チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間【改】

北きつね

第二十七話 マヤとミトナル

/*** マヤ Side ***/

 リンはなんだか難しい話をしている。僕が居ると邪魔になってしまうかもしれないので、王都を散歩することにした。
 ミルと一緒に買い物に出たので、なにか必要な物が有るわけではない。リンが、可愛い女の子に囲まれているのを見ているのが面白くないだけだ。

 リンは、僕がいればいいと言ってくれた。でも、僕にはわからない話を、ミルとするときがある。

”これ可愛いいな”

 リンから、街中に行くのなら、村長へのお土産を見てきて欲しいとお願いされた。
 土産は必須ではないが、世話になっている村長になにか買っていこうと思っている。

 最初は王都に来て楽しいと思ったけど、リンと一緒じゃ無いと楽しくない。

 買い物も、セトラス商会に行けば安く買えると言われてしまっている。

「マヤ!」

 後ろから呼ばれた気がしたので振り向くと、ミルが駆け寄ってきた。
 リンの味方だ!

「ミル?」
「うん」
「リンは?」
「宿に戻っている、考え事があると言っていた」

 ミルは、誰かに言わされているような喋り方をする。
 最初は違和感しかなかったが、今では慣れてしまった。そして、これが照れ隠しだという事もわかった。

「そう、僕たちも宿に戻る?」
「リンから頼まれた買い物を先にしたほうがいい」
「そうだね。ミルも付き合ってくれるの?」
「そのつもりで、マヤを探していた。マヤは、リンの次に大事」

 こういう人だ。
 本当に、リンの事が大事なのだろう。

「わかった。リンが、いつ帰るとか言っていなかった?ミルはどうするの?」
「聞いてない。でも、僕は残る。王都で鍛える。リンがそれを望んだ」

 本当に、リンの事しか見ていない。少し重いくらいだ。

 ミルと一緒だと買い物も早い。
 即断即決が真情なのか余計な事に耳を貸さない。

「なに?」
「ううん。ミルはすごいなと思っただけだよ」
「そんな事はない。すごいのはリン。僕がいるのはリンのおかげ」

 なんかやっぱりずれている。
 ずれているけど、許せてしまう。

「??」
「ううん。なんでもないよ。ミル。帰ろう。リンもお腹をすかせているかもしれないよ!」
「急ごう」

 ミルが、僕の手を引っ張って、駆け出した。

 出会って数日だけど、ミルとは何年も一緒にいるように感じる。

「マヤ?マヤ!」

 ん?

「ミル。ちょっとまって!」
「どうした?」
「知り合い・・・!ウーちゃん?!」

「やっぱりマヤだ!」

/*** ミトナル=アカマース・マノーラ Side ***/

 マヤの友達のようだ。

『マヤ。僕は、先に帰る』

 念話で伝えておく、気配を消すのもできるとは思うが、マヤが心配してもいけないので、一言断ってから帰るほうがいいだろう。

『わかった。リンには、ウーレンと話していると伝えておいて』
『わかった』

 リンとマヤが、パシリカに来た時の話を聞いた。
 結果、それは今の状況を作り出しているのだが、問題なのはそこではない。リンの村がある場所が、アゾレム領だという事だ。そして、アゾレムこそがリンの弟を殺した張本人である立花だ。
 事実なんてどうでもいい。僕が、そう思って行動を起こすだけだ。
 垣間見た立花たちのステータスには、今の僕では勝てそうにない。立花一人なら殺す方法はいくらでもある。でもそれではダメだ、アドラの提示した条件では、殺したから終わりとならない。
 少なくても、立花たち全員を殺す必要がある。
 それは僕では力が足りない。僕は、もっともっと強くならなくてはならない。イリメリやフェムの様にギルドを運営するような事はできない。できるかもしれないが、僕のやりたい事ではない。

