明したからだよ。」
ライデンさんが答える。
つまりライデンさんはたまたまこの街に来ていて、禍々しいオーラがあったのでメイリィさんに伝えて、あそこまですっ飛んできたってことか。ライデンさん万歳。
そんなこと考えてると
「ん?」とライデンさんが反応する。
「まあ、それよりあの怪物相手にあそこまで善戦するのは本当にすごいですよ。」
「なあなあ、隆介。結局あの黒いのってなんだったんだ?」
あぁ、そうかこいつ気を失ってて知らないのか。
「あの黒いのはドラゴンだったよ。ドラゴンが擬人化使ってたみたいだ。」
「うへぇ、そりゃ勝てるわけねーな!」
達也はうわっははと笑う。
そんな風に話してると、少し離れたエミリアさんが、「ちょっと。」と俺を呼んでいる。
近づくと顔を近づけ、耳元で小声で
「あなた、ライデンのことどう思ってる?」
「ライデンさんですか?別にどうって言われても、勇者って感じですかね。」
「そう。」
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ちょっと、ね。」
エミリアさんは少し暗い顔をする。
「俺でよければ話聞きますよ、あの人ともそんなに仲良いわけでもないので、バラしませんし。」
「それなら…ちょっとリュウスケが私に話があるみたいだからちょっと席外すわね。」
「おうリュウスケ!もうそいつに惚れたのか?まあせいぜい頑張れよ!」
「…はぁ、頑張って来ます。」
エミリアさんは俺の手を引き外に出る。
「ちょっとエミリアさん、あれじゃ俺が誤解されちゃうじゃないですか。」
「あら、私と噂になるのは嫌?」
エミリアさんが意地悪な笑い方で笑う。
この人こんな表情もできるのか。
「嫌って言うわけではないですけど…」
「ならいいじゃないの!」
「ところで、本題に入りませんか?」
「そうね、でもその前に…」
そういってエミリアさんは【消音】と言う魔法を使った。
「誰がどこで聞いてるかもわからないから、一応、ね。」
「そんな重要な話なんですか?」
「ええ、私もあのパーティの一員なのだけど、私は一番新参者なのよ。」
「へぇ、そうなんですか。それでそれがどうしたんですか?」
「私ね、もともと違うパーティに所属していたの。それでその時にライデンに勧誘されたんだけどね、私は最初に断ったのよ。」
「それでもライデンさんは諦めず、って感じですか?」
「結果そうなるわね。ただ、少しおかしなことがあるのよ。」
「おかしいこと?」
「ええ。まず断った時に、ライデンが激怒したこと。そして私がパーティを抜けるように、メンバーを脅したこと。そして何よりおかしいのが、私が何度も頼んでこのパーティに入れてもらった、と言う話になっているの。」
「ほー、何か裏がありそうですね。」
「それでね、明日多分あなたたちと一緒にダンジョンに行くことになるから、あなたも少しライデンを気にして見てくれない?何もなかったらそれが一番いいんだけど…」
「わかりました。注意してみますね。」
「ありがとう!」
一気に花開いたような笑顔に一瞬見惚れてしまう。
「と、とりあえずみんなのところに戻りましょう。」
「そうねそうしましょう!」

みんなのところに戻ると、何やら盛り上がっていた。
「おう!リュウスケどうだったよ!振られたか?」
アースはガハハと笑う。
「そんなんじゃないですよ。ねえ、エミリアさん。」
「あら、そんな話じゃなかった?」
「なっ!?あなたって人は!」
「やっぱりそうじゃねーか!恥ずかしがるんじゃねーよ!」
「だから!違いますって!」
「隆介、成長したな。」
横で達也が涙を流している。
「おい、お前いい加減にしろよ?」
達也は俺の怒りを感じとり、すぐに謝ってくる。
その時、ライデンさんがパンパンと手を叩く。
「おふざけはその辺にして、明日のことを話そう。隆介くんは知らないだろうけど、明日は僕たちのパーティと君達二人でダンジョンに潜ろうと思うよ。」
「わかりました。ところで俺たちあまりダンジョンのことを知らないので、教えてもらえませんか?」
「ああいいとも。ダンジョンとはね…」
要約すると
・ダンジョンとはいきなりできる洞窟のようなも の。
・ダンジョンにはフロアがあり、進むには下に下 がる必要がある。
・ダンジョンには魔物がいて、フロアを下がれば 下がるほど魔物は強くなる。
・フロア数はダンジョンによって違う。
とまあこんな感じだったかな。
「じゃあ、明日の昼、このギルドに集合してくれるかな?」
「はい、わかりました。」
「それじゃあ、また明日!」
「タツヤ!今日は早く寝ろよ!」
「わかってますって〜」
「じゃあ、それでは。」
「また明日、リュウスケくん。明日は頼むよ。」
「私からも、明日は頼むわね。」
エミリアさんにウインクされた。やばい、このままだと本当に惚れてしまう。
「わかりました。」
「って隆介!俺ら宿とってねーよ!どうする!」
「メイリィさん、どこかいい宿ありますか?」
「今からだと、ないわね。でもギルドの仮眠室が空いてるからそこなら使ってもいいわよ。」
「ありがとうございます!」
そして俺たちは少し外に出て、水浴びをしてから仮眠室に行った。
決して寝心地がいいわけではなかったが、今日の疲れですぐに死んだように眠りこけた。

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