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村人の成り上がり英雄譚

ユノ

些細な疑問

出口に向かう途中、リクはふとした疑問が頭に会った。
「刹那って俺に時々話しかけてきてただろ?呼び方とか話し方違くないか?」
リクは自分に囁かれる言葉が刹那とは似ても似つかないものだと思っていた。だが、火竜との戦闘の時、刹那の名前が浮かび呼んだら出てきた。だから、リクは刹那が呼び掛けているものだと思っていた。
「リクに話しかけてたのは私じゃない。私はリクを信じてるから、静かに待っていた。リクにうるさく話しかけてたのは、パル。」
「パル?パルは今どうしてるんだ?なぜ出てこないんだ?」
リクは刹那が出てきても、パルが出てこないのが不思議だった。
「パルが出てこないのは、リクがパルを呼んでないから。パルはまだリクの中で落ち込んでる。」
「落ち込んでる?」
「リクに話しかけてたのは、パルだった。あの戦闘の時話しかけたのもパル。でも、呼ばれたのは私。」
刹那がそこまで言うと、リクも理解できた。そんなリクをアリサとシイがジト目で睨んだ。
「いや、俺が悪いのは分かってる。だが、何も知らなかった俺にどうしろと。」
リクはそんな二人に言い訳を一生懸命した。
「リク君、それはないよ。呼んでほしくて話しかけてたのに、やっと呼ばれるって時に別の子を呼ぶなんて、私もパルちゃんに同情しちゃうよ。」
「お兄ちゃんそれは酷すぎます。」
二人がそれぞれパルを思い、同情していた。
「分かった、今呼ぼう。刹那、どう呼び出せばいい?」
リクはそんな空気に耐えかねて、パルを今スグ呼ぼうとする。
「パルの名前を呼ぶようにして言えばいい。でも、私はパルを呼ぶことを進めない。」
刹那はパルを呼ぶことに嫌そうな顔をした。
「パルを呼んだら何かあるのか?」
リクはそんな刹那を見て不安そうにした。
「うるさくなる。」
刹那は淡々と言った。
「まぁ、今回は俺が悪いし、大目に見てくれないか。」
「リクが言うならいい。」
リクが言うと、刹那はすんなり許可した。そんな刹那をリクが優しくなでた。刹那は気持ちよさそうに目を細める。
「リク君、呼ぶんなら早く呼んであげたほうがいいんじゃないかな。」
アリサはそんなリクと刹那にとげのある言い方で言った。
「邪魔するな。嫉妬は醜いだけ。」
「そんなことないもん、相手を想ってこそだもん。」
「もんとか言うな、キモチ悪い。」
刹那とアリサはまた言い合いを始めた。
「お兄ちゃん、そろそろ呼んであげよう?」
そんな二人をよそ眼に、シイがリクに言った。
「こい、パル。」
リクは呼び掛けるように言った。するとリクの目の前に、黒髪を短く切った、刹那と同じくらいの少女が出てきた。
「主!会いたかったぞ、グヘッ…」
リクに飛びかかる少女を刹那が殴り飛ばした。
「突然リクに飛びかかるから、魔獣と間違えた。魔獣と間違えたから力加減ができなくても仕方ない。パル、リクに近づくな。リクが汚れる。」
パルはダンジョンの奥に飛んで見えなくなってしまった。刹那はそんなパルへ告げる。そんな刹那の行動を三人は黙ってみていた。
「リク、早くあれは捨てるべき。」
刹那がリクを見て言った。
「それは酷くないかせっちゃん。」
するとそこにいつの間にか戻ってきていたパルがいた。
「その呼び方するな。次呼んだら、怒る。」
パルに怒りをあらわに刹那。
「せっちゃんッぷ。」
それをアリサが笑っていた。
「パルの前にお前をやる。」
「そう怒らないでよ、せっちゃん。」
またアリサと刹那の言い合いが始まった。
「パル、お前は刹那と一緒と考えていいのか?」
そんな二人を横目にリクはパルが何者かを訊ねた。
「そうじゃな。我は刹那と同じようなものと考えてくれていいのじゃが。」
そこまで言うと、パルはそっと刹那のほうを見る。すると、先まで言い合いをしていた刹那がパルを睨んでいた。