 だから、僕は強くなる。
 強くなる方法もリンが示してくれた。

 宮廷魔道士や近衛との戦闘は、僕の持っているスキルには都合がいい。
 剣技も魔法も全部吸収する。その上で戦闘を繰り返せばレベルも上がるだろう。

 考え事をしていたら、宿を通り過ぎてしまった。

 フェムの家から話し声が聞こえる。
 まだ、ギルドの事でなにか話しているのだろう。うまくいくといい。少なくても、立花たちが勝ち上がるよりは希望が持てる。

 僕は、リンがこっちに残ると言ったら、一緒に残るつもりだ。
 そうしたら、あと一人を選択するだけでアドラの提示してきた条件をクリアできる。タシアナ韮山里穂あたりが残ると言い出すかと思っている。みんな・・・。
 2つのことに、女性陣は薄々気がついているのだろう。

 この世界に来ているのが皆何らかの形で関係しているという事だ。中心は、リンと立花だ。もしかして、完全に巻き込まれたのは、茂手木義徳だけなのかもしれない。そう考えると、リンの弟を殺したのは、間違いなく今この世界に来ている10名だ。
 そして、女性陣にも少しかもしれないが、リンとの繋がりが存在しているはずだ。直接的な繋がりなのか間接的な繋がりなのかはわからない。

 そして、13歳という年齢。
 これは、リンの弟が殺された時の、僕たちの年齢だ。関係が面白いように、地球に居た時の関係性に近い状況になっている。

 だからこそ、リン=凛だと疑っても最後のピースが埋まらないために、違うという認識をもたせる事ができているのだ。

 僕が、リンのことを知っていると、フェムかイリメリ辺りは考えているだろう。
 多分、次に会ったときに聞かれるのは間違いない。

 僕は、リンから許されない限り話すつもりはない。認めなければ大丈夫だ。決定的な証拠を握られても、突っぱねる事ができる。

「リン」
「ミル。おかえり。マヤは?」
「なんか友達と会って話しをするらしい」
「友達?」
「”ウーちゃん”とか言っていた」
「ウーレンだな・・・。ミル。近くに誰か居たか?」
「居なかった・・・と、思う」

 なにか、リンが考えている。

「なぁミル。俺の考えすぎかもしれないけど・・・・」

 リンの話を聞いて、僕の考えが甘かったことを認識した。
 2人でマヤを探しに行くのは愚策だ、けど探しに行く必要がある。僕の責任で探しに行く事にする。リンを説得した。僕のミスだ。

 なんで、友達だからと言って安心したのだろう。
 マガラ渓谷での出来事を考えれば、なにか仕掛けられても不思議ではない。

 それに、リンの村はアゾレム領だ。
 立花の性格を考えれば、仕掛けた事が失敗していると知ったら、絶対に上にバレる前に自分でなんとかしようとするはずだ。

 そのときに、リンを狙うのは当然だけど、マヤを先に狙うだろう。
 確かに、マヤは強いけど、女の子なのだ。

 来た道を急いで戻る。

『ミル!』
『リン。マヤが帰ってきた?』
『まだだ。連絡も来ていない』
『わかった。何かわかったら連絡する』
『あぁミル。無理しなくていいからな』
『ううん。違う。僕のミス。無理矢理にでも、マヤを連れて帰ってくるべきだった』
『ミル。それは違う。俺が、マヤに説明していないのが悪かった。それに、マヤも軽率だ』
『リン』
『ごめん。混乱しているな。少し落ち着く様にするよ』
『うん。僕が、マヤをしっかりと連れ戻すから安心して!』
『あぁ頼む。もし、ウーレンとサラナだけなら、しばらく様子を見ていてくれ』
『わかった。2人を監視している奴が居ないか探ってみる』
『頼む』

 距離的に念話が繋がらなくなってしまったのだろうか?
 いきなり切れた。もしかしたら、リンの魔力が切れたのかもしれない。

 何にせよ。マヤを探す。
 そうだ!燃費が悪くなるけど・・・。

 全方位で最大出力で念話を展開する。
 繋がらない。距離的な問題なのか・・・それとも・・・。ううん。そんな事はない。マヤは無事!僕が探す!

