漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

新たなステージへ!

 大会終了後、表彰式を終わらせてお疲れ様会を開催することになった。
 正直疲れたし、休みたい気持ちもあったわけだが言いにくい雰囲気。

 それを打ち破ったのがフローラだった。


 「すみません、お気持ちは嬉しいのですが本日は疲れてしまったので、また後日ではダメでしょうか?」


 功労者の意見だからか、それに反対する人はいなかった。
 というか、見てた方も疲れていたのかも知れない。
 相当はしゃいでいたからな。

 というのも、やはりこの学年で残れたこと自体すごいらしい。
 そう言われると、ようやく嬉しさというか達成感が湧いてきた。




 「大樹君お疲れ様。さっき依頼が一つ入ってきたけどどうかな?」


 あれから数日後、無事に祝われた後マスターの元へ訪れた俺に突然の報告。


 「魔法がろくに使えないのに依頼ですか? フローラと間違ったとか」

 「性別も違うのに、それはないだろう」


 マスターがコーヒーを入れながら笑う。
 ある程度生活に慣れた俺は、このコーヒーがたまらなく好きになった。


 「それもそうですね、内容をまずは確認したいですが」

 「わかったよ。今用意する」


 するとマスターは一通の手紙を手にし。


 「中身は見ていないんだ。自分で確認してみるといい」

 「手紙ですか……嫌な予感しかしないですね」


 エン先輩の件もあって、手紙にはいい思い出がない。
 恐る恐る中を確認することにした。


 『伊藤大樹さんへ。数日前に行われた魔法大会を見ました。上級生相手に挑み、勝利したあなたを見て依頼をします。内容については直接お話ししたいので、宜しければ魔法研究所へお越し下さい』


 魔法研究所ってなんだ?


 「マスター、この研究所って近くなんですか?」

 「そうだね。歩いて行くには少し遠いけど、魔法を使えば近くまではいけるよ」


 俺は魔法が使えないわけだが。


 「心配しなくても、誰かに送ってもらうといい。チラッと今見たけど、一人でとも書かれていないみたいだし。依頼次第だが、もう一人誘ってもいいんじゃないかな?」

 「そうですね、誰か誘ってみます」


 俺は依頼の内容を気にしながら、マスターの入れてくれたコーヒーを飲み干し席を立った。




 「ここが研究所ですか。学園ほどではないですが立派な建物ですね、大樹さん」


 少し迷った俺は、結局というか最終的にフローラを頼った。
 クリムでも頼りになるかと思ったけど、忙しそうだったから仕方ない。
 それに、フローラは誘ったら嬉しそうにしてくれたからな、良かった。


 「どうしたんですか? 早速行きましょう」

 「あ、ああわかったよ」


 大会中も思ったけど、フローラの行動力って凄いよなぁ。
 そんなことを考えて入り口に近づくと、フローラが止まっていた。


 「どうかしたのか?」

 「どうやら、許可証のようなものがないと入れないみたいで」


 許可証か、そんなものあったかな?
 建物に入口はなく、代わりに転送魔法の陣のみが描かれている。


 「寮と同じで、カギのような扱いってことか……試しに手紙でもかざしてみるかな」


 俺とフローラは魔法陣に近づき、手紙を前にかざしてみた。
 するとその瞬間、辺りが一瞬真っ白になり気がついた時には!


 「どこかの部屋ですね」

 「まぁ依頼主の研究室か何かだろう」


 あっという間に中に飛ばされた。
 魔法の世界では当たり前なんだし、そろそろ慣れてきたかな。


 「おっ!? 何やら人の声が聞こえるぞ? よく来てくれたね」


 魔道具やらなんやらでよく見えない、部屋の奥から女の人の声が聞こえる。


 「手紙を読んできました、伊藤大樹と言うものですが!」


 念のため声を大きくして。
 隣で少し驚いていたフローラには少し申し訳なかったが。


 「大樹君ね、良かった依頼を受けてくれるんだね。今そっち行くよ」


 すると一瞬で目の前に現れた。


 「やだなぁ、そんなに驚かないで。ワープする簡単な魔法だよ。とにかく依頼を受けてくれてありがとう」

 「いや、あの、まだ受けるとは」

 「って、あれ!? 隣の女の子はフローラちゃんでは? 一緒に来たのかい?」


 質問の多い人だなぁ、それに元気すぎる。
 フローラも呆気にとられたのか、こちらをチラチラみるように。


 「僕の方から誘ったんです。ここまで来るのに力を借りて。それに、一人でと書かれていなかったですし」

 「そっかそっか、いいよ別に〜。むしろ大歓迎だ。宜しくね」

 「よ、よろしくお願いします。それであの、お名前は」


 今更ながら当然のような質問をフローラが。
 手紙にも書かれてなかったし、せっかちな人なのかも。


 「名乗ってなかったか。私はクレア。大樹君には娘が世話になったよ」

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