エレベーターで異世界転移

アガルニ

5話 モンテス大森林

森に入り少しした時、俺はあることを思い出した
「そういえば俺のスキルの【魔獣召喚サモン】ってのを使ってもいいか?」
「あー確かにここなら人目も気にせず魔獣を召喚できるもんね、俺も見てみたいしいいと思うよ!」
「よし、じゃあ念のため少し離れててくれ」
「はいよー」
達也を少し離れさせ俺は【魔獣召喚サモン】を使ってみる
スキルの使い方は昔から知っていたかのようにわかっていた。
俺は サモン と口に出して、手を地面につける。手には保有しているMPをありったけ注ぎ込んだ。
すると、手を中心に半径2メートルほどの魔法陣が浮かび上がり、薄紫色に眩く輝く。
「うおぉ、綺麗だ…」
達也は思わず口に出すが、隆介には聞こえていない。
次第に魔法陣は小さくなると同時に輝きを増していった。
魔法陣が半径50センチほどになった時、いきなり小規模な爆発が起きた。
俺はもちろん、少し離れさせた達也も吹き飛ばされていた。
魔法陣があったところには煙が立ち込めている。煙が晴れるとそこにはナニカがいた。
「隆介、あれ…って」
「あぁ、あれは…狼だな」
「やっぱりそうだよね!すげぇかっこいい!」達也は目を輝かせて眺めている。
俺は狼にゆっくりと近づく。狼もこちらに気づき、こちらを向いた。
体長は5mほど、体高は3mほどの大型の真っ白な狼だ。
「君は、俺の仲間か?」
そう声に出して聞いてみると、頭に直接
『もちろん!ご主人様の味方だよ!』
と言う声が聞こえて来た。
「今の声は、お前なのか?」
『そうだよ!僕はキングウルフ!よろしくね!』
なんだこいつ、見かけによらず喋り方がすごい子供っぽいぞ。
「お、おい隆介、独り言すごいけど大丈夫か?」
「ん?お前には聞こえてないのか?
なあ、そこのバカっぽい奴にも声が聞こえるようにできるか?」
『できるよ!ちょっと待ってね、よし!こんにちは!』
「おいバカっぽいってなん…って誰だこの声は!!」
『僕だよ僕!君の目の前にいるよ!』
「俺の目の前にはでっけぇ狼しかいないっつーの…え?お前?」
『そう、僕は君の目の前にいるでっかい狼だよ!』
「おいお前ら、めんどくさいから茶番はその辺にしてくれ。俺はリュウスケ、それでこのバカっぽいのがタツヤだ。よろしくな」
『リュウスケにタツヤね!覚えた!
でも僕、名前ない…』
「そうなのか?じゃあ俺らでつけてやってもいいんだが…」
『え!いいの?!ありがとう!』
「とは言ったものの、難しいな。タツヤなにかいい案あるか?」
「んー隆介の最初の従魔だから、リュウなんてどう?親近感湧いてこない?」
「ほぅ、リュウか。達也にしてはいいセンスしてるな。どうだ、リュウでいいか?」
『うん!リュウスケとお揃いって感じがして嬉しい!』
「よし!ならリュウで決まりだ!」
「ところでリュウ、お前戦闘できるのか?」
『キングウルフはもともと戦闘には長けてるよ!』
「そうか、じゃああそこのゴブリンを倒して来てくれないか?」
俺が指差す方には、ゴブリンが3体。
『えぇ〜あんな弱っちいのでいいの?
僕ならもっと強いの倒せるのに。』
「いいから行ってこい」
リュウは渋々走り出す。1回目の蹴りで3割、2回目で7割、3回目でフルスピードに乗り、一瞬でゴブリンとの距離を詰める。
首がブレたかと思うとゴブリンの頭と胴体が分かれていた。
リュウはゴブリンの頭をくわえて持ってきた。
『こんなので僕の強さがわかるの?』
「確かにもっと強い相手を用意したほうがよかったな。」
『だから言ったのに〜』
呆れたようにリュウは言う。