 マヤと別れた所まで戻った。
 辺りを見回すが、マヤとウーレンとかいう女の姿はない。

 近くに、店がないか?
 もう一度念話でマヤに話しかけてみようか?

『ミル』
『マヤ!よかった!今どこ?』
『どうしたの?なにか有ったの?』

 マヤから僕に念話で話しかけてきた。
 僕は、リンが懸念したことをマヤに話した。

 マヤは笑いながら否定したが、リンが心配していると説明すると、ウーレンとかいう女とサラナとかいう女の2人と別れて、すぐにリンの所に戻ると言ってくれた。僕も心配だから待っていると伝えた。

 5分後に、マヤが戻ってきた。
 どうやら一緒にいるのがもうひとりのサラナとかいう女なのだろう。

 思わず睨みつけてしまった。
 鑑定でステータスを確認したが、今の僕でも勝てそうなステータスだが、慢心してはダメだ。何が有るかわからない。

「マヤ!」
「ミル。待っていてくれたの?」
「当然」

 マヤが、一緒にいたウーレンとサラナになにか言っている。

”リンがそれでいいと言ったらお願いするよ”

 とか言っている。
 ポルタ村に向かう商隊があって、一緒に行こうというお誘いなのか?
 確かに、商隊と一緒なら安心できる要素にはなる。商隊の素性を調べる必要がある。リンとマヤの安全のためだ

 ウーレンとサラナと離れてから、僕たちの声が聞こえない距離になってから、マヤに話しかける
「マヤ。その商隊の名前を聞いた?」
「うん。ウノテさんって言って、こっちに来るときに、少しだけ世話になった人」
「そう・・・。それなら安心だね」
「そう!だから、リンも大丈夫だとは思うのだけどね」
「そうね」
「ミルも一緒にポルタ村まで本当に来ないの?」
「うん。リンに進められたから、王都に残る。それに、リンが王都に戻ってくると言っていた」
「わかった、リンが戻ってくるのなら、僕も戻ってくる。そうしたら、マヤ」
「うん。わかっている」

 マヤと目線を合わせて笑ってしまった。
 王都では邪魔者が多くなるかもしれない。アロイでもいいけど、人通りが多くてリンを守るには向かない。
 マヤと話しをして、王都の近くにある森の中に僕たちだけの家を作ろうと計画している。イリメリやフェム辺りは反対するかもしれないけど、僕たちにはその程度でちょうどいい。ギルドができれば、ギルドの案件をこなしつつ、森の中で僕とリンとマヤで生活する。

 リンが僕とマヤを求めてくれるかわからないけど、求められたほうが先という約束をしている。

「ミル。早く帰ろう。リンが心配しているよね?」
「うん」

 僕とミルは駆け出した。
 リンを間に挟んでだけど、初めての友達ができた感じがした。

 僕は、リンを守る。リンが守りたいと思っているマヤを守る。僕は、リンのためなら何でもできる。

/*** リン=フリークス・マノーラ Side ***/

 ミルから、マヤが無事に見つかって、一緒に宿に戻ってくるという事だ。
 ふと疑問に思った事がある。
 帰って来て、さも当たり前のような表情で俺が借りている部屋に入ってきたミルに聞いてみた。

「ミトナルさん」
「はい?」
「宿はどうしたのですか?」
「え?宿?」

 首を可愛く傾けてもダメです。騙されません。

「ミル。宿は借りているのだよな?」

 首を横にふる。
 やはりだ。

「リン。大丈夫。僕。一緒の部屋にしてもらった!」
「はぁ?」
「ミル。この部屋見て解るよな?」
「ん?ちょうどいい」
「そんな事ないだろう?ベッドも狭いよな?」
「大丈夫。ベッドはリンとマヤが使えばいい。僕は、床で十分」
「はぁ?そんな事はできない。ベッドは、マヤとミルが使えばいい」
「それこそ、ダメ。僕は、大丈夫。野営の時もそうしてきた」

 ミルの瞳を覗き込んだが、嘘は言っていない。
 本当の事も言っていないようだけど・・・。俺が折れるしか無いのか?

