咲かない花
別れの言葉を
「…皆さん。ご卒業おめでとうございます。」
自分の卒業式だというのに、どこか他人事のように感じている。
あの日から愛佳ともあいつとも口をきかなくなった。
愛佳と話さなくなったときは、クラスだけじゃなく学校全体がざわついたが、その光景はすぐに当たり前になった。
そもそも、私と愛佳が友達であること自体釣り合ってなかったのだ。
これで最後なのに涙ひとつでない私は、感情が欠陥しているのかもしれない。
「…はは。もう部員じゃないのに。」
舞華は無意識に美術室に来ていた。
結局、絵は完成しなかった。
長い時間ボーとしてしまったらしい。
外はすっかり暗くなってしまっている、もう人のいる気配もない。
帰ろうと思ったとき、ガラガラと扉が開く音が聞こえ、反射的に見てしまった。
今…私は誰を思い浮かべた?
余りにも、普通に浮かんでしまった顔に動揺する。
その人物は「あからさまにガッカリしないでくださいよ。先輩。」と苦笑いを浮かる。
「ルカくん。どうしてここに?」
ここにルカくんがくるのは初めてだ。
あいつに謝れって言いに来たの?
あいつの親友なんだから、当たり前か。
「…謝って欲しいから来たわけじゃないですよ?」
口に出してたのかと思い、口を抑えるが「顔に書いてあります。」とまたもや苦笑いをされてしまった。
「これは俺のお節介です。知ってましたか?あいつの初恋って先輩なんですよ?」
「…え。」
その言葉に唖然とすることしかできなかった。
だって、どう考えてもリア充でキラキラした世界の住人が、私を?
信じられるはずがない。
「本当なんですよ。あの見た目だから、小さい頃から大変な思いしたんです。だから、俺以外の人と本気で関わろうとしなかった。」
「意外と臆病なんですよ。」とイタズラっぽく笑うその姿が自分の姿と重なった。
それが恋愛感情ではなくとも、親友を大切に思う気持ちは一緒だと思ったから。
「…言ってたんですよ。『舞華先輩が苦しんでるのに俺は何もできない。だからせめて、壊してやろうと思うんだ。今のままだったら舞華先輩は、自分を偽り続けるから。だから、嫌われても、憎まれてもいい。舞華先輩が幸せにることが俺の幸せだから。』って。」
「私……。」
視界がぼやける。
嬉しいからでも、悲しいからでもない。
何も知らないで、酷い事を言った自分にどうしようもなく腹が立った。
私に泣く資格なんてない。
舞華はキツく唇を噛みしめる。
「俺は責めてるわけじゃないんです。あいつには黙ってろって言われたけど…。」と続く言葉を聞き、走り出していた。
後ろでルカくんの「あ!待ってください!」という呼びかけが聞こえたが、振り返ることなんてできなかった。
『あいつ…ガンなんです。それで、アメリカに知り合いの医師がいるから、今日の便で行くそうです。だからせめて、あいつの気持ちを知っておいて欲しかったんです。』
もっと、もっと早く。
「あっ。」と思ったときには足が絡まり、見事に転けてしまった。
足からは血が出ていた。
学校から走って、空港に間に合うはすがないのは分かってる。
自転車でだって間に合わないのに…。
「なんでよ…。お礼も言えてない、謝ってもないのに。」
血が出ている膝よりも胸が、痛かった。
次から次へと涙が出る。
もう、拭いてくれようとしてくれる人はないないんだ。
「カッコよすぎるんだよ……ばか…。」
私の心とは正反対にキラキラと輝く星も優しく照らす月の光も、この風景を私は一生忘れない。
自分の卒業式だというのに、どこか他人事のように感じている。
あの日から愛佳ともあいつとも口をきかなくなった。
愛佳と話さなくなったときは、クラスだけじゃなく学校全体がざわついたが、その光景はすぐに当たり前になった。
そもそも、私と愛佳が友達であること自体釣り合ってなかったのだ。
これで最後なのに涙ひとつでない私は、感情が欠陥しているのかもしれない。
「…はは。もう部員じゃないのに。」
舞華は無意識に美術室に来ていた。
結局、絵は完成しなかった。
長い時間ボーとしてしまったらしい。
外はすっかり暗くなってしまっている、もう人のいる気配もない。
帰ろうと思ったとき、ガラガラと扉が開く音が聞こえ、反射的に見てしまった。
今…私は誰を思い浮かべた?
余りにも、普通に浮かんでしまった顔に動揺する。
その人物は「あからさまにガッカリしないでくださいよ。先輩。」と苦笑いを浮かる。
「ルカくん。どうしてここに?」
ここにルカくんがくるのは初めてだ。
あいつに謝れって言いに来たの?
あいつの親友なんだから、当たり前か。
「…謝って欲しいから来たわけじゃないですよ?」
口に出してたのかと思い、口を抑えるが「顔に書いてあります。」とまたもや苦笑いをされてしまった。
「これは俺のお節介です。知ってましたか?あいつの初恋って先輩なんですよ?」
「…え。」
その言葉に唖然とすることしかできなかった。
だって、どう考えてもリア充でキラキラした世界の住人が、私を?
信じられるはずがない。
「本当なんですよ。あの見た目だから、小さい頃から大変な思いしたんです。だから、俺以外の人と本気で関わろうとしなかった。」
「意外と臆病なんですよ。」とイタズラっぽく笑うその姿が自分の姿と重なった。
それが恋愛感情ではなくとも、親友を大切に思う気持ちは一緒だと思ったから。
「…言ってたんですよ。『舞華先輩が苦しんでるのに俺は何もできない。だからせめて、壊してやろうと思うんだ。今のままだったら舞華先輩は、自分を偽り続けるから。だから、嫌われても、憎まれてもいい。舞華先輩が幸せにることが俺の幸せだから。』って。」
「私……。」
視界がぼやける。
嬉しいからでも、悲しいからでもない。
何も知らないで、酷い事を言った自分にどうしようもなく腹が立った。
私に泣く資格なんてない。
舞華はキツく唇を噛みしめる。
「俺は責めてるわけじゃないんです。あいつには黙ってろって言われたけど…。」と続く言葉を聞き、走り出していた。
後ろでルカくんの「あ!待ってください!」という呼びかけが聞こえたが、振り返ることなんてできなかった。
『あいつ…ガンなんです。それで、アメリカに知り合いの医師がいるから、今日の便で行くそうです。だからせめて、あいつの気持ちを知っておいて欲しかったんです。』
もっと、もっと早く。
「あっ。」と思ったときには足が絡まり、見事に転けてしまった。
足からは血が出ていた。
学校から走って、空港に間に合うはすがないのは分かってる。
自転車でだって間に合わないのに…。
「なんでよ…。お礼も言えてない、謝ってもないのに。」
血が出ている膝よりも胸が、痛かった。
次から次へと涙が出る。
もう、拭いてくれようとしてくれる人はないないんだ。
「カッコよすぎるんだよ……ばか…。」
私の心とは正反対にキラキラと輝く星も優しく照らす月の光も、この風景を私は一生忘れない。
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