「刹那は同意してくれそうにないのでな、ちゃんと説明しよう。我は刹那と同じ聖剣じゃ。主は我の契約者で主じゃ。契約したのは刹那の後じゃが、さど変わらぬ六年前じゃな。刹那よりは少しばかり遅かったが。主は我を覚えておらぬか?契約時ちゃんと名を告げたぞ?」
パルがそういうと、リクは昔を思い出した。セレクト―ル村の外れに祭られていた黒く輝く剣。リクは小さいころそれを手にして、一人の少女と出会っていた。その子はその時、パルと名のっていたのを思い出した。だが、その子と会ったのはその時だけで、すぐに姿を消したその子のことはあまり印象になかった。そのあとに、祭られていた剣が消えたことによって村中が騒ぎになったのでそちらのほうが印象に強く残っていた。
「主よもしかしてあまり覚えておらぬのか?」
パルが寂しそうな表情でリクを見た。
「悪い、正直言ってそこまで印象に残ってないんだ。でも、全く覚えてないわけじゃないぞ。少しは覚えてる。」
リクはそんなパルを見て慌てる。
「主よそれはあんまりじゃ。我の初めてを覚えておらぬなんて。」
パルはその場で涙を流して崩れた。
「お兄ちゃん!初めてって何ですか!お兄ちゃんの初めてももうないんですね…羨ましいです。初めては諦めるんで、私にもパルさんにしたことをしてください!」
「リク君どういうこと!初めてって何!リク君とパルちゃんが出会ったのって、リク君が三歳の時って言ってたよね。小さいリク君見てみたい!じゃなくて、リク君それはダメだよ。いろいろとダメだよ。」
アリサとシイはリクに迫る。リクはそんな中刹那を見ると、特に何も思っていないようだった。
「刹那は何か知っているのか?」
そんな刹那を見てリクは刹那はパルが何のことを言っているのか知っているのではと思った。パルは刹那の後に契約したと言っていた。なら、パルと出会った頃にはすでにリクのそばに刹那がいたことになる。リクに何かあれば刹那はそれを許容するとは思えないと思っていた。
「パルは契約のことを言っている。契約時、互いのことを想い、すべてを共有する必要がある。そしてもう一つ行うことがある。それが接吻。一様言っておく。リクの初めては私がもらった。」
刹那は皆に胸を張って言った。
「「イラッ」」
三人が刹那を睨んだ。
「ちょっと待ってくれ、確かに刹那のことは当時想っていた。そして、キスしたことも覚えてる。でも、パルと会ったのはたった一瞬だぞ、キスのことはいいとしても、契約の条件に互いのことを想うがあるなら、契約は果たされないだろ。」
リクがそういうと、パルがさらに絶望の顔をした。
「リクは今よりもさらに子供だった。リクは単純に目の前に現れた少女が気になった。そこに警戒心はない。そこをパルはつけこんだ。そしてパルには想いがあった。一目惚れと言っていい。パルが惚れやすかっただけ。リクの正確な想いはそこにはない。」
刹那がそこまで言うと、アリサとシイが泣き崩れてるパルを見る。
「刹那も同じようなものじゃないか。我が惚れやすいんじゃない。リクが特別なんじゃ。」
先まで泣き崩れていたパルが一生懸命弁明する。
「パルと一緒にするな。私はちゃんとリクと過ごしてお互いを想った。パルみたいに一方的じゃない。両想い。」
刹那はリクにくっついて言う。四人はそのあとも言い合いをしていた。
「契約のメリットって何なんだ?」
リクはふと疑問に思った。
「私たちにとって一番のメリットはリクと一緒にいれること。リクと常に繋がった状態でいれること。これは私たちの感情の上のメリット。他のメリットは、契約者の魔力を使用することができること。私たちは様々な力を使うことができる。でも、私たち聖剣だけだと魔力を生み出す機能がないから使えない。知恵はあっても、それに適した力がなければその知恵は何の意味を持たないそれと同じ。だから、私たちは契約者、リクにこの知恵をリクは私たちに力を与える。それによって、私たちはその力を自身でも使うことができる。そして、リクは私たちの力を使うことができる。これが本来の契約のメリット。」