「リン。ミル。いいよ。一緒に寝よう横向いて寝れば寝られるよ?」
「・・・はぁ?」

 寝る時までに決定する事になったが、多分3人で寝る事になるだろう。今日寝られるかな?心配になってきた。

「あっそうだ。リン」
「マヤ。どうした?」
「うん。ウノテさん覚えている?」
「あぁ露天商だろう?」
「うん」
「あの人が小さな商隊を任されて、今王都に来ていて、明後日ポルタ村に向けて出発する予定なんだって、それで、ウーちゃんとサラナが一緒にどうだって事だけどどうする?」
「一緒なのは?ウーレンとサラナだけなのか?」
「うん。あと護衛を何人か雇うと言っていたけど、セトラス商隊から紹介してもらうと言っていたよ」

 セトラス商会は、サリーカのところだよな。
 アゾレムに頼むよりはましという感じかな。どのみち、マヤと2人では帰るのも難しいからな。

「わかった。一緒に帰ると伝えておいてくれ」
「わかった!」

「リン!」
「うん。ミル。頼みがある」
「わかった。ウノテとかいう人が誰から商隊を任されたのかと、護衛の人選をサリーカに確認してくる」
「ありがとう」
「ううん。僕では、まだ護衛の役目ができない。早く強くなって、リンとマヤの護衛ができるようになる」
「うん。期待しているよ」
「任せて!それから、報酬は、寝る前にベッドでお願い。マヤもそれでいい?」

 報酬?
 忘れていると思ったけど、覚えていたか・・・。まぁ約束だったからしょうがない。

「あぁいいよ」
「リン。僕もだよ。忘れないでよね!」
「覚えているよ」

 覚えているとは言ったが・・・・

 なんでこうなる?

 さて寝ようとなったときに、ミルが宿の店主から、お湯を貰ってきた。ミルなら魔法で出せるとは思うが、量の加減や温度の調整が上手くできないからという事で、宿から少し大きめの桶に入れたお湯を2つ買ってきた。
 ここまではなんの問題もない。いや、無いはずだ。

 2人の美少女がいきなり着ていた服を脱ぎだした。
 背中を拭いて欲しいといい出したのだ。なんとかやり遂げたよ。反応して固くなる部分を隠しながらなんとか、背中を拭き終えた。
 ミルもマヤも髪の毛が結構長い。それで、髪の毛を両手で持って上にあげている。脇がもろに見えている。ワキフェチではないが、凝視してしまった。綺麗な脇が悪い。毛も生えていない。そう言えば、下も・・・ダメだ考えるな。

 視線に気がついたのだろう。
 2人で見つめ合ってから、くるりとこっちを向いた。両手を上にあげたままだ。
 隠していない物が目の前にある。まだこれから成長する部位だが存在はアピールされている。2人とも、手が下げられないから、前も拭いて欲しいと言ってきた。なんとかやり遂げた。頑張ったと思う。なるべく見ないようにしながら、でも手の感触は感じてしまう。
 さすがに下を拭けとは言われなかったが、なぜか2人とも履いていたズボンを脱いだ。
 そのまま下着姿になってベッドに入った。真ん中を空けてだ。

 そこに寝ろと言われているようだ。
 いや、間違いなくそうだ。そして、2人で着ていた服を脱がされた。美少女に囲まれる形で寝る事になった。そして、まずはマヤにキスをする。抱きしめられて、直接肌に感触を感じながら何度も何度もキスをした。その間、ミルは後ろから抱きついている。

 マヤが唇を離したら、今度はミルが待っている。
 ミルは真命を直すためにキスをした。舌を絡めてくるキスだ。

 今日はどうやらこのまま寝ないとダメなようだ。
 この拷問のような状況で寝られるわけがない。

 上を向いたら、両脇から抱きつかれた。肩に顔を乗せられて、息遣いまで感じてしまう。

 考えたらダメ。感じたら負け。
 今日は、このまま寝る。明日・・・もなのか?

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