Duty
chapter 19 絆 -1
1 9月16日 光
暗い雲間に雷鳴が轟き始めた。
このまま雷雨に見舞われそうである。
宵崎高校中に血生臭い臭気が充満しているような異様な、そんな雰囲気に包まれていた。
まるで蛇に睨まれた蛙、陽太たちは目の前に佇むかつての教師だった者の姿を捉えたまま動けずにいた。
静間の持つ拳銃の銃口が陽太たちを捉えていた。
このまま引き金に力を込められれば、全てが終わる。
自分たちが助かる手段は何だ。
霧島は必死に頭の中を模索していた。
説得なんて通用するはずがない。
これだけの事をしでかしてきた連中には、これ以上の時間稼ぎにすらならない。
何か奴らの動揺を誘うような嘘。
自分たちを生かしておかなければならない嘘をつけば。
どうすればいい。
どうすればいい。
ここで自分たちが負けるのか。
ここで自分たちは死ぬのか。
不気味に唇の端を釣り上げた静間は身を引き裂くような声で告げた。
「まずは、レディーファースト」
そして、銃口を桜へと向けた。
「……」
桜は銃口を見つめ声も出せずに硬直していた。
まるで気絶しているかのような、意識が無くなってしまったかのような、そんな目だった。
そのとき、そんな桜の前に庇うように陽太が身を乗り出した。
「ふざけんじゃねえ……俺たちはお前らのモルモットなんかじゃねえ!」
静間がそんな陽太の姿を見て笑った。
「というお前の台詞は体裁なんでしょう? その行動はどういう心理からきている? 周囲から頼られたいから? 自分の株を上げたいから? その女とセックスしたいから? お前のどの欲望が一番強い? 最期に答えてみろ。神谷陽太」
陽太が静間を睨みつけ叫喚した。
「大切な人を守りたいからに決まってんだろが!!」
「!」
信じられないとでもいうように静間は目を見開いた。
まるで黒い霧が自分たちを覆うように包み込んでいたかのような、そんな屋上にいる全ての人間たちを包み込むようにしている闇のなかに一抹の閃光が輝いたような気がした。
「×××××!」
「×××兄さん!」
「×つる兄さん!」
「充兄さん!」
少女の声は確かに『少年』の耳に届いた。
『零……ありがとう』
暗い雲間に雷鳴が轟き始めた。
このまま雷雨に見舞われそうである。
宵崎高校中に血生臭い臭気が充満しているような異様な、そんな雰囲気に包まれていた。
まるで蛇に睨まれた蛙、陽太たちは目の前に佇むかつての教師だった者の姿を捉えたまま動けずにいた。
静間の持つ拳銃の銃口が陽太たちを捉えていた。
このまま引き金に力を込められれば、全てが終わる。
自分たちが助かる手段は何だ。
霧島は必死に頭の中を模索していた。
説得なんて通用するはずがない。
これだけの事をしでかしてきた連中には、これ以上の時間稼ぎにすらならない。
何か奴らの動揺を誘うような嘘。
自分たちを生かしておかなければならない嘘をつけば。
どうすればいい。
どうすればいい。
ここで自分たちが負けるのか。
ここで自分たちは死ぬのか。
不気味に唇の端を釣り上げた静間は身を引き裂くような声で告げた。
「まずは、レディーファースト」
そして、銃口を桜へと向けた。
「……」
桜は銃口を見つめ声も出せずに硬直していた。
まるで気絶しているかのような、意識が無くなってしまったかのような、そんな目だった。
そのとき、そんな桜の前に庇うように陽太が身を乗り出した。
「ふざけんじゃねえ……俺たちはお前らのモルモットなんかじゃねえ!」
静間がそんな陽太の姿を見て笑った。
「というお前の台詞は体裁なんでしょう? その行動はどういう心理からきている? 周囲から頼られたいから? 自分の株を上げたいから? その女とセックスしたいから? お前のどの欲望が一番強い? 最期に答えてみろ。神谷陽太」
陽太が静間を睨みつけ叫喚した。
「大切な人を守りたいからに決まってんだろが!!」
「!」
信じられないとでもいうように静間は目を見開いた。
まるで黒い霧が自分たちを覆うように包み込んでいたかのような、そんな屋上にいる全ての人間たちを包み込むようにしている闇のなかに一抹の閃光が輝いたような気がした。
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