村人の成り上がり英雄譚

ユノ

決闘

次の日、リクとアリサは別行動していた。リクは、自主訓練に行くと森に行き、アリサはシイと行動を共にしていた。
「シイちゃん、リク君がきっと連れて行ってくれる方法が一つあるの。」
アリサは一つの提案をした。
「本当ですか!」
シイは目をキラキラさせていた。
「リク君と決闘して勝てばいいんだよ。昨日の夜にリク君には、決闘のこと叩きこんであるから。」
アリサは簡単そうに言った、
「お兄ちゃんに勝つなんてできないよ。」
シイはムリムリと首を振っていた。
「大丈夫よ。対等な条件で、リク君に勝つ必要はないの。シイちゃんはリク君に一撃入れるだけでいいの。そのための手段は私が教えてあげる。リク君には悪いけど、敗北を味わってもらうよ。」
アリサは楽しそうにニヤニヤしていた。シイはそれを見て少し引いていた。アリサとシイの特訓は今日から始まった。その日の夜、
「リク君、一週間この村に滞在してもいいかな?ちょとやりたいことができたの。」
アリサはリクへ頼んだ。
「俺も少し調べたいことがあるから構わないが、村の連中がなんていうかが問題だな。」
リクは何か深刻そうな顔をしていた。
「村の人は喜んで許可してくれたよ。リク君どうしたの?調べもの困ってるなら私も手伝うよ?」
アリサはリクの顔を覗き込んだ。
「いや、まだ確信はないし、大丈夫だよ。気にしないでくれ。」
リクは優しく微笑んだ。一週間、アリサとシイは朝から晩まで特訓をした。リクは、毎日朝から晩まで森に出ては難しそうな顔をして戻ってきていた。アリサはそのたび心配そうにした。一週間後、リクのもとにシイが来ていた。
「これ受け取ってください。」
シイはリクに白い手紙を渡していた。リクはそれを受け取り見てみると、決闘状と書かれていた。
「お兄ちゃんに決闘を申し込みます。」
シイはリクにきっぱりと言った。
「リク君、受け取ったからには受けないとね。」
アリサはニヤニヤしていた。
「そういうことか、アリサが最近何しているかようやくわかったよ。謀ったなアリサ。」
リクはため息をついた。
「人聞き悪いよリク君、私はちょっと後押ししてあげてるだけ。」
シイは不安そうにリクの顔を見ていた。
「わかった受けるよ。決闘の方法は?」
リクは決闘手段を訊ねる。
「リク君が決めないの?決闘は受けたほうが決めれるんだよ。」
「分かってるさ、でもこれもよんでたんだろ?」
リクがジト目でアリサを見た。
「なんのことかなぁ。」
アリサは視線をリクから逸らした。
「方法は、一対一で魔術、道具の使用は可能で、一本勝利でどうですか?」
「分かった、勝利条件は?」
「お兄ちゃんの勝利条件は私に降参って言わせたらです。私の勝利条件はお兄ちゃんが決めてください。」
「いいのか?」
リクは驚いた。普通ならここで、自分の勝利条件さえ設定してしまえば、勝てるかもしれないのにと。「かまいません、お兄ちゃんに決めてほしいです。」
「じゃあ、キミが俺に一撃でも入れれたら、キミの勝利だ。」
アリサはニヤニヤしていた。リクは気にせず、話を続けた。
「賭けるものは?」
「私が勝ったら、私を連れて行ってください。村の人とお義父さん、お義母さんには許可をもらっています。お兄ちゃんが勝ったらもう、連れて行ってなんて言いません。」
シイは真剣にリクの目を見て言った。リクはその条件をのんだ。
「じゃあ、これより決闘を始めるわよ。判定は私が取ります。二人とも頑張ってね。」
アリサはリクとシイの真ん中に立ち言った。リクは何も持たずに立ち、シイは剣先をリクに向けて構える。
「準備はいい?」
二人がうなずく。
「始め!」
合図とともにシイが動いた。リクは動かなかった。シイはリクに向けて、剣を振り回した。一生懸命、振るう。だが、リクにそれが届くことはなかった。リクは全てを避け、シイのおでこを弾いた。リクは軽く強化系魔術を使っていた。シイは弾け飛び、遠くの木に当たって倒れた。
「アリサ、判定を…」
リクはこれ以上やる必要はないと、アリスに判定を促進したが、
「リク君、まだだよ。勝利条件忘れたわけじゃないでしょう?」
リクの勝利条件は、シイに“降参”と言わせること。リクはアリサを睨みつけた。アリサは何も言わず、シイを指さす。リクがシイの飛んだ方向を向くとそこには、立ち上がりこちらにフラフラと歩いてくるシイの姿があった。
「どうなっても知らねぇぞ。」
リクはそういうと、自分につけている“制限”を最大限に強めた。そうして、シイへと魔術を放った。シイは、地面を転がり木へと激突した。シイはそれでも、フラフラと立つ。今度はリクも目を離さなかった。
「ポート」
シイがつぶやいた。すると、目を離していないはずのシイの姿がリクの前から消えていた。コツン、リクの頭を軽く何かが叩いた。リクが振り返るとそこにはボロボロになったシイの姿があった。
「勝者、シイ!」
アリサがシイの勝利を声高らかに叫んだ。シイはそれを聞くと笑顔になり、リクへと倒れた。リクはシイを見て、気絶しているだけだと安心した。
「リク君、負けちゃったね。」
アリサは笑顔だった。
「あぁ、負けだ、負け。それより何だったんだあの魔術?」
最後にシイが使った魔術が気になっていた。
「あれは、シイちゃんが覚えていた魔術だよ。最初は私も驚いたけど、正確には移動できなかったからね。剣術を少し教えようと思っていたけど、こんな力があるなんてね。だから、この魔術をを正確に移動できるように特訓したんだよ。」
「そうか…」
リクは少し笑い。そっと、シイの頭を撫でた。

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