そういえば、【装備アームド】も気になってたんだが、これはどう使えばいいんだろうか。よくわからないので俺はリュウの整った毛並みをモフりつつ、「【装備アームド】」と口にしてみた。
その瞬間リュウが白く光り輝き小さくなって俺にまとうように形が変わる。
光がおさまると、俺は真っ白な鎧のようなものを着ていた。
「な、なんだこれは」
『あれ、僕どうなってるの?』
「ま、まさか俺はリュウを装備しているのか?!」
「す、すげえよ隆介!めちゃくちゃかっこいいじゃねーかよ!」
目を輝かせながら興奮した様子で達也は言う。
「お、おいリュウ大丈夫か?」
『んーなんか変な感じするけど嫌じゃないよ!』
「そうか、ならよかった」
俺はなんとなくわかったので解除リムーブと口にした。その瞬間、リュウがまだ光り、目の前に現れた。
「やっぱりか。アームドにリムーブ、これは使えるな。」
俺はこのあと色々試した結果、リュウは防具だけでなく、剣や盾ハンマーなど想像すればなんにでも変化させ装備できることがわかった。
「このスキル、有用性高いな。」
「羨ましいなぁ、いいなぁ。」
「いや、お前は聖剣もってるだろーが。」
「あーそうだ!俺も聖剣出してみよっと!」
「出し方わかるのか?」
「なんとなくわかるんだ!【聖剣よ、ここに顕現せよ】」
達也がそういうと空中に魔法陣が浮かび上がる。そこに達也が手を入れ、引き出すとその手には聖剣アスカロンが握られていた。
「す、すごいな。」
『うわー僕でも切られたらひとたまりもなさそうだー』
「これが、聖剣か!これからよろしくな相棒!」
「ところでその聖剣にはどんな効果があるんだ?」
「効果があるってよくわかったね」
「大体聖剣なんてそんなもんだろ。それで、どんな効果だ?」
「頭に流れ込んで来た感じだと、この剣で傷をつければ相手を石化できる、その石化は所有者の任意で解除可能、そして絶対に折れないってとこかな。」
「ほぅ、なかなかにチートだな。それにしてもアスカロンの効果がアストロンだなんてこれ作ったやつはドラ◯エ好きか?あれは確か鉄になる呪文だが…」
「リュウスケ何言ってんの?」
「すまん忘れてくれ」
そして俺たちはゴブリンを探しにまた森の奥に進んでいく、リュウの背中に乗って。
「結構深くまで来ちゃったね」
「そうだな、さすがにこんなところにゴブリンはいないか」
と言って引き返そうとしたそのとき、森の奥から魔物の大群が押し寄せて来た。
「この量はやばい、少し逃げるぞ!」
「リュウ頼む!」
しかし、リュウに指示が聞こえてなく、リュウは動かない。
「おい!リュウどうしたんだ!」
「こいつ、俺たちの言葉が耳に入ってないぞ」
リュウの目は充血し、口からよだれを垂らしていた。
「おい、おい!リュウ!しっかりしろ!」
『……っ!ごめんリュウスケ!』
「やっと聞こえたか、一体どうしたんだ?」
『奥に、やばいのがいる。』
「そりゃ見ればわかる!早く逃げるぞ!」
『違うんだ。あの大群の奥に一匹だけおぞましいオーラのやつがいるんだ。』
「なに?それは本当か?」
『うん、その証拠にあの魔物の大群は僕らに見向きもせずに逃げてる。』
「達也、どうする?」
「とりあえず行ってみよう。無理そうだったら引き返せばいいしね」
「よし、リュウいけるか?」
『大丈夫だよ!行こう!』
リュウは魔物の大群を飛び越え、おぞましいナニカに向かい走り出した。
『もう近いよ、気を引き締めて!』
「ずっと引き締まってるぞ!」
「よし、一旦ここで止まってあとは歩いて行こう。リュウ、アームド使うけどいいな?」
『わかった!』
「俺もアスカロン出しとくか。【聖剣よ、ここに顕現せよ】」
そして、2人でまっすぐ歩いていく。
少しひらけた場所があった。その中心には真っ黒い人型のナニカがいた。
半笑いでこっちを見ていた。目があうと、これ以上ないほどの寒気がし、一歩後ずさってしまう。
「ありゃやべーな。」
「うん、勝てそうにないや」
走って逃げようと後ろを振り返った瞬間、目の前にナニカが現れた。
「は?」
「え?」
腹を殴られそうになるが俺は腕で、達也は聖剣でとっさに防ぐも後ろにふっ飛ぶ。
「おぇっ、はぁ、はぁこれは逃げられそうにないな。」
「ゲホッ、ごめん俺が行こうって言ったばっかりに。」
「今はそこを謝ってる暇はない。倒すしか生き残れないぞ。」
こうして俺たちの異世界最初の無謀な戦いが始まった。

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