刹那はリク達に正確に説明をしてくれた。
「ちょっと待って、それじゃあ、リク君の魔力を三人で分けあってるってこと?」
「その解釈は違う。常に私たちはリクとつながってる。通常魔力はリクの中にある。分けあってはいない。でも、お前が考えてるのはリクの負担のこと。それについては、かなり大きいもの。聖剣と契約するなんて普通の人じゃ無理。リクが私たちと契約できたのはリクの素質。でも、過去に一人で二本の聖剣と契約した話は聞いたことがない。一本と契約するのも滅多に聞かない。リクには契約できるだけの素質があった。でも、素質があっても、負担が軽減されるわけじゃない。力の制御を誤って暴走する可能性もあった。リク自身が心身共にボロボロになる可能性もあった。でも、今までにそれはなかった。今後そうなる可能性もあるが、よっぽどのことがない限り、今のリクだと大丈夫。でも、リクに忠告。リク自分でいつも制限をつけてる。できればそれをやめてほしい。制限は確かに制御としては使えるけどかけすぎると身体への負担が今まで以上になる。ただでさえ、私たち二人がリクに制限をかけてる状態。」
「ちょっと待て、二人が制限かけてるって、俺にはそんな感覚全くないぞ。」
「リクが私たちと契約したときにすでにかけていたから、おそらくそれが普通になった。制限解除には、私が一つパルが一つ調整してる状態だから、二人が許可しないとリクは本当の全力は出すことができない。そして、リクが危険に陥りそうになれば、制限解除するけど、それまでは絶対にしない。」
刹那はリクに真剣に言う。刹那は制限を解除する日が来ないことを祈っていた。
「そうか、ならその判断は刹那とパルに任せる。」
リクは真剣に話す刹那の頭を撫でた。
「リク、理由聞かない?」
刹那は不安そうにリクを見る。
「あぁ、刹那を信じてるしな。パルはあいつなりに俺を想ってくれてるみたいだからな。だから刹那、パルこれからもよろしくな。」
刹那はそんなリクに心地よさそうにリクに寄り添う。
「当然。リクの想いは裏切らない。」
「主は我の想い人じゃからな。任せるがいい。」
そんな三人をアリサとシイは何も言わず微笑ましく見ていた。
「リク君って、魔力の計測でAクラスって言ってなかったっけ。それって制限付いての計測値?それとも潜在的な力すべて合わせてのAクラス?」
「制限付いての計測値じゃな。リクに制限を教えよった者じゃが、実力は確かにあったが、リクの能力は測りきれなかったようじゃな。確かマナっと言っておったか。」
パルはマナがリクに特訓をしていた時のことを思いながら言った。
「マナはリクに制限を教えて使わした。私たちの存在に気づかず。それで、リクは一度身体の上限を超えて倒れた。下手したら死んでた。私はマナを認めない。」
刹那は怒りをあらわにしながら言った。リクとアリサはそれに何も言えなかった。
「お兄ちゃん、マナさんはお兄ちゃんの師匠って言っていた方ですか?」
「あぁ、俺を支えてくれて、いろいろ教えてくれた大切な人だ。」
「主の考え想いはよくわかる。じゃが、我らの想いも少しは考えてくれると嬉しいのじゃ。さすがに主のこととなると、割り切れないこともあるのじゃ。」
刹那とパルはマナを認めていなかった。
「あぁ、刹那もパルも俺を想ってくれてのことはよくわかる。だから、俺の大切な人のことも良く知ってもらいたい。そして、これから認めてほしいと思う。認めるかどうかは、今後考えてくれたらいい。俺は、皆の想いをちゃんと受けとめるから。認められなかったらそれでいい。まぁ、その時はその時考えるけどな。」
リクは刹那とパルに笑顔を向けた。刹那とパルはそれ以上何も言わなかった。話しているうちにダンジョン出口の光が見えた。
「さぁ、王都リーゼンハイツに向けて再出発と行こうか。」
五人は王都へ向けて歩み始めた。



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